勇者パーティーから追放された召喚士~2000年間攻略されなかったダンジョンを攻略して、伝説の武器や生き物と契約して楽しくやってます。懇願してもパーティには戻りません
追放されたけど、未踏破階層に挑む
凄まじい速度でドラゴニュートが飛来する。
「———ッ!」
間一髪で躱し、ダインを振るう。ドラゴニュートの堅牢な鱗によって刃は弾かれ、ダメージを与えることができない。
「くそっ!」
ドラゴニュートの群れに僅かな隙を見出して、包囲網を突破。ダンジョンを駆ける。
———咆哮。ドラゴニュート達の威嚇によって魂が震える。
こんなところで怯んでられない。なんとしてもドラゴニュートを討伐して、ラクスに頼らずにこの階層を攻略しなければならない。
「まずは、ドラゴニュートの群れを分裂させる。1匹ずつ戦えば勝機はあるはずだ」
『ワート、左に進め!この地形ならその方向は道が狭いはずだ!』
ダインの指示に従い、全力でドラゴニュート達から逃げる。幸いなことにドラゴニュート達の威嚇によって、奴ら以外の魔物が1匹もいない。どうやらこの階層ではドラゴニュートがヒエラルキーのトップに位置してるようだ。
ダインの予想通り、徐々に道が狭くなってきた。左右を巨大な岩々に囲まれたこの場所なら、各個撃破できる。
———ただ、火力が足りない。ドラゴニュートのあの鱗を切り裂くような力が必要だ。 僕が契約している魔物達では、間違いなくドラゴニュートには勝てない。
「ダイン、レーヴァテインを呼ぶ」
『そうだろうと思ったぜ!俺様が蓄えた魔力、全てお前に回してやる。あのじゃじゃ馬を使いこなしてみろ』
これから呼ぶ武器。武器の名前はレーヴァテイン。
人大陸の伝説に名を刻まれた名剣。勇者が振るった剣と言われ、とある山奥で一人眠っていた。勇者が振るう剣とされているけど、今代の勇者グランと相性が悪く、なぜか僕と契約している。
そして、ダイン同様、意思を持つ剣でもある。聖剣というだけあり、尋常ではない魔力を消費する。僕程度の魔力量では、一瞬で枯れ果ててしまう。だからこそ、ここぞと言う時だけ、彼女を召喚することにしている。
『奴らが来たぞ!さっさとあのじゃじゃ馬、呼んじまえ!』
「『契約召喚』レーヴァテイン!」
通常の蒼の魔法陣が紅に染まっていく。僕の魔力光を召喚対象であるレーヴァテインの魔力が上書きしている証拠だ。
紅の魔法陣から聖剣が現出する。素朴な装飾ながら、圧倒的な存在感。発せられる魔力だけで皮膚が焼きつけられる。
こちらに向かっていたドラゴニュート達も、レーヴァテインの危険性を感じ取ったのか、彼女を前に足を止めた。
柄を握り、一気に魔法陣から引き抜く。その一振り空気が燃える。熱風で前方にいた1匹のドラゴニュートが炎に包まれた。
『ようやく…私を振るってくれる気になったのですね、ワート』
「これまではごめん!とにかく今は———アイツらを倒すから力を貸して!」
『もちろんです。私に相応しいのは貴方しかいないのだから』
レーヴァテインが凄まじい勢いで魔力を吸い取っていく。ダインから魔力を共有されているから良いとして、長期戦は可能な限り控えたい。
ただの魔力で仲間が燃え上がったことにより、ドラゴニュート達も警戒心を上げている。
「行くよ、レーヴァ!」
レーヴァテインを振るう。巨大な炎がまるで意思を持ったように、ドラゴニュート達を襲う。ドラゴニュート達は防御魔法を展開するが、その炎は彼らに直撃することはなかった。
———爆発音と熱風が襲う。
レーヴァテインが生み出した炎は、ドラゴニュート頭上の巨大な岩に直撃し、崩落を引き起こした。
巨大な岩石群がドラゴニュートを襲う。翼を拾って、上空へ退避することは不可能。
ドラゴニュートに向かってかけ出す。上空への退路が立たれた奴らの次の行動。格下の僕が相手なら、奴らの行動は一つ、前進しかない。
予測通り、岩石群を躱しながら、ドラゴニュートがこちらへと前進する。頭上の岩石群を意識しながらの相手であれば、僕の剣技でも、十分対応できる。
ドラゴニュートが発動する魔法をかわし、懐に潜り込む。
「———ハァッ!」
レーヴァテインで胴を薙ぐ。その切れ味は、竜人を斬ったと思えないほど、手応えがない。
次々とやってくるドラゴニュートに視線を移す。レーヴァテインに魔力をこめ、巨大な炎を生み出し、レーヴァテインを振るう。巨大な炎は指向性を持ち、炎の波となってドラゴニュート達を飲み込んだ。
炎に包まれたドラゴニュート達の断末魔がダンジョンに響く。
能力値が高いであろうドラゴニュート数匹が炎の波を切り裂き、飛来する。頭上から降り注ぐ岩石群を巧みな低空飛行で躱していく。
足元を固め、ダインからの魔力をレーヴァテインに流し込んでいく。レーヴァから巨大な炎が吹き出し、その炎が次第に赤から青へと変化していく。炎をより圧縮し、高熱に、純度の高い炎へと変換する。
蒼の炎を纏ったレーバテインを構える。接敵まであと5m。
「『蒼炎、一閃』」
———蒼炎を纏った灼剣が空気を焼き斬った。
こちらに向かっていたドラゴニュート達の姿は一瞬で消え果てた。圧倒的火力によって、体そのものが蒸発させられたのだ。
地面は融解し、所々結晶化している。
「はぁ、はぁ、」
———ドサッ。
倒れ伏しそうになるところを誰かに抱き留められた。
「本当に…貴方はいつも無茶しますね…」
「レーヴァ…」
「やはり私を振るうにはまだ早かったようですね」
オレンジ色の髪をした女性———レーヴァが僕を壁にもたれさす。
「しばらくは人化しておきます。この方が魔力の消費は少ないはずです」
「…やっぱりグランみたいに、君を振るうには早かったよ。ただ——助かった。ありがとう」
レーヴァは僕の頭を撫でると、静かに笑う。
「こうして、貴方を撫でてあげるのも久しぶりですね」
「これ恥ずかしいからなぁ…。勇者パーティーにいる時は人化する機会なんてなかったし、君はグラン嫌いだもんね…」
勇者であるグランと、聖剣であるレーヴァ。この二人は壊滅的に相性が悪い。契約者として僕がレーヴァを召喚し、グランに貸し出していた。
グランはレーヴァが話せることも人化できることも知らないけど、性格が全く異なるため、話さなくてもお互いの相性の悪さは見て取れた。
「あの者が勇者であるなど、私には到底理解できません。一体、神はあの者のどこに勇者の素質を見出したのでしょう!私と贋作を見誤り、ワートをパーティーから追い出した件も許せません!」
「まぁまぁ。とにかく今はこのダンジョンを攻略することを考えないと」
「そういえば、どうしてワートはこんな所で一人でいるのですか?」
「話せば長くなるけど…」
そう前置きしつつ、現状をレーヴァに共有していく。
「なんですかそれ!歴史上、一度の攻略されていないダンジョンに二人で挑むなんて、馬鹿にも程があります!それにその吸血鬼、一体どうしたのでしょうか…」
現状を話し終わると同時に、レーヴァの口から矢継ぎ早に不満が放出される。確かに、レーヴァの真面目な性格上、この現状は納得できないだろう。
『そう言ってやんな鈍。原因は不明だが、とにかく今はラクスの嬢ちゃん抜きでこの階層を攻略しないといけねぇ』
「相変わらず偉そうですね。駄剣」
『あぁ?この俺様が穏便に済まそうとしてやってんのに、なんだその態度はぁ?剣のくせに無駄に乳がデカイだけの鈍の癖によぉ』
まーた始まった。この二人、本当に仲が悪い。
グランとレーヴァの中は、お互いに干渉し合わないタイプの仲の悪さ。ダインとレーヴァはお互いに悪愚痴を言いあわないと気が済まないタイプの仲の悪さ。
考え方によっては後者の方が、逆に相性がいいのかも。
「ち、乳ですって!?なんて口の悪いっ。どうしてワートは貴方のような剣をいつも…」
レーヴァは顔を真っ赤にして、両手で自分の胸を隠した。確かにレーヴァは豊満———、いや、これ以上考えると僕も焼き尽くされる。
ダインはご機嫌そうに笑うと、
『なんでか教えてやろうか?お前が魔力をバカバカ食う大食漢で、燃費の悪い鈍だからに決まってんだろ。悔しかったら、俺様のように魔力を蓄えれるようになりやがれ』
「ムキぃぃいい!」
ムキーって怒ってる人初めて見た…。
とにかく、この二人の喧嘩を諫めた。
「ラクス、大丈夫かな…」
この階層に落ちてきた時、ラクスはドラゴニュートを瞬殺していたけど、今はあれほどの力は出せないだろう。
『あの嬢ちゃんのことだから結界さえ張っておけば大丈夫だとは思うが、のんびりはできないな』
きっと一人で心細いはずだ。一旦、ラクスの元に戻って———。
『嬢ちゃんの魔力回復速度から逆算すると、死ぬことはない。それは嬢ちゃんも分かっているはずだ』
「それでも———」
『嬢ちゃんの思いを理解してやれ。どのみち、お前がこの階層を攻略しねーと、お前も嬢ちゃんも死ぬしかねぇ。足手まといの嬢ちゃんと一緒に行動するよりも、お前一人の方が攻略率が上がるっていう、嬢ちゃんなりの気遣いだ』
「———分かったよ、ダイン」
ラクスのためにも、いち早く、このダンジョンを攻略する。
とにかく今は、前に進むことだけを考えよう。
立ち上がり、歩み始める。目指すは七十階層のボス部屋だ。
「———ッ!」
間一髪で躱し、ダインを振るう。ドラゴニュートの堅牢な鱗によって刃は弾かれ、ダメージを与えることができない。
「くそっ!」
ドラゴニュートの群れに僅かな隙を見出して、包囲網を突破。ダンジョンを駆ける。
———咆哮。ドラゴニュート達の威嚇によって魂が震える。
こんなところで怯んでられない。なんとしてもドラゴニュートを討伐して、ラクスに頼らずにこの階層を攻略しなければならない。
「まずは、ドラゴニュートの群れを分裂させる。1匹ずつ戦えば勝機はあるはずだ」
『ワート、左に進め!この地形ならその方向は道が狭いはずだ!』
ダインの指示に従い、全力でドラゴニュート達から逃げる。幸いなことにドラゴニュート達の威嚇によって、奴ら以外の魔物が1匹もいない。どうやらこの階層ではドラゴニュートがヒエラルキーのトップに位置してるようだ。
ダインの予想通り、徐々に道が狭くなってきた。左右を巨大な岩々に囲まれたこの場所なら、各個撃破できる。
———ただ、火力が足りない。ドラゴニュートのあの鱗を切り裂くような力が必要だ。 僕が契約している魔物達では、間違いなくドラゴニュートには勝てない。
「ダイン、レーヴァテインを呼ぶ」
『そうだろうと思ったぜ!俺様が蓄えた魔力、全てお前に回してやる。あのじゃじゃ馬を使いこなしてみろ』
これから呼ぶ武器。武器の名前はレーヴァテイン。
人大陸の伝説に名を刻まれた名剣。勇者が振るった剣と言われ、とある山奥で一人眠っていた。勇者が振るう剣とされているけど、今代の勇者グランと相性が悪く、なぜか僕と契約している。
そして、ダイン同様、意思を持つ剣でもある。聖剣というだけあり、尋常ではない魔力を消費する。僕程度の魔力量では、一瞬で枯れ果ててしまう。だからこそ、ここぞと言う時だけ、彼女を召喚することにしている。
『奴らが来たぞ!さっさとあのじゃじゃ馬、呼んじまえ!』
「『契約召喚』レーヴァテイン!」
通常の蒼の魔法陣が紅に染まっていく。僕の魔力光を召喚対象であるレーヴァテインの魔力が上書きしている証拠だ。
紅の魔法陣から聖剣が現出する。素朴な装飾ながら、圧倒的な存在感。発せられる魔力だけで皮膚が焼きつけられる。
こちらに向かっていたドラゴニュート達も、レーヴァテインの危険性を感じ取ったのか、彼女を前に足を止めた。
柄を握り、一気に魔法陣から引き抜く。その一振り空気が燃える。熱風で前方にいた1匹のドラゴニュートが炎に包まれた。
『ようやく…私を振るってくれる気になったのですね、ワート』
「これまではごめん!とにかく今は———アイツらを倒すから力を貸して!」
『もちろんです。私に相応しいのは貴方しかいないのだから』
レーヴァテインが凄まじい勢いで魔力を吸い取っていく。ダインから魔力を共有されているから良いとして、長期戦は可能な限り控えたい。
ただの魔力で仲間が燃え上がったことにより、ドラゴニュート達も警戒心を上げている。
「行くよ、レーヴァ!」
レーヴァテインを振るう。巨大な炎がまるで意思を持ったように、ドラゴニュート達を襲う。ドラゴニュート達は防御魔法を展開するが、その炎は彼らに直撃することはなかった。
———爆発音と熱風が襲う。
レーヴァテインが生み出した炎は、ドラゴニュート頭上の巨大な岩に直撃し、崩落を引き起こした。
巨大な岩石群がドラゴニュートを襲う。翼を拾って、上空へ退避することは不可能。
ドラゴニュートに向かってかけ出す。上空への退路が立たれた奴らの次の行動。格下の僕が相手なら、奴らの行動は一つ、前進しかない。
予測通り、岩石群を躱しながら、ドラゴニュートがこちらへと前進する。頭上の岩石群を意識しながらの相手であれば、僕の剣技でも、十分対応できる。
ドラゴニュートが発動する魔法をかわし、懐に潜り込む。
「———ハァッ!」
レーヴァテインで胴を薙ぐ。その切れ味は、竜人を斬ったと思えないほど、手応えがない。
次々とやってくるドラゴニュートに視線を移す。レーヴァテインに魔力をこめ、巨大な炎を生み出し、レーヴァテインを振るう。巨大な炎は指向性を持ち、炎の波となってドラゴニュート達を飲み込んだ。
炎に包まれたドラゴニュート達の断末魔がダンジョンに響く。
能力値が高いであろうドラゴニュート数匹が炎の波を切り裂き、飛来する。頭上から降り注ぐ岩石群を巧みな低空飛行で躱していく。
足元を固め、ダインからの魔力をレーヴァテインに流し込んでいく。レーヴァから巨大な炎が吹き出し、その炎が次第に赤から青へと変化していく。炎をより圧縮し、高熱に、純度の高い炎へと変換する。
蒼の炎を纏ったレーバテインを構える。接敵まであと5m。
「『蒼炎、一閃』」
———蒼炎を纏った灼剣が空気を焼き斬った。
こちらに向かっていたドラゴニュート達の姿は一瞬で消え果てた。圧倒的火力によって、体そのものが蒸発させられたのだ。
地面は融解し、所々結晶化している。
「はぁ、はぁ、」
———ドサッ。
倒れ伏しそうになるところを誰かに抱き留められた。
「本当に…貴方はいつも無茶しますね…」
「レーヴァ…」
「やはり私を振るうにはまだ早かったようですね」
オレンジ色の髪をした女性———レーヴァが僕を壁にもたれさす。
「しばらくは人化しておきます。この方が魔力の消費は少ないはずです」
「…やっぱりグランみたいに、君を振るうには早かったよ。ただ——助かった。ありがとう」
レーヴァは僕の頭を撫でると、静かに笑う。
「こうして、貴方を撫でてあげるのも久しぶりですね」
「これ恥ずかしいからなぁ…。勇者パーティーにいる時は人化する機会なんてなかったし、君はグラン嫌いだもんね…」
勇者であるグランと、聖剣であるレーヴァ。この二人は壊滅的に相性が悪い。契約者として僕がレーヴァを召喚し、グランに貸し出していた。
グランはレーヴァが話せることも人化できることも知らないけど、性格が全く異なるため、話さなくてもお互いの相性の悪さは見て取れた。
「あの者が勇者であるなど、私には到底理解できません。一体、神はあの者のどこに勇者の素質を見出したのでしょう!私と贋作を見誤り、ワートをパーティーから追い出した件も許せません!」
「まぁまぁ。とにかく今はこのダンジョンを攻略することを考えないと」
「そういえば、どうしてワートはこんな所で一人でいるのですか?」
「話せば長くなるけど…」
そう前置きしつつ、現状をレーヴァに共有していく。
「なんですかそれ!歴史上、一度の攻略されていないダンジョンに二人で挑むなんて、馬鹿にも程があります!それにその吸血鬼、一体どうしたのでしょうか…」
現状を話し終わると同時に、レーヴァの口から矢継ぎ早に不満が放出される。確かに、レーヴァの真面目な性格上、この現状は納得できないだろう。
『そう言ってやんな鈍。原因は不明だが、とにかく今はラクスの嬢ちゃん抜きでこの階層を攻略しないといけねぇ』
「相変わらず偉そうですね。駄剣」
『あぁ?この俺様が穏便に済まそうとしてやってんのに、なんだその態度はぁ?剣のくせに無駄に乳がデカイだけの鈍の癖によぉ』
まーた始まった。この二人、本当に仲が悪い。
グランとレーヴァの中は、お互いに干渉し合わないタイプの仲の悪さ。ダインとレーヴァはお互いに悪愚痴を言いあわないと気が済まないタイプの仲の悪さ。
考え方によっては後者の方が、逆に相性がいいのかも。
「ち、乳ですって!?なんて口の悪いっ。どうしてワートは貴方のような剣をいつも…」
レーヴァは顔を真っ赤にして、両手で自分の胸を隠した。確かにレーヴァは豊満———、いや、これ以上考えると僕も焼き尽くされる。
ダインはご機嫌そうに笑うと、
『なんでか教えてやろうか?お前が魔力をバカバカ食う大食漢で、燃費の悪い鈍だからに決まってんだろ。悔しかったら、俺様のように魔力を蓄えれるようになりやがれ』
「ムキぃぃいい!」
ムキーって怒ってる人初めて見た…。
とにかく、この二人の喧嘩を諫めた。
「ラクス、大丈夫かな…」
この階層に落ちてきた時、ラクスはドラゴニュートを瞬殺していたけど、今はあれほどの力は出せないだろう。
『あの嬢ちゃんのことだから結界さえ張っておけば大丈夫だとは思うが、のんびりはできないな』
きっと一人で心細いはずだ。一旦、ラクスの元に戻って———。
『嬢ちゃんの魔力回復速度から逆算すると、死ぬことはない。それは嬢ちゃんも分かっているはずだ』
「それでも———」
『嬢ちゃんの思いを理解してやれ。どのみち、お前がこの階層を攻略しねーと、お前も嬢ちゃんも死ぬしかねぇ。足手まといの嬢ちゃんと一緒に行動するよりも、お前一人の方が攻略率が上がるっていう、嬢ちゃんなりの気遣いだ』
「———分かったよ、ダイン」
ラクスのためにも、いち早く、このダンジョンを攻略する。
とにかく今は、前に進むことだけを考えよう。
立ち上がり、歩み始める。目指すは七十階層のボス部屋だ。
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