ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間
結婚式の156時間前〜謎の女〜 ②
「執事がまた馬鹿正直に透也さまに報告するし。この女が有頂天になるってのがわからないのかしら、あのボンクラ!」
誰かな、この人。
悪し様に罵る言葉を心に残さないようにしながら、一生懸命スタッフの顔を思い出そうとする。
『人を使う人間は、最低でもスタッフの顔と名前。それから出身地や誕生日は覚えているものよ』
透也くんのお母さまに教わってから、記憶力を鍛えたはず。なのに出てこない。
結婚式にそなえて、本宅からも各地の別宅からもスタッフを呼び寄せたと聞いていた。
臨時の人は教育が間に合わないから雇わなかった、て説明を受けてたんだけどな?
蓮っ葉な言葉遣いに、妙に甲高い声。全然聞き覚えがない。
抑揚もアクセントも抑えているから年齢不詳。女性かな、くらいしかわからない。
普段は声を変えて勤務しているのなら、相当したたかな人だ。
……プロだとすると、透也くんがらみだよね。
私を誘拐して身代金を要求するのかな。もしかしたら、殺されるとか?
恐怖のあまり、叫びだしそうになる。
一生懸命、私は人形……て言い聞かせながら、気配を探る。
多分、一人きり。
でもプロなら、ど素人の私に悟らせないよね。
反対に私の動揺なんて、丸わかりだろうなあ。
どうやって警備の人を呼ぶんだっけ。
警報装置のスイッチはどこ。
慌てているせいか、思い出せない。
「ねえ、起きてるんでしょ?」
ぎくり。
この人は明らかに私に呼びかけている。
どうしよう、『ハイ』って返事をしたほうがいいの?
いやいや。
目が合ったら、なにをされるかわからない。
私は穏やかな呼吸を心掛ける。
「やあだ、嘉島に嫁ぐくせに、薬物訓練も受けてないの? 危機感なさすぎじゃない? ちょっと、無視するんじゃないわよ。少なくとも意識あるんでしょ?」
さらなる挑発をされた。
む。
あんまり私を舐めないでほしい。
のほほんと生きてきたけれど、めそめそするなんてタイプじゃない。
馬鹿にされたままじゃ、女がすたる。
反論しようと息をすいこみかけ。
……やめとけ、私。
『すぐに首を突っ込むの、円佳の悪い癖だよ。いくら僕のバックアップがあるとはいえ、少しは考えて行動をしなサイ』
いっつも透也くんにお小言を言われてるんだから。
勿論、それについては意見を言いたい。
けれど、相手の目的がわからない今は、素直に彼の注意にしたがったほうがいい。
ああ、それにしても。
透也くん。
早く、帰ってきてよー!
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