ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間
結婚式の164時間前〜ドレスが苦しい〜 ③
 
「円佳さま、なにか?」
「いえ」
思わずつぶやいた言葉を拾われてしまった。
マダムに微笑むと、ドレスに思考を戻した。
今日、フィッテイングするドレスは何十着ものデザインから、透也くんと私が選んだ一品。
当然オートクチュールで、手製のレースにダイヤや真珠がふんだんにあしらわれている。
下品なことを言っちゃうと、四LDKの家が一軒建つほどのお値段。
なのに透也くんてば、そんなドレスを何枚も作ってお色直しをさせようとした。
やんわりとお断りし、このドレス一着にしてもらった。
だから、とても思い入れのある一枚である。
「きついところや動かしづらいところはございませんか?」
マダム・デュポワに訊かれて、私は腰をねじったり腕を伸ばしたのち、頷く。
今はビスチェを着て、調整をしてもらっているところである。
サムシングブルーをあらわす下着。
あえてドレスと連動していないデザインにした。
ふふ、そのほうが脱がせた時に二度おいしいかなって。
いやん、私ったらエッチ~!
「ウエストが少し細くなられましたね……。もう少しお詰めしてよろしいでしょうか」
私はまたも頷く。
「ウ」
きゅ、とウエストを締められた途端、息が詰まった。
「っ、円佳さま、申し訳ありません!」
マダム・デュポワが慌てて緩めてくださったけれど、眼の前が真っ暗になった。
「誰かっ、お医者さまを!」
私のただならぬ様子に気づいたのだろう、マダムの声が大きくなる。
「だ、いじょうぶです……。たちくらみ……」
私は声の主になんとか呟いたけれど。
うずくまってしまった私に覆いかぶさってきたものが誰なのか、ヒトなのかすら認識出来ない。
そんな外的感覚がおろそかになるほど、私は内的感覚に沈ませられていた。
「円佳さま、なにか?」
「いえ」
思わずつぶやいた言葉を拾われてしまった。
マダムに微笑むと、ドレスに思考を戻した。
今日、フィッテイングするドレスは何十着ものデザインから、透也くんと私が選んだ一品。
当然オートクチュールで、手製のレースにダイヤや真珠がふんだんにあしらわれている。
下品なことを言っちゃうと、四LDKの家が一軒建つほどのお値段。
なのに透也くんてば、そんなドレスを何枚も作ってお色直しをさせようとした。
やんわりとお断りし、このドレス一着にしてもらった。
だから、とても思い入れのある一枚である。
「きついところや動かしづらいところはございませんか?」
マダム・デュポワに訊かれて、私は腰をねじったり腕を伸ばしたのち、頷く。
今はビスチェを着て、調整をしてもらっているところである。
サムシングブルーをあらわす下着。
あえてドレスと連動していないデザインにした。
ふふ、そのほうが脱がせた時に二度おいしいかなって。
いやん、私ったらエッチ~!
「ウエストが少し細くなられましたね……。もう少しお詰めしてよろしいでしょうか」
私はまたも頷く。
「ウ」
きゅ、とウエストを締められた途端、息が詰まった。
「っ、円佳さま、申し訳ありません!」
マダム・デュポワが慌てて緩めてくださったけれど、眼の前が真っ暗になった。
「誰かっ、お医者さまを!」
私のただならぬ様子に気づいたのだろう、マダムの声が大きくなる。
「だ、いじょうぶです……。たちくらみ……」
私は声の主になんとか呟いたけれど。
うずくまってしまった私に覆いかぶさってきたものが誰なのか、ヒトなのかすら認識出来ない。
そんな外的感覚がおろそかになるほど、私は内的感覚に沈ませられていた。
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