ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間
ほんとうのハネムーンまで二十五時間〜丁々発止〜⑤
私の強気な発言にも、ブラウンは沈黙しなかった。
「そうだね。では、陰たる君は光の助力が得られなかったら?」
ブラウンが囁きながら、薄く笑みをうかべた。
庶民を甘く見るな。
コネはないけれど、庶民には根性があるのだ。
「そんなの、助力が得られなかったら正攻法に決まってるでしょ? アポ取れるまで何十回も連絡しまくるわ。大体、私の仕事なのよ、透也くんだってヒマじゃないの。貴方なにを言ってるの?」
私は首をかしげる。
ブラウンと周りの男達、それとなぜか船長さん達もあっけにとられてる?
くっくく……。
透也くんも、私達夫婦のガードさん達も我慢をするのをやめたようだ。
「これでわかっただろう。貴君は僕の愛おしい妻を貶めたいようだが、彼女こそが光だと」
透也くん、大げさ!
「どこかの貴族のように、己の誉れのために彼女は児童福祉を考えているんじゃない。僕の名声が高まるからではなく、本当に彼らの幸せを願っているからだ」
内助の功も出来ない女と、他ならぬ夫に断言されてしまった。
しゅん……。
「僕の円佳は、他人を幸せにしたいと考えることを『欲得』と考えるような女性なんだよ」
優しい声とともにキスが頭に降りてきた。
「そろそろいいかな。回線を繋げ」
透也くんの独り言のようなつぶやきに、回線を弄っていた一人が敏感に反応した。
タブレットを慌てて覗きこむ、ハニーブロンド。
いきなりブリッジの映像がライブ配信されたのだ。
うろうろと目を彷徨わせた彼女はブラウンの姿を見るや、悲鳴をあげた。
『お兄様っ。私のお兄様になにをしてるの! トウヤ、不敬よ。ただちに解放させなさいっ』
相変わらずドイツ語だ。
それにしても、不敬とな。
この二人、透也くんのセキュリティ会社のスタッフと、その家族じゃないのかしら。
ん?
ヨーロッパの王家の写真とか、なんか似たような顔立ちの人いなかったっけ?
確か、『世界で結婚したい貴公子ランキング一〇〇』に透也くんと一緒にランクインしていた公爵閣下と、その妹君とか。
「ねえ、透也くん」
もしかして?
「オーギュスト・ミュレー、エヴァ・ミュレー」
私が最後まで言い終わるまえに、透也くんが兄妹の偽名を呼ばわる。私も、ハニーブロンドも口をつぐんだ。
余計なことを言うなと、彼女と私に言い聞かせたんだろうな。
フランス?の名前かな。
たしか、公爵のお住まいの国はドイツ語……。
ふ、ふーん。あくまで社員として扱うのね、いいのね?
そ、そうだよね。
ヨーロッパの名家と知れたら色々面倒、だよね? じゃあ、私も知らんぷり?
で、なにをするつもりなのかな、透也くぅん! 目が笑ってないんですがっ。
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