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ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間

水田歩

結婚式の流石に4年前〜初めての夜は二日間〜①

 
 透也くんは学生ながら頭角を現し始めていた。
 色々起業もしていたようだし、グループ企業も任されているようで、メディアにインタビュー記事が載ることも珍しくなかった。

 グループ総会で彼が次期総帥になることが満場一致となったところで、再び彼は私に永遠の愛を乞うてくれ、私たちは正式に婚約者同士となった。

 一方の私は大学を無事卒業し、念願だった乳児院に勤めていた。
 ――結婚後は総帥夫人としての仕事が増える為、養護教諭の仕事を辞めることになっている。
 不安もあるし、大好きな仕事を手放す寂しさはある。
 だけど透也くんを愛しているから、彼の願いはなんでも叶えてあげたかった。
 働きつつ、彼が私のことで恥をかかないように家庭教師をつけてもらって上流階級のことを勉強しはじめたんだけど。

「……あれ?」

 ふたを開けてみればお茶もお華も、日舞もダンスも。外国語に乗馬にスキーにゴルフ、護身術。

『円佳ちゃん、一緒にやろうよ』と透也くんに誘われて、小学生に入る前からしていたことだった。
 世界経済についてや対人スキルも、さりげなく透也くんが私とのお茶をするときにお喋りしていたことだった。
 ――彼に導かれていた。

 透也くんはプロポーズの言葉とおり、私が居心地悪くないように、全ての道をととのえてくれている。
 彼への好き、という気持ちがたくさん生まれた。
 なのに、この気持ちを透也くんにぶつけたいのにかなわない。

 ……というのもな・ぜ・かっ! 
 相変わらず、キスどまりの清い交際だったんである!

 透也くんの性欲がなくなったわけではないだろうし、『エッチとはなんぞや』ってことは知っている……と思う。

 キスをしながら、手があやしい動きもすることもあったし。
 密着すれば息も荒くなって、心臓の動きも激しくなっていたし。
 その……、スラックスのファスナーあたりがぱつんぱつんになっていたのも感じられていたし。

 就職してから私が長期休暇取りづらくなっちゃったけど、それでも年に一回くらいは海外に連れていってもらってるのに。

「なんで……? 異国情緒は性欲に影響を及ぼさないのかな」

 うーんむ。
 透也くんめぇ~、どれだけ我慢プレイ好きか!
 やっぱりどこかでリビドーを解消して(以下略)

 ――彼のことだから、エッチするタイミングも考えていたのだろうけど。私にはSEXデー違った、Xデーがいつなのかは教えてもらえなかった。
 私から手を出せない以上、『マテ』をするしかない。

「ここまできたら、まさかの『リアル』ヴァージンロードなの?」

『押し倒しちゃえばいいのに。透也くんは拒まないわよ』
 奔放な本能が私にささやく。

『法律は守らなきゃだめでしょ! ……それに、透也くんに拒まれたらどうするの?』
 優等生な理性が性欲をたしなめてきて、私はしぶしぶ従ってきた。

 悶々としつつ、透也くんの二十歳の誕生日。
 珍しくオフだと言う彼のために、お誕生日パーティを開くべく、嘉島の屋敷で張り切っていると。

『二十歳になったから、円佳ちゃんのハジメテを僕にください』
 あらたまった表情の透也くんからとお願いされた。

『なんで、私がヴァージンだと決めつけてるのよ! 体が寂しくて透也くんの知らない誰かと、とっくに処女喪失していたとか思わないわけ? どんだけ自信満々か!』
 思わないでもなかった。

 でも念願の透也くんとの初エッチに、怒りなんて吹っ飛んでしまった。
 私がファーストキスのときよりも激しく頷くと、透也くんに高級ホテルのスイートルームに連れて行かれた。

 ガチガチに緊張しまくっている私を彼はひょいと抱き上げた。
 すたすたと歩いたあと、ぽすりとソファに横たえられる。
 上から覗き込んでくる透也くんは艶を含んだ笑みを浮かべていて、壮絶に色っぽい。
 この人とこれからあんなことやこんなことをしちゃうんだ……と想像しただけで、鼻血が出そうになった。

「真っ赤な顔をしちゃって。キスをねだってるの? 円佳ちゃん、可愛い」

 優しい声で唇を食まれてしまった。

「ふ、ぅん……」

 自分の鼻から抜ける声を聞きながら、私たちキスが上手くなったもんだな、と思った。

「舌を出して」

 言われたとおりにすると、ちゅうと吸われた。
 根元を探るように、透也くんの舌が口の中に入り込んでくる。
 くちゅくちゅと音をさせながら、私たちは舌を絡ませあった。
 飲み下せない唾液があふれたのを彼の唇が辿っていく。
 透也くんにきつく鎖骨を吸い上げられ、胸を揉み込まれて、私は小さな悲鳴をあげた。

 は、と透也くんが体をはなす。
 荒い息のなか、私と彼は見つめあった。
 やがて透也くんは、ふうーと大きく息を吐き出すと、私の髪を撫でた。

「お風呂、入ってきなよ」

 掠れ声で言われ、私はゆっくり起き上がった。
 力のはいらない足をなんとか動かし、バスルームにたどりついて、震える手で洋服を脱いだ。

 シャワーを浴び、三・四人は浸かれそうな浴槽に身を沈める。
 緊張と期待に心臓はドキドキしていた。
 入れ替わりで彼がバスルームに入っていく。
 ベッドに寝ているべきなのか、わからない。

 とりあえずベッドに座って所在なく眼をうろつかせていると、透也くんがあっというまに出てきた。
 バスローブを着込んだ私と違って、腰にバスタオルしか巻いてない。
 あれ。
 バスローブ、二着あったよね?て考えているうちに、押し倒されていた。

 ポタポタと雫が落ちてきたので見上げれば、透也くんの髪から水滴が落ちてくる。
 ドライヤーを使わなかったらしい。
 手を回してみれば、背中も胸も脚も拭ききれていないようだった。
 ねえや根性が出てきて、拭いてあげたくなる。

 気づけば彼が余裕のない表情をしていて、私の体温も一気にあがっていく。

「ごめん、もう待ってあげられない」

 透也くんの言葉に、いよいよだと観念した私は頷いた。

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