ヤンデレ御曹司から逃げ出した、愛され花嫁の168時間
結婚式まえ彼との15年間⑤
彼が名門中等部を卒業し高等部へとすすみ、私は大学生になった。
透也くんには未成年であっても、財閥の後継者としての勉強があったから毎週デートをする訳にはいかなかった。
私達は忙しい彼のスケジュールの合間に二人の時間を持った。
私は不満なんて一度も感じたことはない……と言えれば、我ながらカッコいいんだけど。
成長していくにつれ私は、キスや手を繋ぐだけでは物足りなくなってしまった。
彼はいずれ、どこかの令嬢と婚約する。
別れたあとでも思い出せるように、愛された記憶が欲しい。
「でもなー……、」
五年前に断った手前、私からは誘いづらい。
しかも私は二十歳になっちゃったのに、透也くんは十七。
淫行罪が適用になってしまう私からは、法律を破る勇気を持てなかった。
「海外に行くときは必ず誘ってくれるのにぃ……」
学期中のお誘いは断っていたけど、たまに長い休みのときはついていった。
……海外でなら、透也くんもそんな気持ちになっちゃうかなと期待してたんだもん。
しかーし! 私のワクワクドキドキは、毎回裏切られたのだった。
私がひたすら待ての日々だったのに、透也くんから焦っている気配は感じ取れない。
イライラムラムラして、悶々とする日々だった。
「どうしてエッチしてくれないの? もしかして、同級生とイタしてるから、スッキリしてるの?」
なじりたくなってしまったことは数十回以上。
むしろ、見つめられると私が抱いている欲求不満な気持ちを見透かされそうで、眼を逸らすようになってしまった。
彼はきっと私のなかの執着心に、そして私への気持ちが冷めたことに気づいてしまったんだ。
私を抱かないことが透也くんの誠意なんだと、無理矢理に思おうともしてみた。
彼が私に触れないようにしているのに、私が彼を誘っちゃいけない。
けれど近くにいれば、引き寄せられてしまう。キスやハグ以上のものをねだってしまう。
私は決心した。
「透也くんを襲わないうちに、近づくのをやめよう!」
母に言って嘉島家を出させてもらったほうがいいのかもしれない……。
 
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