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ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間

水田歩

本当のハネムーンまで162時間〜スィートルーム〜①

 午後六時。
 ……なんだかんだしたあと、ひと眠りした私達はブラックフォーマルに着替える。

 男性はブラックスーツに蝶ネクタイ。

 今日の晩餐会には、私達の他には招待されていないと聞いたので、髪と同じピンク色のドレスにした。
 日本人は童顔に見られがち。
 なので背伸びはせず、けれど年齢的にも格式的にもエレガントでセクシーなものを選んだ。

 髪の色はそのまま、コンタクトはしない。
 髪を染め直すのも面倒だし、視力は悪くないのにコンタクトレンズをしょっちゅう装着するのは面倒だった。

 それにしても髪を切り、染めたのは昨日だ。なのに、ワードローブは今の私に似合うようなものばかり。

 ピンクトルマリンやタンザナイトでピンクから紫のグラデーションになったチョーカーとイヤリング、ブレスレットをつける。

 髪にはタンザナイトやアメジストがあしらわれたカチューシャをつける。
 まつげは青く、口紅はピンクラメ。

 勿論、自分で髪もメイクもした。婚約が決まってからイメージトレーニングの一環でレッスンを受けてきた賜物である。

 クローゼットからドレスと同色のパンプス、そしてシルバーのショールを羽織ってみた。
 手には口紅やハンカチを入れた、銀色のクラッチバッグ。

 透也くんが私を見て、目を細めた。
  
「円佳。今宵の君も美しい」

 透也くんはわたしをそっと抱き寄せると、うなじに唇をあてた。体がひくりと反応する。

「トルコ桔梗色の人形姫だね。僕は王子ではないから君を離さないけれど」

 マーメイドラインのドレスは裾にいくにつれ紫色へと移りゆき、人魚のひれのように幾重にも重なり合う。

 彼の賛美の瞳に照れてしまう。
 心臓が飛び出そうになる。
 本人は一般人ぶっているけれど、フォーマルを身に着け、髪を撫でつけた透也くんはゴシップ誌が評する通り、どこかの王子様にしか見えない。
 冴え冴えとした視線に見つめられると、いつまでも慣れることがなくて、ドキドキしてしまう。

 だがしかし! 
 私だって、無駄に嘉島家の総帥夫人の英才教育を受けてきたわけではないのだ。

「ありがとう、透也くんも素敵よ」

 私はにっこりと笑って見せた。

 ……私のメディカルセンサーをモニターしていたお医者様から、このとき跳ね上がった心拍数のことで透也くんに報告があったのは言うまでもない。

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