ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間
ほんとうのハネムーンまで97時間〜ダンス教室〜③
「貴女の淑女としてのスキルは全て透也様が与えられたもの。では、貴女は彼になにを与えることが出来るのですか」
また、この問答か。
息を吸い込んだ途端、畳みかけられる。
「家永博士の特許など言わないでくださいね。特許料は莫大かもしれないが、なくても嘉島は揺るがないし、貴女の功績ではない」
……ほんとによく調べてるな、この人。
「だとしたら、皇族の女性も名家の女性も単なる血筋であって、彼女達の功績ではないわ」
ブラウンのまつげの下、僅かに瞳孔が拡がった気がしたので、フフンとなった。
透也くんとイチャイチャしてるときは
『円佳、なにを考えてる?』
『僕以外のことを考えるのは赦さない』
って言われて、さらに甘くドロドロに蕩かされてしまったから考えることは出来なかったけれど。
さっきウオーキングしながら想定問答集をシミュレートしてたんだからっ。
ブラウンは、ふ、と憐れむような笑みを浮かべた。
なんだろう、ストレートにバカにされるよりも腹立つなあ。
「それだけが彼女達の取り柄だと思っていたのですか? 本当に?」
二度も聴かれた。
「これだから庶民は」
だん!
床を激しく踏んだ音が自分の耳聞こえた瞬間、奴の足の甲を撃ち抜くつもりだったヒール攻撃は不発に終わった。
「あら、躱すのとってもお上手」
くやしい、床ごと踏み抜けなかった!
ずい、と膝を突き出されたので、思わず足を引いた。ぐ、と胸で圧されて90度になりそうなくらい(体感)、背中を反らされる。
「こんな単純な攻撃を避けられない男の気が知れませんね」
……ソウデスカ。
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