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ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間

水田歩

結婚式のなんと6年前〜結婚式リスケ〜 ③

「ようやく円佳ちゃんと結婚できるって、はりきって準備してたのに」

 なんとか意識を取り戻した透也くんは、怜悧な財閥の後継者ではなく少年みたいだった。
 私を恨めしそうに見て、呟く。

 くだけた透也くんを初めて見るのだろう、ボディーガードの人たちがぎょっとしているのがサングラス越しでもわかる。

 私だけの透也くんが他の人にバレちゃうのもったいないな。
 でも、可愛いと思ってもらえるほうが、透也くんを助けてくれる人はもっと増える。

「そんなこと言われましても」

 車と船は急には止まれないというか、なんというか。

「なんで、私の予定を調べておかなかったの?」

 用意周到な透也くんとしては、珍しい大失敗だ。

「だってさあ……」

 むう、と拗ねてしまった。
 か、かわいい。貴公子が台無しだよ。

 私ったら無意識に、ニヨニヨしてしまったんだろう。
 ますますふくれっつらをするから、透也くんのほっぺをつついちゃった。
 手を捕まえられて、手のひらを舐められる。
 あん。

「予定では僕の誕生日を結婚式にする予定だったのにさ? 母上から『プロポーズも高校生と高卒では真実味が違う』と言われちゃって。そんなの、僕の気持ちに違いはないのに」

「確かに」

 お義母様、わかってらっしゃる。私が思わず呟けば、透也くんの顔がぱあっと明るくなった。

「だよね!」
「そういう意味じゃないから!」

 私は容赦なくツッコミを入れた。

 日本では、成人は二十歳。
 透也くんは四月から大学に進学予定だし、私だって学業なかば。
 二人とも、親のすねかじりである。

 彼がとんでもないお金持ちの息子なのはわかっているけど、お小遣いの出所はご両親だろう。
 バイトしていている私も衣食住を母に頼っている。

「他のカップルが学生結婚してもなんとも思わないけれど、私は自分が結婚するなら就職してからと決めてるの。私が就職してて、相手が学生なのはともかく。自分が学生のうちは、相手も学生だったら却下」

 自論を展開すると、透也くんのバーチャル耳と尻尾が面白いほどに垂れてしまった。

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