勇者パーティーから追放された召喚士~2000年間攻略されなかったダンジョンを攻略して、伝説の武器や生き物と契約して楽しくやってます。懇願してもパーティには戻りません
追放されたけど、地上へと向かう
一週間ぶりに目覚めのいい朝を過ごしながら、朝食が用意されているテーブルへ腰掛ける。
向かいに座ったレーヴァは寝ぼけた僕を見て、クスッと笑うと、よく眠れましたかと訪ねてきた。
久々のベッドでの睡眠はこれまでにないほど深い眠りだったので、頷いて肯定を返す。
「ワート、おはようなのじゃ」
レーヴァと同じくよく眠れたかと訪ねてくるラクス。
「よく眠れたけどさ…昨日はどこ行ってたの?」
「うーむ、地上との移動方法を確かめておった」
「移動方法??」
ダンジョンの最下層から地上に出るには、専用のポートが必要だ。通常、そのポートはダンジョン攻略後に現れる。
しかし、それには一つ問題がある。
「転移ポートは片道のはずだよ。移動方法ってことは———」
「往復できるポートがあるんじゃよ。ここは我々、精霊族に対抗する者たちの基地じゃぞ?外から出入りできなくてどうする」
どうして、こうもラクスの言葉の中には初耳の話が多いのだろう。
「ここが基地?」
確かに妙に生活空間として整いすぎていると思っていたけど…。
「初めに行ったじゃろう。ここは神々の交叉点【高天原】じゃと。では、明日から出発——————む」
何かを感じ取ったラクスは、焦るように魔法を展開する。彼女の魔法によって僕らの目の前に映像が投射される。
「これは————」
ラクスの魔法によって、見覚えのある街が映し出された。
「リードの街ですね…」
その映像に映し出されているリードの街の向こう———彼方の平原に何かが大量に蠢いていた。
目を凝らすと、平原とその向こうの山脈に生息している魔物の大群を確認した。
「魔物の移動っ———以前の移動は50年前に行われていたはずです!」
魔物は数百年に一度、生態系の移り変わりによって大移動すると言われている。レーヴァの言うとおり、最後の移動は数十年前。今、自然に起こるにしてはタイミングがおかしい。
「————どうやら、此奴らは何かから逃げておるの」
鋭い視線で映像を直視し、映像の奥の方を指差す。
そこには巨大な翼を広げたナニカが魔物たちの後を追い、リードの町に迫っている。
「————ドラゴンっ!?」
初めて見た伝説の生き物に驚き立ち上がる。
「なんでこんなところにドラゴンが…遥か北の山脈で眠っているはずだ!」
「理由はわからんが、このままここでのんびりする訳にも行かなくなってきたな」
ラクスの言葉に頷き、ダインを手に取る。
「助けに行こう!街が危険だ!」
あの数の魔物だけじゃなくて、ドラゴンまで———。戦力は多いに越したことはないだろう。
このダンジョンで多少は強くなった自信もある。きっと今なら街のために戦えるはずだ。
3人とも荷物を手に取り、出発の準備を整える。
『行ってしまうのですね…せっかくの二千年ぶりのお客様だったのに…』
『うーえん!さみしいよー!』
『けっ。さっさと行っちまえ。どうせ、ここにはまた来やがるんだ』
最後の神が女神たちに頬を引っ張られている音が聞こえ、苦笑いを浮かべる。
ラクスに連れられ、地上への転送陣の前までやってくると、年配の神から呼び止められた。
『お主にはこのダンジョンを攻略した初めの者として、報酬をやらないといけないのぉ』
「報酬?てっきり、それが【高天原】だと…それに、ダンジョンが崩れていないから攻略してないってことになるんじゃ…」
あれはあくまで、我々の基地じゃよ。と前置きを挟み言葉を続ける。
『ダンジョンを崩壊させていた理由は、何かの間違いで精霊たちに情報が漏れないようにするためじゃ。このアネモイなら、奴らに情報が漏れることもなかろう』
彼の言葉に素直に良かったと感じた。また、このダンジョンに戻ってくれば彼らと話すことができる。
『ワート、お主が精霊族を打倒するために必要な【新たな力】を授けよう』
「———新たな力?」
僕の呟きなんて、いざ知らず、どこからともなく現れた青色の光が僕の中に取り込まれた。
『その力は直にお主の魂に馴染み、新たな力を発現させる』
何をくれたのかはわからないけど、今は地上へ急がないといけない。気になるけど検証はあとでしよう。
転送用の魔法陣の上で待つラクスとレーヴァに追いつき、その上に立つ。
『このダンジョンの特性は【風】。風は万物の成長を表し、全ての生命を後押しする福音じゃ。きっと、お前さんにぴったりの能力じゃよ』
「ありがとう!」
魔法陣が輝きを帯始めた。そして、視界が光に包まれる。
『旅路に、祝福があらんことを』
神々の祝福と共に、僕たちはダンジョンを後にした。
向かいに座ったレーヴァは寝ぼけた僕を見て、クスッと笑うと、よく眠れましたかと訪ねてきた。
久々のベッドでの睡眠はこれまでにないほど深い眠りだったので、頷いて肯定を返す。
「ワート、おはようなのじゃ」
レーヴァと同じくよく眠れたかと訪ねてくるラクス。
「よく眠れたけどさ…昨日はどこ行ってたの?」
「うーむ、地上との移動方法を確かめておった」
「移動方法??」
ダンジョンの最下層から地上に出るには、専用のポートが必要だ。通常、そのポートはダンジョン攻略後に現れる。
しかし、それには一つ問題がある。
「転移ポートは片道のはずだよ。移動方法ってことは———」
「往復できるポートがあるんじゃよ。ここは我々、精霊族に対抗する者たちの基地じゃぞ?外から出入りできなくてどうする」
どうして、こうもラクスの言葉の中には初耳の話が多いのだろう。
「ここが基地?」
確かに妙に生活空間として整いすぎていると思っていたけど…。
「初めに行ったじゃろう。ここは神々の交叉点【高天原】じゃと。では、明日から出発——————む」
何かを感じ取ったラクスは、焦るように魔法を展開する。彼女の魔法によって僕らの目の前に映像が投射される。
「これは————」
ラクスの魔法によって、見覚えのある街が映し出された。
「リードの街ですね…」
その映像に映し出されているリードの街の向こう———彼方の平原に何かが大量に蠢いていた。
目を凝らすと、平原とその向こうの山脈に生息している魔物の大群を確認した。
「魔物の移動っ———以前の移動は50年前に行われていたはずです!」
魔物は数百年に一度、生態系の移り変わりによって大移動すると言われている。レーヴァの言うとおり、最後の移動は数十年前。今、自然に起こるにしてはタイミングがおかしい。
「————どうやら、此奴らは何かから逃げておるの」
鋭い視線で映像を直視し、映像の奥の方を指差す。
そこには巨大な翼を広げたナニカが魔物たちの後を追い、リードの町に迫っている。
「————ドラゴンっ!?」
初めて見た伝説の生き物に驚き立ち上がる。
「なんでこんなところにドラゴンが…遥か北の山脈で眠っているはずだ!」
「理由はわからんが、このままここでのんびりする訳にも行かなくなってきたな」
ラクスの言葉に頷き、ダインを手に取る。
「助けに行こう!街が危険だ!」
あの数の魔物だけじゃなくて、ドラゴンまで———。戦力は多いに越したことはないだろう。
このダンジョンで多少は強くなった自信もある。きっと今なら街のために戦えるはずだ。
3人とも荷物を手に取り、出発の準備を整える。
『行ってしまうのですね…せっかくの二千年ぶりのお客様だったのに…』
『うーえん!さみしいよー!』
『けっ。さっさと行っちまえ。どうせ、ここにはまた来やがるんだ』
最後の神が女神たちに頬を引っ張られている音が聞こえ、苦笑いを浮かべる。
ラクスに連れられ、地上への転送陣の前までやってくると、年配の神から呼び止められた。
『お主にはこのダンジョンを攻略した初めの者として、報酬をやらないといけないのぉ』
「報酬?てっきり、それが【高天原】だと…それに、ダンジョンが崩れていないから攻略してないってことになるんじゃ…」
あれはあくまで、我々の基地じゃよ。と前置きを挟み言葉を続ける。
『ダンジョンを崩壊させていた理由は、何かの間違いで精霊たちに情報が漏れないようにするためじゃ。このアネモイなら、奴らに情報が漏れることもなかろう』
彼の言葉に素直に良かったと感じた。また、このダンジョンに戻ってくれば彼らと話すことができる。
『ワート、お主が精霊族を打倒するために必要な【新たな力】を授けよう』
「———新たな力?」
僕の呟きなんて、いざ知らず、どこからともなく現れた青色の光が僕の中に取り込まれた。
『その力は直にお主の魂に馴染み、新たな力を発現させる』
何をくれたのかはわからないけど、今は地上へ急がないといけない。気になるけど検証はあとでしよう。
転送用の魔法陣の上で待つラクスとレーヴァに追いつき、その上に立つ。
『このダンジョンの特性は【風】。風は万物の成長を表し、全ての生命を後押しする福音じゃ。きっと、お前さんにぴったりの能力じゃよ』
「ありがとう!」
魔法陣が輝きを帯始めた。そして、視界が光に包まれる。
『旅路に、祝福があらんことを』
神々の祝福と共に、僕たちはダンジョンを後にした。
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