ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間
本当のハネムーンまで153時間〜透也〜 ③
微かに、タブレットが震えた。
起こさぬよう、彼女を腕の中にしまい込みながらメッセージを読んでいく。
「食いついた」
僕はひっそりと笑みを浮かべた。
嘉島のセキュリティを突破するのはともかく、円佳に手を出すのはおイタが過ぎる。
僕を出し抜き、円佳を追い詰めたのは某国ではない。あの国ではそんなことは出来ない。だとしたら、ターゲットはただ一人。
「いや、二人か」
マダム・デュポアをそそのかした真犯人は、ヨーロッパ中部にある小さな公国の当主マティアスと、その妹オーレリア。
彼らの領土は大きくはない。
人口五万人ほどであるが、観光立国でありながらIT産業が強い。
ヨーロッパの中央に位置し、多くの多国籍企業が本社を置いている。
公国の銀行はスイス銀行並みのガードを誇り、顧客は富裕層ばかりで貯蓄額は世界一・二位を争う。
国民一人あたりの平均年収は先進国の中でも高い。
当主である彼は公爵位。
古い家柄で各国に繋がりを持ち、ヨーロッパにおける発言力には侮れないものがある。
若く頭脳明晰で実行力がある公爵と、見た目が天使のような妹の公女は社交界で人気者だ。
が、二人は綺麗な顔でとんでもないイタズラをしてのける。
公女はハッキングの天才で、世界で起こるシステムエラーの少なくとも三割は、裏から世界を支配したい兄にそそのかされた妹の仕業だ。
……と、されている。
僕と解析チームは断定しているが、国際犯罪を追う機構に公女は尻尾を掴ませない。
そのくせ自己顕示欲はあるようで、必ずあるサインをしてくるのだ。
僕に言わせれば、二人は無邪気な顔をした妖精だ。 日本では物語の主人公を手助けしてくれる優しい存在だと思われているが、実際はそんなものじゃない。
光と闇のあいだ、黄昏の存在。善も悪も、益も害も彼らの気まぐれに過ぎない。
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