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ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間

水田歩

本当のハネムーン122時間前から妖精狩り②


「屋敷のシステムといい、この船の防犯システムといい、自分の迂闊さが腹立だしいな」

 彼女が眠ったあと、円佳が身に着けていたアクセサリーが録音していた音声を再生した。
 内容を訊いて、血が逆流するかと思った。

 公爵は、こともあろうに彼女に自国にある大学への留学を薦めていた。

「あの男はいつも余計なことしかしない」

 僕がどれだけ彼女を寝室に閉じ込め、僕しか見ず、僕がいなくては空気も吸えないようにしたいのを我慢しているか。

 円佳が自分から僕の傍に寄り添ってくれているからこそ耐えているのに、彼女を僕から引き離すだと?

 彼女を自国にとどめおけば、僕は円佳の許に帰らざるを得ない。必然的に彼の国が嘉島グループの本拠地となる。

 僕が嘉島そのものなのだから。
 公爵、目の付け所の良さは褒めてやろう。

「ありえそうなのは海賊を手引きするか、病原菌を船内にばらまくか。いっそスタッフを買収してハイジャックさせるかと考えておりましたが」

 いらいらしている僕に近づけるのは、円佳以外は二人だけ。そのうちの一人である執事がコーヒーを淹れてくれた。
 カップを受け取りながら船のコースと海図を見る。

「海賊とテロ、及びバイオハザードはないだろう」

 お互い、大事な女性を乗船させているのだ。

「と。すると座礁でございますか」

 シンガポール海峡とマラッカ海峡は海上ルートの要衝で通行量が多いが、狭く水深が浅いので海難事故が多い場所でもある。

 テロも病気も情報封鎖は出来るが、座礁はそうはいかない。
 シンガポール近辺ならばレスポンスは早い。うまくやれば人命は損なわれないし、沈没は免れる。

 傷つくのは僕と嘉島の名誉だけ。公爵にとって、こんなに安全なイタズラはない。

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