勇者パーティーから追放された召喚士~2000年間攻略されなかったダンジョンを攻略して、伝説の武器や生き物と契約して楽しくやってます。懇願してもパーティには戻りません
追放されたけど、女の子を見つける
「ハァァッ!」
一閃。三体同時にゴブリンの首を跳ね飛ばす。
ゴブリン達の体は魔力の粒子へと変わり、ダインへと吸収されていく。そして、三つの魔石が残った。
「ふぅ…かなり進んだな」
『ここに潜って、大体四〜五時間ってところだな。魔力の方は大丈夫か?』
ステータスを開き、現在の状態を確認する。
––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––
名前:ワート・ストライド
種族:人族
職業:召喚士
HP:1000/1200 MP:450/500
スキル:召喚Lv.3 (不能):契約した物体を2つ・生物を2体まで召喚できる
––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––
「うん。ダインのおかげで魔力は節約できてるよ」
魔力は問題ないけど、体力が心許ない。
カバンからポーションを取り出し、飲み干す。もう一度ステータスを確認するとHPが1200/1200と表示されていた。どうやら最大値まで回復したようだ。
通常、【召喚】スキルで呼び出した武器や生き物を現界させ続けるには、僕の魔力が必要だ。対象によって異なるけど、ダインほどの剣ならかなりの魔力が消費される。
「倒した魔物の魔力を吸収するって変わった能力だよね」
そうダインに話しかける。
相棒のダーインスレイブは【倒した対象の魔力を吸収する】特殊能力を有している。
そのため、現界させ続けるのに僕の魔力は必要なく、ダインから直接魔力が消費される。召喚する時だけ僕の魔力を使用し、それ以降はダインの貯蓄魔力から消費される、と言う仕組みだ。
『お前さんの【召喚】スキルにぴったりだろ?』
確かに【召喚】スキルとすこぶる相性がいいことは間違いない。このスキルの欠点は契約する対象を自分で探す必要があるのと、現界させ続けるのに魔力を消費し続けることだ。
「確かにスキルにピッタリの能力だよね」
『そりゃそうだ。俺様はお前さんと契約していると言うよりも、【召喚】スキルと契約しているからな。理屈は俺様にも一切わかんねーけど』
ダインは僕が【召喚】スキルに発現した瞬間から召喚できた。確かにスキルと契約している、と言ったほうが自然かもしれない。
「さてと…休憩にはまだ早いし、もう少し進もうか」
ダンジョンの中は所々に魔石が埋め込まれており、周辺が見える程度には光が満ちている。本来なら斥候スキルを持った職業持ちがパーティーにいるはずなんだけど、今はそう言ってられない。
「【契約召喚】ハティ」
スキルを起動した事で、蒼色の魔法陣が目の目に展開される。
魔法陣から一匹の狼が飛び出してきた。体躯は少し大きめの犬程度だが、鋭い眼光と牙、そして目を見張るような白銀の毛並みが特徴的だ。
『お呼びかマスター』
「突然呼び出してごめんねハティ。説明は省くけど、ソロでダンジョンを攻略中なんだ。魔物の索敵と援護をお願いしたい」
『承知した。私の嗅覚と聴覚に敵の反応があればすぐにお伝えする』
「よろしくね!」
ハティは背中を撫でると、やる気満々に前方へと駆け出した。
「これでヨシっと。ダンジョンだとアイビスに頼むわけにもいかないし、ハティが適切だ」
ダンジョンに入った瞬間にアイビスは適していないと思って、彼女の現界を中断した。ブーブー文句を言っていたけど、仕方がない。
『ここに入ったタイミングで、どうして召喚しなかったんだ?』
「まずはこのダンジョンのタイプを知りたかったんだ。このダンジョンが一階層で広大なタイプなのか、それとも複数階層で深いタイプなのか」
事実、ダンジョンにはその両方がある。場所に適した契約対象を召喚するのも召喚士の務めだ。
「今回は多分、一階層で広大なタイプだ。ここ数時間一定距離を歩いて確信した」
『なるほど。だだっ広いダンジョンはあの犬っころが適してるってことか』
「その言い方したら、ハティがまた怒るよ」
苦笑しながらダインに注告しておく。この二人はいつも仲が悪いから、こんな場所で喧嘩されたら堪ったもんじゃない。
『マスター、前方十メートル地点にハイゴブリン5体』
ハティから念話が飛んできた。
ダインを右手に携え、前方へ駆け寄る。ハティには念話で指示を飛ばし、戦闘準備を整える。
『僕が前衛、ハティは後衛で魔法での援護をお願い。先手はハティ、最後は僕が取る!』
『承知しました、マスター』
目を凝らすと前方から確かにハイゴブリンがやってくる。ハイゴブリンはゴブリンの上位種であり、攻撃力・防御力ともに優れている。油断すればこっちがやられる可能性もある。
–––ハティによる魔法が正面の一匹に直撃した。
一瞬でハイゴブリンとの間を詰め、正面の一匹の首を跳ね飛ばす。
敵は面食らっているようだが、さすがハイゴブリン。瞬く間に戦闘態勢を整えた。
「ちっ!」
右側のハイゴブリンに斬りかかる。携えた棍棒で防御態勢を取るが–––。
「ダインっ!」
ダインに貯蔵された魔力を使用し、一瞬だけダインの攻撃力を強化する。振り下ろされた刃が棍棒ごとハイゴブリンを両断した。
「ギギッ!」「ギギッ!」「ギギッ!」
残りの三体が攻撃形態を組み上げた。二匹が前衛、一匹が後衛へ。ハイゴブリンの中には魔法が使える個体もいるが、どうやら後衛の一匹はそのようだ。
魔法陣の展開と共に、後衛のハイゴブリンからファイアボールが発射される。
『ワート』
「わかってる!」
このファイアボールは目眩しだ。左右どちらに避けても、ハイゴブリンが待ち構えている。避けれないなら–––。
「切って通る!」
ダインでファイアボールを両断。両断された魔法はいく場所を失い、その場で爆破する。砂埃が舞い上がり、それに乗じて前衛のハイゴブリンの背後に回り込んだ。
「ッギ!?」
気がついた時にはもう遅い。二匹のハイゴブリンの頭部を切り飛ばし、残り1匹へと駆ける。
後衛のハイゴブリンは僕を視界に捉えると、またもや詠唱を始めた。
こちらに向かって炎の槍が形成される。中級魔法ファイアスピア。思ったよりも魔法の構築が早い。先手を取られる可能性が高いこと予見し、攻略方法を瞬時に導き出す。
この魔法の特徴はその速度。僕の剣速では切り落とすことは不可能。それなら–––。
次の瞬間、ファイアスピアが砕け散った。
「ナイスフォロー!ハティ!」
ハティの魔法によってファイアスピアが阻害された事で、大きな隙が生じた。ハイゴブリンに驚く間も与えず、黒剣を切り上げる。
ハイゴブリンは断末魔と共に息絶えた。
それから幾度も戦闘を繰り返し、ダンジョンの最奥へと進んでいく。
そして–––。
「行き止まり…どうやらここが最後みたいだね」
目の前に立ちはだかる巨大な扉。高さは十数メートルはあるであろう扉には見たこともない文字が刻まれている。
「ダイン、これ読める?」
『俺様も読めねぇな。これでも数百年は召喚士と共に冒険してきたんが、その俺様も見たことない文字だ』
どうやらダインは先代の召喚士と冒険していたらしく、過去の記憶が少しあるらしい。
ダイン曰く、召喚士は継承される職業らしく、僕の先代も存在したようだ。たまにこう言う職業も聞くので珍しい話ではない気がする。
「うーんこの扉開くのかな…?ここまで来て行き止まりなんて洒落にならないよ」
『気合で押してみろよ。案外開くかもしれねーぞ』
ダインの言葉に従い、モノは試しと全力で扉を押してみる。
–––ギギ、ギイィィィ
扉は凄まじい砂埃を巻き上げ開き始める。
「ひ、開いちゃった…と言うか後半の方は扉が勝手に開いていったよ…」
『全く不思議なダンジョンだな…うん?おいワート。扉の奥見てみろ』
言われた通り開いた扉の向こうを見てみる。
扉の向こうは巨大な部屋が広がっており、その中央に見たこともない大きな結晶が浮かんでいる。
「うそ、でしょ…?」
そして結晶の中には–––女の子が眠っていた。
一閃。三体同時にゴブリンの首を跳ね飛ばす。
ゴブリン達の体は魔力の粒子へと変わり、ダインへと吸収されていく。そして、三つの魔石が残った。
「ふぅ…かなり進んだな」
『ここに潜って、大体四〜五時間ってところだな。魔力の方は大丈夫か?』
ステータスを開き、現在の状態を確認する。
––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––
名前:ワート・ストライド
種族:人族
職業:召喚士
HP:1000/1200 MP:450/500
スキル:召喚Lv.3 (不能):契約した物体を2つ・生物を2体まで召喚できる
––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––
「うん。ダインのおかげで魔力は節約できてるよ」
魔力は問題ないけど、体力が心許ない。
カバンからポーションを取り出し、飲み干す。もう一度ステータスを確認するとHPが1200/1200と表示されていた。どうやら最大値まで回復したようだ。
通常、【召喚】スキルで呼び出した武器や生き物を現界させ続けるには、僕の魔力が必要だ。対象によって異なるけど、ダインほどの剣ならかなりの魔力が消費される。
「倒した魔物の魔力を吸収するって変わった能力だよね」
そうダインに話しかける。
相棒のダーインスレイブは【倒した対象の魔力を吸収する】特殊能力を有している。
そのため、現界させ続けるのに僕の魔力は必要なく、ダインから直接魔力が消費される。召喚する時だけ僕の魔力を使用し、それ以降はダインの貯蓄魔力から消費される、と言う仕組みだ。
『お前さんの【召喚】スキルにぴったりだろ?』
確かに【召喚】スキルとすこぶる相性がいいことは間違いない。このスキルの欠点は契約する対象を自分で探す必要があるのと、現界させ続けるのに魔力を消費し続けることだ。
「確かにスキルにピッタリの能力だよね」
『そりゃそうだ。俺様はお前さんと契約していると言うよりも、【召喚】スキルと契約しているからな。理屈は俺様にも一切わかんねーけど』
ダインは僕が【召喚】スキルに発現した瞬間から召喚できた。確かにスキルと契約している、と言ったほうが自然かもしれない。
「さてと…休憩にはまだ早いし、もう少し進もうか」
ダンジョンの中は所々に魔石が埋め込まれており、周辺が見える程度には光が満ちている。本来なら斥候スキルを持った職業持ちがパーティーにいるはずなんだけど、今はそう言ってられない。
「【契約召喚】ハティ」
スキルを起動した事で、蒼色の魔法陣が目の目に展開される。
魔法陣から一匹の狼が飛び出してきた。体躯は少し大きめの犬程度だが、鋭い眼光と牙、そして目を見張るような白銀の毛並みが特徴的だ。
『お呼びかマスター』
「突然呼び出してごめんねハティ。説明は省くけど、ソロでダンジョンを攻略中なんだ。魔物の索敵と援護をお願いしたい」
『承知した。私の嗅覚と聴覚に敵の反応があればすぐにお伝えする』
「よろしくね!」
ハティは背中を撫でると、やる気満々に前方へと駆け出した。
「これでヨシっと。ダンジョンだとアイビスに頼むわけにもいかないし、ハティが適切だ」
ダンジョンに入った瞬間にアイビスは適していないと思って、彼女の現界を中断した。ブーブー文句を言っていたけど、仕方がない。
『ここに入ったタイミングで、どうして召喚しなかったんだ?』
「まずはこのダンジョンのタイプを知りたかったんだ。このダンジョンが一階層で広大なタイプなのか、それとも複数階層で深いタイプなのか」
事実、ダンジョンにはその両方がある。場所に適した契約対象を召喚するのも召喚士の務めだ。
「今回は多分、一階層で広大なタイプだ。ここ数時間一定距離を歩いて確信した」
『なるほど。だだっ広いダンジョンはあの犬っころが適してるってことか』
「その言い方したら、ハティがまた怒るよ」
苦笑しながらダインに注告しておく。この二人はいつも仲が悪いから、こんな場所で喧嘩されたら堪ったもんじゃない。
『マスター、前方十メートル地点にハイゴブリン5体』
ハティから念話が飛んできた。
ダインを右手に携え、前方へ駆け寄る。ハティには念話で指示を飛ばし、戦闘準備を整える。
『僕が前衛、ハティは後衛で魔法での援護をお願い。先手はハティ、最後は僕が取る!』
『承知しました、マスター』
目を凝らすと前方から確かにハイゴブリンがやってくる。ハイゴブリンはゴブリンの上位種であり、攻撃力・防御力ともに優れている。油断すればこっちがやられる可能性もある。
–––ハティによる魔法が正面の一匹に直撃した。
一瞬でハイゴブリンとの間を詰め、正面の一匹の首を跳ね飛ばす。
敵は面食らっているようだが、さすがハイゴブリン。瞬く間に戦闘態勢を整えた。
「ちっ!」
右側のハイゴブリンに斬りかかる。携えた棍棒で防御態勢を取るが–––。
「ダインっ!」
ダインに貯蔵された魔力を使用し、一瞬だけダインの攻撃力を強化する。振り下ろされた刃が棍棒ごとハイゴブリンを両断した。
「ギギッ!」「ギギッ!」「ギギッ!」
残りの三体が攻撃形態を組み上げた。二匹が前衛、一匹が後衛へ。ハイゴブリンの中には魔法が使える個体もいるが、どうやら後衛の一匹はそのようだ。
魔法陣の展開と共に、後衛のハイゴブリンからファイアボールが発射される。
『ワート』
「わかってる!」
このファイアボールは目眩しだ。左右どちらに避けても、ハイゴブリンが待ち構えている。避けれないなら–––。
「切って通る!」
ダインでファイアボールを両断。両断された魔法はいく場所を失い、その場で爆破する。砂埃が舞い上がり、それに乗じて前衛のハイゴブリンの背後に回り込んだ。
「ッギ!?」
気がついた時にはもう遅い。二匹のハイゴブリンの頭部を切り飛ばし、残り1匹へと駆ける。
後衛のハイゴブリンは僕を視界に捉えると、またもや詠唱を始めた。
こちらに向かって炎の槍が形成される。中級魔法ファイアスピア。思ったよりも魔法の構築が早い。先手を取られる可能性が高いこと予見し、攻略方法を瞬時に導き出す。
この魔法の特徴はその速度。僕の剣速では切り落とすことは不可能。それなら–––。
次の瞬間、ファイアスピアが砕け散った。
「ナイスフォロー!ハティ!」
ハティの魔法によってファイアスピアが阻害された事で、大きな隙が生じた。ハイゴブリンに驚く間も与えず、黒剣を切り上げる。
ハイゴブリンは断末魔と共に息絶えた。
それから幾度も戦闘を繰り返し、ダンジョンの最奥へと進んでいく。
そして–––。
「行き止まり…どうやらここが最後みたいだね」
目の前に立ちはだかる巨大な扉。高さは十数メートルはあるであろう扉には見たこともない文字が刻まれている。
「ダイン、これ読める?」
『俺様も読めねぇな。これでも数百年は召喚士と共に冒険してきたんが、その俺様も見たことない文字だ』
どうやらダインは先代の召喚士と冒険していたらしく、過去の記憶が少しあるらしい。
ダイン曰く、召喚士は継承される職業らしく、僕の先代も存在したようだ。たまにこう言う職業も聞くので珍しい話ではない気がする。
「うーんこの扉開くのかな…?ここまで来て行き止まりなんて洒落にならないよ」
『気合で押してみろよ。案外開くかもしれねーぞ』
ダインの言葉に従い、モノは試しと全力で扉を押してみる。
–––ギギ、ギイィィィ
扉は凄まじい砂埃を巻き上げ開き始める。
「ひ、開いちゃった…と言うか後半の方は扉が勝手に開いていったよ…」
『全く不思議なダンジョンだな…うん?おいワート。扉の奥見てみろ』
言われた通り開いた扉の向こうを見てみる。
扉の向こうは巨大な部屋が広がっており、その中央に見たこともない大きな結晶が浮かんでいる。
「うそ、でしょ…?」
そして結晶の中には–––女の子が眠っていた。
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