ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間
結婚式の010時間前〜全て閉所恐怖症のせい〜 ①
 
「六日前、円佳がウエディングドレスの試着中に倒れたのはそのせいだよ」
なんと。
きゅ、てウエストを締められただけだよ? 私のメンタル、豆腐すぎない?
私の顔を見て、透也くんは知らなかったみたいだね、と呟いた。
「まあ、自覚すると発症する頻度が高くなるかなと思って、あえて指摘していないのもあったけど」
「……薬を盛られたとかじゃなくて?」
透也くんがじわじわと、私を殺す計画をスタートさせたのではなく?
疑わしげに透也くんを睨むと、彼はとんでもないことをさらりと言った。
「君にそんなことをするのが僕以外にいたら、そいつは今頃地球上に欠片も残っていないよ」
いや、その処罰の仕方もどうかと思うし、なにより。
「透也くん……。私に薬を盛る気、満々なんだ?」
しかもそれ、本人に言っちゃう?
「毎日一回くらいは考えるけどね」
そんなに?!
「媚薬なら、円佳も僕も楽しいし」
そうかも。じゃなくてっ。
「他の薬は僕が楽しい」
「……どんな薬使う気よ……」
「たとえば」
「指折り数えないで!」
おまわりさーん! ……だめだ。日本政府は私より透也くんの味方だ。
「魅惑的だけど、最終的には薬で言うことを聞かせて、なにが楽しいのかというところに落ち着いた」
ですよね!
よかった、なんか悪玉ヒーローの中に最後の良心を見いだせた気がする!
おおいにほっとした。
ところが。
「はねっかえりで人の意見を聞かず、やたらとエネルギッシュな君を言葉巧みに翻弄したり、意識があるのに僕の愛撫でとろとろにさせるのが楽しいんじゃないか」
「それ、詐欺師とか色事師の手口だから!」
言ってることが、超危ないですからああああっ。
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