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ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間

水田歩

ほんとうのハネムーンまで97時間〜ダンス教室〜④


「彼女達の魅力。それは王侯貴族のみが持ち得る人脈ですよ」

 そんなこともわからないのかと言われても、その通りだ。

「貴女にもそれなりのコネもツテもあるでしょう。……庶民のね」

 尤もすぎて、小内刈をする気にもなれない。

「透也様は世界的財閥を継ぐ者でありながらコネクションが不足している。それは貴女といることを選んで、日本に留まっていたからだ」

 薄々は感じていた。

 海外にいる実業家より透也くんが不利な点があるとすれば、日本に居住していることだと。

 透也くんのご両親が、彼が赤ちゃんの頃から海外を飛び回っていらしたのは、世界中のセレブ達との付き合いがあるからだ。

 私達の通っていた学校は、短期留学も単位にすることが出来たけれど、彼が海外に出るのは学期末に限られていた。

 なぜか。
 私のせいだ。
 私が父の特許の件で狙われていて、嘉島の本拠地から出せなかったから。
 そんな私に、透也くんは寄り添ってくれていたからだ。

 うぬぼれではない。
 ブラウンは、私が彼のくびきだと重ねて告げてくる。

 透也くんの『ハネムーンは世界中を回りながら三年間』は冗談ではなく、各地の政治経済界の大物達と親交を深める目的もあるのだろう。

 私と結婚するまで、私が彼についていけるようになるまで、日本に留まっていてくれたのだ。

 透也くんたら、いっつも私ファーストなんだから。
 好き。

「……にいらっしゃい」
「は?」

 じぃぃんとして言われたことを聞き返したら、世界中のセレブなお嬢様が集まる、全寮制の女子大学の名前だった。

「そこでなら、貴女は難なく人脈を作ることが出来る。透也様は世界を飛び回りながら、貴女に逢いに戻ってこれる。貴女が日本にいるよりも、遥かに容易にね」

 確かに。
 ブラウンの言うことはいちいち理にかなっていた。

 透也くんは世界中飛び回っているけど、ヨーロッパを拠点にしたら時間を有効に使える。
 電車一本、道路を走っていれば隣の国に行くことも可能だし。

 彼の場合、余った時間を休んだりしないで仕事にしちゃいそうだけど、そこは新米奥様の腕の見せどころ。

 無理矢理膝枕からのベッドへ押し倒してやるわ。
 形勢逆転されそうだけどー! いやん。

 ……それはともかく透也くんの仕事中、私は暇で。 せっかくの海外旅行だから色々出かけたいのだけど、なぜかボディーガードさん達が青ざめるのだ。

 色々な事件に巻き込まれるけど、私のせいじゃないもん、ね?
 でも、私がイレギュラーなことをすると、ガードさん達の負担は増えるのは確実だし。

 透也くんが働いている間、遊びまわってるのも申し訳ないから、私もなにかしなくちゃだよなあとは思っている。

 ヨーロッパの乳児院を見て回ろうかとは考えいたけれど、学校は思いつかなかったな。
 ブラウンが提案した大学の場所はどこだったっけ。中央ヨーロッパの……。

「透也様のご用事がないときは学業に励み、友人と語らっていればよいのです。次世代の社交界を担う花も沢山いらっしゃいますし、今なら『社交界の天使』と呼ばれる公女が在籍されておられますよ」

 天使、と言われて昨日の美少女を思い浮かべた。

「留学の書類はあとからでも大丈夫です。ジェノバかマルセイユ、ワルネミュンデで降りたいとおっしゃれば透也様は許してくださるでしょう」

 私が返事をするまえに、ブラウンはすい、と傍から離れた。

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