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ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間

水田歩

結婚式の164時間前〜ドレスが苦しい〜①

 午後三時。
  
 バラバラバラ……ヘリコプターの音が聞こえてきた。

 この別宅は、風光明媚な場所に建てられてるんだけど、陸の孤島だから交通手段は空だのみ。
 物資の輸送時間は朝の十時と決まっているし、透也くんのご両親の到着は明日。
 ということは、パパラッチなんだろうな。

 そういえば、来賓の方たちはいつお見えになる予定なんだっけ。 
 どういった話題が好まれるのか、予習しておかなくちゃならない。
 どんな方たちが来られるのか、執事さんにあとで確認しておこうっと。
 それにしても。

「よっぽど近くを飛んでいるのかな……」

 私たちの結婚式について『自粛のお願い』という名の報道管制が敷かれている。
 建物は所有地である山の中腹に建てられているので、敷地から一キロメートルほどの外周までしか飛行許可は出していない。

「遭難しそうなくらい広い敷地なので、防音・防弾ガラスの窓からは外の音は聞こえてこないはずなんだけどなあ」

 警備室に確認してみようかなとも思ったけど、私が気づいているくらいだから警備グループもナーバスになっているはず。
 いっか。
 なにかあれば、報告がくるだろうし。

「『世紀の結婚式』ですもの、仕方ないかもしれませんわね。わたくしも携わることが出来て光栄ですわ」

 キョロキョロしていたのを気づかれたらしい。
 出来上がったウエディングドレスを確認してくださっているデザイナーのマダム・デュポワが、華やいだ声を出された。

 たしかに。
 透也くんは『世界総資産の数パーセントを占める』とささやかれている嘉島財閥の御曹司。

 既にいくつかの企業のCEOを兼任しているけど、結婚を機にグループ全体を束ねることが決まっている。
 加えて名家だから各界、それこそ外国の王族とも結びつきは強い。

『トウヤ・カシマの結婚は単なる結婚ではない、ロイヤルウエディングだ』

 以前からさまざまなメディアが揶揄していた。くわえて。

『彼の結婚は、世界的ビッグニュースになることは間違いない』
 らしい。

 私のことを『令和最高のシンデレラ』と評しているのも知っている。
 セレブ・オブ・セレブが庶民と結婚するんだもの、そりゃ報道も過熱するよね。

「マスコミも、透也さまを射止めた円佳さまのお姿を、なんとしてもカメラに納めたいのでしょう……あ」

 マダムが気まずげな顔をされた。
 通常の結婚式ならば主役は花嫁だと思い出されたみたい。
 コホンと咳をして誤魔化すマダムの横顔を見ながら、私は透也くんのことを考えていた。

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