ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間
結婚式のなんと6年前〜結婚式リスケ〜①
透也くんと距離を置こうと決心したその日は、彼の高校の卒業式だった。
母に話を切り出す前に、彼からメッセージが届いた。
『円佳ちゃんの大好きな絵が日本に来たんだ。これから迎えに行くから、美術展を見に行かない?』
私は最後のデートにふさわしい、最上級のおめかしをして彼を待った。
リムジンが嘉島家の玄関に到着した。
車内から出てきた透也くんは、なぜか制服ででかけたはずなのに三つ揃いのスーツに着替えていた。
普段、流している前髪をきちんと抑えていて、凛々しさ倍増である。
彼の胸に挿した、ブートニアと同じ花で作ったミニブーケを渡される。
抱き寄せられて額にキスされた。
……いつのまに、こんなに背が高くなっていたのだろう。
フルパワーではないのに力強かった。
触れられた指は長かったけれど筋張っていた。
エスコートされて車に乗り込む。
横顔がシャープになっていた。
あ、喉仏。
かすかにアフターシェーブローションが薫る。
男の人、だった。
心臓がどっきんどっきんしはじめる。
車内でお気に入りの紅茶と、大好きなパティスリーのお菓子を頂いた。
透也くんが話しかけてくれるのだけど、微笑みのおかげで味も内容もわからない。
建物の入口でこそスタッフの方に迎えられたものの、建物のなかはしん……としている。
訊けば美術館を借りきったのだという。
びっくりしているうちに私は、大好きな絵の前に透也くんと二人で立っていた。
「家永 円佳さん。愛しています。結婚してください」
突然、跪いた彼に手を取られ、四重奏が流れてくるなかプロポーズをされた。
固まっているあいだに、左手の薬指に大っきなダイヤの指輪を嵌められた。
薬指にキスされて、見上げられた。
まさか、そんな。
「両親は僕たちの仲を認めてくれてるよ」
慌てて断ろうとしたら、私を見上げた透也くんに先に言われてしまった。
確かに透也くんのお父様やお母様は、私のことを住み始めた当初からウエルカムだった。
『円佳ちゃんは親友のお嬢さんで透也の妻、ということは娘だから! わたくしのことはママンって呼んでいいのよ』
『じゃあ私のことはダディと呼んでくれるかな』
顔をあわすたびおっしゃってくださるけれど、それとこれとは……!
私が固まっていると、透也くんは微笑んでくれた。
「色々な軋轢は僕が全て受け止める。僕の大好きな円佳ちゃんに、一生そばにいてほしい」
喉に熱いものがこみあげてきて、言葉を紡げない。
「……結婚、してくれるでしょう?」
何度か喋ろうとして失敗したので黙っていたら、透也くんに不安そうな顔をされてしまった。
ああ、もう!
外堀埋められちゃったらイエス、ていうしかないじゃない。
泣きださないよう力をこめすぎたあまり、変顔になりつつなんとかうなずいた。
透也くんは愛おしそうに私の手の甲にキスをしたのち、すっくと立ち上がると百万ドルの笑顔で宣言した。
「良かった……! 円佳ちゃん、明日の式は十五時からにした。それだけ時間あったら、支度は大丈夫だよね」
「は?」
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