元ギルドの受付嬢、転移者に助けられ、お気楽冒険者生活 -どうやら、私にはクビになった受付嬢より冒険者の方が向いていたようです。-
第22話 今日も草原
昨日に引き続き、私とマーサルは草原に来て、薬草の採取と狩の練習に励んでいます。
昨日と違い、武器屋に寄っていない分、午前中から十分時間が取れ、知覚強化と、隠れ身によって、順調に獲物を狩ることができています。
お昼にミーヤさんが持たせてくれたお弁当を食べている最中ですが、既に昨日一日分を超え、ウサギ五羽とキジ四羽を仕留めています。
昨日と違うといえば、朝、ギルドによった時に、掲示板を確認すると、黒髪の身元不明人を探す張り紙がなくなっていました。
これは、諦めたということでしょうか?それとも、何らかの有力情報が入ったのでしょうか?
とにかく、教会が何を考えて、私を探しているのかわからないことには、話になりません。
だからと言って、その理由を私が聞きに行くわけにもいかず、いくら考えても思い当たる点がございません。
「何を考え込んでいるんだい?」
お弁当を食べ終わったマーサルが、心配そうに見てきます。
「教会が黒髪の身元不明者を探していたことよ。いくら考えても、私、教会に目を付けられるようなことをした覚えがないの・・・」
「そうか、なら、僕を探しているのかもしれないね」
「そういえば、マーサルも元は黒髪だものね。何か心当たりがあるの?」
「いやないけど、この国に来て、初めて会ったのがミハルだし、その後直ぐに茶髪にしてもらったから、黒髪であるのを知っているのはミハルだけだね」
「そうよね。日本から捜索願いが出されている可能性はないかしら」
「ないだろうね。日本にいた時この国の名前を聞いたことないからね」
「それなら、なぜ、探しているのかもと思うのよ?」
「具体的な理由はないよ。「カン」かな」
「それ、あてになるの?」
「馬鹿にするもんじゃないよ、二者択一なら五割の確率で当たる!」
「当たり前じゃない!」
「つまり、探しているのは、僕の可能性も五割あるということさ」
「両方という可能性と、どちらでもないという可能性もあるわよ」
「それは考えなかったな。どちらにしろ、ミハルである可能性と僕である可能性は同じさ」
これは、自分ばかり心配する必要はないと、マーサルが気をつかってくれているのでしょう。
「ありがとう」
「お礼を言われるまでのことでもないよ」
そう言ってマーサルは立ち上がりました。
「それじゃあ午後の部を始めますか!」
マーサルは手を引いて私を立たせてくれました。
「午後からも頑張りましょう」
午後の探索を始めると、直ぐに、今までにない大物を感知しました。
「獲物を見つけたわ。これは、イノシシみたいだけど、どうする?」
「イノシシか。ウサギとキジで慣れてきたから、試してみても大丈夫かな?」
「イノシシは、ウサギやキジと違って、襲ってくるから気を付けてね」
「それで、どちらが先にやる?」
「私がグレイブで、首を斬りつけてみるわ。倒しきれなかったらお願い」
「わかった」
私たちは隠れ身でイノシシに近付き、様子を窺います。
イノシシはこちらに気付いた様子はありません。
私はイノシシの首を上から下に薙ぎ払うように斬りつけるつもりでしたが、イノシンの身体を覆う体毛が、近くで見ると硬そうだったので、突き刺してから、切り裂くことに考えを変更しました。
私は気合を込めて、引きつけたグレイブをイノシシの首に目掛けて突き出します。
「ブキィー!!」
刃の部分が首に刺さって、イノシシが泣き喚きます。
そのまま下方向に力を込めて切り裂こうとしましたが、力が足りないのか上手くいきません。
イノシシが暴れ出して、グレイブを弾かれてしまいます。
首から血を流しながらも、イノシシがあたり構わず暴れ回ります。
私にはとても手出しができない状態です。
私が仕留めそこなったため、マーサルが氷の矢を打ち出し、イノシシの額を撃ち抜きます。
イノシシはそのまま絶命してしまいました。
「マーサル、ありがとう。助かったわ」
「ミハルの力だと切り裂くのは難しいか」
「私の魔力量だと身体強化の魔法は無理なのよね」
「そうなんだ。じゃあ、武器を強化したらどう。もっと切れやすくするとか?」
「剣に炎を纏わせる魔法はあるけど、私には魔力量的に無理ね」
「風ならできるんじゃないの」
「できなくはないけど、切れ味は変わらないでしょ」
「できるなら、風を音よりも高速に振動させて、刃を共振で振動させられれば、切れ味は格段に良くなるはずだよ」
「そんな方法があるの?共振とかよくわからないけど、やってみるわ。詳しく教えて!」
マーサルに教えてもらいながら、超音波を発生させます。振動の回数を増やしたり減らしたりしながら、近くにあった立ち木に対して、何度も試し切りをします。
そして、ついに、立ち木を滑るように切り倒すことに成功しました。
「やった!!やったわ。軽々と木を両断できたわ!これなら、私の力でもイノシシの首を落とせるかも!」
「やったな!それじゃあ、イノシシを探して試してみるか」
「そうしましょう!「超音波振動カッター」の切れ味を目に物見せてあげるわ!」
意気込んでイノシシを探したものの、その日のうちにイノシシを見つけることはできませんでした。
ギルドでは、イノシシ一頭、銀貨五十枚になりました。
ウサギ、キジ、薬草も合わせると、今日の稼ぎは総額銀貨八十四枚になりました
昨日と違い、武器屋に寄っていない分、午前中から十分時間が取れ、知覚強化と、隠れ身によって、順調に獲物を狩ることができています。
お昼にミーヤさんが持たせてくれたお弁当を食べている最中ですが、既に昨日一日分を超え、ウサギ五羽とキジ四羽を仕留めています。
昨日と違うといえば、朝、ギルドによった時に、掲示板を確認すると、黒髪の身元不明人を探す張り紙がなくなっていました。
これは、諦めたということでしょうか?それとも、何らかの有力情報が入ったのでしょうか?
とにかく、教会が何を考えて、私を探しているのかわからないことには、話になりません。
だからと言って、その理由を私が聞きに行くわけにもいかず、いくら考えても思い当たる点がございません。
「何を考え込んでいるんだい?」
お弁当を食べ終わったマーサルが、心配そうに見てきます。
「教会が黒髪の身元不明者を探していたことよ。いくら考えても、私、教会に目を付けられるようなことをした覚えがないの・・・」
「そうか、なら、僕を探しているのかもしれないね」
「そういえば、マーサルも元は黒髪だものね。何か心当たりがあるの?」
「いやないけど、この国に来て、初めて会ったのがミハルだし、その後直ぐに茶髪にしてもらったから、黒髪であるのを知っているのはミハルだけだね」
「そうよね。日本から捜索願いが出されている可能性はないかしら」
「ないだろうね。日本にいた時この国の名前を聞いたことないからね」
「それなら、なぜ、探しているのかもと思うのよ?」
「具体的な理由はないよ。「カン」かな」
「それ、あてになるの?」
「馬鹿にするもんじゃないよ、二者択一なら五割の確率で当たる!」
「当たり前じゃない!」
「つまり、探しているのは、僕の可能性も五割あるということさ」
「両方という可能性と、どちらでもないという可能性もあるわよ」
「それは考えなかったな。どちらにしろ、ミハルである可能性と僕である可能性は同じさ」
これは、自分ばかり心配する必要はないと、マーサルが気をつかってくれているのでしょう。
「ありがとう」
「お礼を言われるまでのことでもないよ」
そう言ってマーサルは立ち上がりました。
「それじゃあ午後の部を始めますか!」
マーサルは手を引いて私を立たせてくれました。
「午後からも頑張りましょう」
午後の探索を始めると、直ぐに、今までにない大物を感知しました。
「獲物を見つけたわ。これは、イノシシみたいだけど、どうする?」
「イノシシか。ウサギとキジで慣れてきたから、試してみても大丈夫かな?」
「イノシシは、ウサギやキジと違って、襲ってくるから気を付けてね」
「それで、どちらが先にやる?」
「私がグレイブで、首を斬りつけてみるわ。倒しきれなかったらお願い」
「わかった」
私たちは隠れ身でイノシシに近付き、様子を窺います。
イノシシはこちらに気付いた様子はありません。
私はイノシシの首を上から下に薙ぎ払うように斬りつけるつもりでしたが、イノシンの身体を覆う体毛が、近くで見ると硬そうだったので、突き刺してから、切り裂くことに考えを変更しました。
私は気合を込めて、引きつけたグレイブをイノシシの首に目掛けて突き出します。
「ブキィー!!」
刃の部分が首に刺さって、イノシシが泣き喚きます。
そのまま下方向に力を込めて切り裂こうとしましたが、力が足りないのか上手くいきません。
イノシシが暴れ出して、グレイブを弾かれてしまいます。
首から血を流しながらも、イノシシがあたり構わず暴れ回ります。
私にはとても手出しができない状態です。
私が仕留めそこなったため、マーサルが氷の矢を打ち出し、イノシシの額を撃ち抜きます。
イノシシはそのまま絶命してしまいました。
「マーサル、ありがとう。助かったわ」
「ミハルの力だと切り裂くのは難しいか」
「私の魔力量だと身体強化の魔法は無理なのよね」
「そうなんだ。じゃあ、武器を強化したらどう。もっと切れやすくするとか?」
「剣に炎を纏わせる魔法はあるけど、私には魔力量的に無理ね」
「風ならできるんじゃないの」
「できなくはないけど、切れ味は変わらないでしょ」
「できるなら、風を音よりも高速に振動させて、刃を共振で振動させられれば、切れ味は格段に良くなるはずだよ」
「そんな方法があるの?共振とかよくわからないけど、やってみるわ。詳しく教えて!」
マーサルに教えてもらいながら、超音波を発生させます。振動の回数を増やしたり減らしたりしながら、近くにあった立ち木に対して、何度も試し切りをします。
そして、ついに、立ち木を滑るように切り倒すことに成功しました。
「やった!!やったわ。軽々と木を両断できたわ!これなら、私の力でもイノシシの首を落とせるかも!」
「やったな!それじゃあ、イノシシを探して試してみるか」
「そうしましょう!「超音波振動カッター」の切れ味を目に物見せてあげるわ!」
意気込んでイノシシを探したものの、その日のうちにイノシシを見つけることはできませんでした。
ギルドでは、イノシシ一頭、銀貨五十枚になりました。
ウサギ、キジ、薬草も合わせると、今日の稼ぎは総額銀貨八十四枚になりました
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