元ギルドの受付嬢、転移者に助けられ、お気楽冒険者生活 -どうやら、私にはクビになった受付嬢より冒険者の方が向いていたようです。-
第28話 改名
正体がバレたかもしれませんが、捕まるのを恐れてビクビク生きていてもいいことはありません。
見つかってしまってもどうにかなるでしょう。ここは割り切って、気にせず生きることにしました。
「ミーヤさん。帰りましたよ」
「お帰りなさい!今日はお早いお帰りですね?」
「工房で思いの外時間がかかったから、採取には行かずにそのまま帰ってきたからね」
「そうですか。それで、クーラーと製氷機はどうにかなりそうですか?」
「バッチリよ!一号機を黒曜亭に入れてもらえることになったから」
「そうですか。それはよかったです。それで、おいくらになりました?」
流石はミーヤさん。遠慮しらずにそれを聞いてきますか。ですが、金額が大きいですからね。
私はミーヤさんの耳元でヒソヒソと囁いた。
「内緒ですからね。白金貨七枚」
「えー!そんなに!すみません。私にはとても出せません!」
ミーヤさんが大声を上げます。
どうも私はミーヤさんの言葉を勘違いしたようです。
ミーヤさんは私がもらったお金がいくらになったかでなく、ミーヤさんが払わなくてはならないお金がいくらになったのか聞いてきたようです。
そうですよね。普通なら大金を出して設置してもらう物ですよね。
「あ、違うんです!今のは間違い!ミーヤさんに払ってもらうお金はありません。黒曜亭には、ただで設置しますから安心してください」
「タダでいいんですか?なんでまた?」
「そういう契約にしてきたから大丈夫ですよ」
「腑に落ちません!」
「実はクーラーとかを販売する権利を、工房に売ったんです。その契約条件の一つとして、黒曜亭にタダで設置することになったんです」
「それって、本来ミハルさんたちが受け取るべきものですよね?」
「私たちは別に貰ってるから大丈夫ですよ」
「それでも、私がタダでもらうのはおかしいです___」
「そう言われると、確かにそうなんだけど___。私はミーヤさんに借金奴隷になってほしくないの。そのためには協力を惜しまないわ」
「なぜ、そこまで私のことを心配してくれるのですか?」
「借金奴隷の話を聞いて、他人事だと思えなかったからだけど、人を助けられるだけの力があるなら、助けるべきだと思うの___」
「ノブレス・オブリージュ、貴族の義務というやつだね」
マーサルが何かそれっぽいことを言っています。
「ミハルさんは貴族なのですか?」
「いえ、違うわ!そんな高貴なものではないけど、考え方はそれに近いのかもしれないわね」
「どうしても気になるようなら、クーラーとかはレンタルということにしたらどうだろう?レンタル料金は、クーラーとかを使って得られた利益の何割かということでどうかな?」
マーサルが妥協案を提案してくれます。
「それでしたら私は嬉しいですが。本当によろしいのですか?」
「ミーヤさんが納得するならそれでいいわ」
マーサルの案で、なんとか話がまとまりました。
「それと、前にも話した通り、クーラーの設置に合わせて、黒曜亭の名前を変更してはと思うのだけど?」
「そうですね。心機一転を狙うなら、その時がいいでしょうね___」
「それで、考えたんだけど「白銀亭」なんてどうかしら?」
「それは涼しそうでいいですね!」
ミーヤさんは気に入ってくれたようです。
「キラキラしたイメージがミーヤさんにぴったりじゃないか」
マーサルも賛成のようです。
「オーナーを差し置いて、宿の名前を決めるのは心苦しいんだけど」
「そんなことないですよ。いい名前だと思いますし、ミハルさんは普通では返せない程に協力してもらっていますから。もう、大切な仲間です!」
「仲間か・・・」
今まで仲間といえた人がいただろうか、孤児院でも、ギルドでも、いつも孤独だったような気がします。
好意的に接してくれる人もいましたけど、仲間と呼べるものではありませんでした。
マーサルは特別だけど、仲間というより、兄という感じです。
「それじゃあ新しい名前は「白銀亭」で決定ということで、クーラーとかの設置に一月はかからないと思うけど、その間に看板とかも書き換えないとな」
「そ、そうですね」
「リニューアルのチラシなんかも用意した方がいいんじゃないかしら?」
「何か忙しくなりそうだな___」
「頑張ります。でも引き続き相談には乗ってくださいね」
「勿論、できる範囲で協力するわよ。仲間なんだから!」
私は笑顔でミーヤさんに返事をするのでした。
見つかってしまってもどうにかなるでしょう。ここは割り切って、気にせず生きることにしました。
「ミーヤさん。帰りましたよ」
「お帰りなさい!今日はお早いお帰りですね?」
「工房で思いの外時間がかかったから、採取には行かずにそのまま帰ってきたからね」
「そうですか。それで、クーラーと製氷機はどうにかなりそうですか?」
「バッチリよ!一号機を黒曜亭に入れてもらえることになったから」
「そうですか。それはよかったです。それで、おいくらになりました?」
流石はミーヤさん。遠慮しらずにそれを聞いてきますか。ですが、金額が大きいですからね。
私はミーヤさんの耳元でヒソヒソと囁いた。
「内緒ですからね。白金貨七枚」
「えー!そんなに!すみません。私にはとても出せません!」
ミーヤさんが大声を上げます。
どうも私はミーヤさんの言葉を勘違いしたようです。
ミーヤさんは私がもらったお金がいくらになったかでなく、ミーヤさんが払わなくてはならないお金がいくらになったのか聞いてきたようです。
そうですよね。普通なら大金を出して設置してもらう物ですよね。
「あ、違うんです!今のは間違い!ミーヤさんに払ってもらうお金はありません。黒曜亭には、ただで設置しますから安心してください」
「タダでいいんですか?なんでまた?」
「そういう契約にしてきたから大丈夫ですよ」
「腑に落ちません!」
「実はクーラーとかを販売する権利を、工房に売ったんです。その契約条件の一つとして、黒曜亭にタダで設置することになったんです」
「それって、本来ミハルさんたちが受け取るべきものですよね?」
「私たちは別に貰ってるから大丈夫ですよ」
「それでも、私がタダでもらうのはおかしいです___」
「そう言われると、確かにそうなんだけど___。私はミーヤさんに借金奴隷になってほしくないの。そのためには協力を惜しまないわ」
「なぜ、そこまで私のことを心配してくれるのですか?」
「借金奴隷の話を聞いて、他人事だと思えなかったからだけど、人を助けられるだけの力があるなら、助けるべきだと思うの___」
「ノブレス・オブリージュ、貴族の義務というやつだね」
マーサルが何かそれっぽいことを言っています。
「ミハルさんは貴族なのですか?」
「いえ、違うわ!そんな高貴なものではないけど、考え方はそれに近いのかもしれないわね」
「どうしても気になるようなら、クーラーとかはレンタルということにしたらどうだろう?レンタル料金は、クーラーとかを使って得られた利益の何割かということでどうかな?」
マーサルが妥協案を提案してくれます。
「それでしたら私は嬉しいですが。本当によろしいのですか?」
「ミーヤさんが納得するならそれでいいわ」
マーサルの案で、なんとか話がまとまりました。
「それと、前にも話した通り、クーラーの設置に合わせて、黒曜亭の名前を変更してはと思うのだけど?」
「そうですね。心機一転を狙うなら、その時がいいでしょうね___」
「それで、考えたんだけど「白銀亭」なんてどうかしら?」
「それは涼しそうでいいですね!」
ミーヤさんは気に入ってくれたようです。
「キラキラしたイメージがミーヤさんにぴったりじゃないか」
マーサルも賛成のようです。
「オーナーを差し置いて、宿の名前を決めるのは心苦しいんだけど」
「そんなことないですよ。いい名前だと思いますし、ミハルさんは普通では返せない程に協力してもらっていますから。もう、大切な仲間です!」
「仲間か・・・」
今まで仲間といえた人がいただろうか、孤児院でも、ギルドでも、いつも孤独だったような気がします。
好意的に接してくれる人もいましたけど、仲間と呼べるものではありませんでした。
マーサルは特別だけど、仲間というより、兄という感じです。
「それじゃあ新しい名前は「白銀亭」で決定ということで、クーラーとかの設置に一月はかからないと思うけど、その間に看板とかも書き換えないとな」
「そ、そうですね」
「リニューアルのチラシなんかも用意した方がいいんじゃないかしら?」
「何か忙しくなりそうだな___」
「頑張ります。でも引き続き相談には乗ってくださいね」
「勿論、できる範囲で協力するわよ。仲間なんだから!」
私は笑顔でミーヤさんに返事をするのでした。
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