話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間

水田歩

結婚式147時間前から乳児院での五・三日間③

 
 彼とのつながりが未来永劫なくなったとしても、私に刻まれてしまった透也くんへの想いは消えない。
 でも、幸せだった分、他のひとが私の場所にいて笑っているのを見ていられるほど、私は強くない。

『恋を失っても、透也くんを好きになれてよかった』なんて、一生かかっても達観できないだろう。

 遠くで幸せを祈ってあげられるかな。
   無理。泣き暮らして、恨んでしまうだろう。

 ずきずきずき。
 考えただけで、体の半分がちぎれてしまったみたい。

 ……でも。
 透也くんから、色々な物をもらった。
 私の前でだけ浮かべてくれる、ふにゃりと力の抜けた笑顔。
 温かな胸も、優しいキスも、私を欲しがる雄のまなざし。
 一個ぐらい、私がプレゼントしたってバチはあたらない。

「むしろ、もらいっぱなしでツケが一気に来たのよ、ウン」

 透也くんも父も、私の人生にもともと存在していなかったと思えば、きっと生きていける。

 両方の眼からぼたぼたと涙が溢れ出る。
 とまらない。
 私はベットサイドからティッシュを箱ごと引き寄せて、盛大に鼻をかんだ。

 ……サヨナラをするんだ。
 あのとき出来なかったことを、今度こそやりとげる。

 トントン。
 ノックの音に、私はびくり!となった。飛び起きた。胸が甘く疼く。
 ……透也くんっ?


「円佳ちゃん?」

 院長だった。

「……ははは」

 私は自分が力のない笑みを浮かべている自覚があった。
 咄嗟に彼が迎えに来てくれたと思って、喜んじゃう私は学習能力がないなー。

「ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く