ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間
本当のハネムーンまで158時間〜ほんとの初夜〜
晩餐会を終えて部屋に戻ってきた、午後十時。
「あ……」
「奥様。僕の円佳。君はとても素敵だった」
私は今、透也くんに着ているものをゆっくりと脱がされている。
「他の男に微笑みかける君に嫉妬した」
ドレスは既に床に落ちている。
汚れちゃうと思わないでもなかったが、晩餐室までの廊下も室内の絨毯も新品のように美しい。
朝かたづけても大丈夫かな、なんて自分に言い訳する。
……エッチしたあと、透也くんより早く起きれたことないんだけど。
「僕以外のことを考えないで」
口付けしながら徐々にひざまづいていく透也くんにストッキングと一緒に靴を脱がされている。
見上げた彼の瞳に嫉妬があったから私は説明する。
ヤキモチ妬いてくれるのは嬉しいけど、妬くほうは辛いことを知っているから。
「ドレスがシワになっちゃうな、て」
「心配ない。ここの船には最高級のクリーニングを入れてあるし」
……て、ことはこの船も透也くんの持ち物。
「円佳が散らばった服を見て、恥じらうのが好きなんだ」
笑みを含んだ声に、体温があがる。
確かに、散らばった場所や服が脱ぎ捨てられた順番で、どこでどんなふうに脱がされていったかを思い出して、ぎゃーってなっていた。
盛大に照れる私を透也くんがなだめてくれるうちに「朝の運動」が始まってしまうのだけど。
まさか、私の恥ずかしがるのを誘発するためだったとは!
けれど透也くんは私を包んでいた布もにらんだ。
「着飾っている円佳は綺麗だし、自慢したい。けれど僕の手以外のなにかが君に触れるのすら腹立だしい」
四六時中、僕の体で円佳を包んでいたい……とウットリしているような声で囁かれて、背中にぞくんとしたものが走った。
透也くんに日がな一日くるまれる。
朝から晩まで。眠りに落ちて、また眠るまで。
素敵、と音にならない声でつぶやいてしまう。
「悩ましいな、水着やドレス姿になる君を想像すると……。『僕のものだ』って所有印をつけたいのに」
ぎくりとする。
そりゃ新婚旅行なわけだから、そういうことするんだもんね、って目で見られるのは仕方ないけど。
一個二個なら、まあいいかな、とか。
体中に散りばめられた紅いしるしを、透也くんに憧れている女性たちに見せつけるのもいいかな、て。
……あれれ? 私、こんなにダークな思考の持ち主だった?
「一つ二つじゃ足りない。体中につけたい」
つけて、と言いそうになり、慌てて飲み込む。
「いっそのことレースで包むだけにして、誇示しようか」
瞬間、紅い花が透けて見えるドレスを身につけている自分を想像してしまった。
「あ……」
私は豪華な天井を仰ぎ見た。まずい、こんなことで興奮しては。
「ふふ。円佳、想像したんだね」
見抜かれたらしく、満足そうな声が聴こえてきた。
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