ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間
ほんとうのハネムーンまで二十五時間〜丁々発止〜③
「透也くんは、私の夫は(いやん)ミスに厳しい人だけれど、だからこそ誤った判断で人を罰するような人じゃない」
責められた側が抗弁したりすると、それは美しくも黒い笑みを浮かべる透也くん。
すると、前よりえげつな、ごほん。残酷、も語弊があるな。窮鼠、猫を噛む気もなくなるほど心が折れました、まで追い詰めたりする。
「早く自白したほうがいいんじゃない?」
だからといって、透也くんが情けをかけるとかではない。
「長引くだけ、お互いに不毛な時間だと思う」
余った時間は勿論、善処するための時間に充てるのだ。
私が言えば、ブラウンは目を見開いた。
「さすが、肝が据わっているようだね」
庶民だからかな、という副音声が聞こえた気はするけど、無視。
「嘉島透也夫人だからじゃないかしら?」
ふんだ、私だって口の達者な二歳児から六歳児までを無駄に相手してたわけじゃないのよ。
まごうことなき庶民だけど、今の私はセレブ・オブ・セレブの奥様なんだもの。
秘儀、『透也くんの威を借る私』を発動する。
が、ブラウンにはするりとスルーされた。くそう。
「たしか貴女は閉所恐怖症と訊いたけれど、この状況下でも落ち着いていられるとは大したものだ」
……うん。正直ぶつかりそうで、肝は冷え冷えですが。
「透也くんに『ブリッジ見学しよう』と誘われたの」
それは恐ろしい事故があるときに、一番安全な場所へ私を匿おうとしているからじゃない。
「この件について対処の目途がたって、なおかつ私が必要だからよ」
はったりをかましてみた。
言いながらも、ブラウンへの説得ではなさそうだしし、私が役に立つことがあるのか疑問である。
「動力部回路の干渉、まもなく正常に戻ります!」
床でパソコンに指示を打ち込んでいた一人から声があがる。
……ぴくりと、ブラウンのまつ毛が動いた気がする。
「自動操舵システムに設けられた裏口、破壊。防御ガードを設置、マニュアル操舵、可能になりました!」
船長さんら操舵組から歓声があがった。あれほど動かなかった舵が軽やかに動く。
非常にゆっくりではあるが、よく見れば、迫っている崖から少しずつ離脱していくようだ。
ブラウンの目が細くすがめられる。
「救難信号システムにしかけられた誤作動、修正完了!」
「監視カメラの解像システムに干渉したIPアドレス、動力及び操舵システムに干渉したアドレスを一致しました、映像出ますっ」
ブラウンの唇がひくり、と動いた。
かかった、と私にしか聞こえない声で透也くんはつぶやいた。
ブラウンを観察していたのは私と旦那様だけだった。
船内を映す監視カメラの画像が一部変わった。
「あ」
またしても声が出てしまう。
ハニーブロンド!
トイレで絡んで来た女性だった。
え、どういうこと。
ブラウンが犯人じゃなかったの?
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