勇者パーティーから追放された召喚士~2000年間攻略されなかったダンジョンを攻略して、伝説の武器や生き物と契約して楽しくやってます。懇願してもパーティには戻りません
追放されたけど、助けたおじさんから励まされる
「はぁ…これからどうしよう…」
街中をとぼとぼと歩く。時刻は深夜。町中の店は閉まり、ひとっこ一人いない。
「なにもこんな時間に追い出さなくても…魔大陸で一人は流石にまずいよ」
僕がいる場所は魔大陸の外れで、かろうじて人族が街を築けた場所。魔大陸は基本的に魔族の領土だけど、この街だけは人族の管轄下だ。
僕は勇者パーティーの一員として、人族の支配下にある人大陸から、魔族の討伐のために魔大陸に渡ってきた。
辺りを見渡すと奥の方に衛兵と屯所が見える。
「路銀もないし屯所で雇ってもらおうかな…勇者パーティーにいましたって言えば少しは雇ってもらえるかな」
自虐的な笑いがこぼれた。
「ステータスオープン」
街角の軒下に座り、自分のステータスを眺める。
———————————————————————
名前:ワート・ストライド
種族:人族
職業:召喚士
HP:1200 MP:500
攻撃力:300 防御力:200
速さ:300 賢さ:100
器用さ:500 運:10
スキル:召喚Lv.3 (不能)
契約した物体を2つ・生物を2体まで召喚できる
———————————————————————
「基礎ステータスは悪くないのにな…問題はスキルだなぁ」
基礎ステータスは個人差が大きく影響され、攻撃力以下の基礎ステータスの平均値が100と言われている。
–––スキル。
天界の神様によって下界の生物に与えられた能力。
生まれた時に与えられるこのスキルと、それに応じた職業が与えられる。この時与えられたスキルは一生涯変更できず、職業も変わらない。
しかし、練習や日常の習慣によって後天的にスキルを授かることもある。
「不能者に生まれた僕には関係のない話だけど」
そう呟く。
スキル:召喚Lv.3 (不能)。
ステータスに記載されたこの一行が僕の全てを物語っている。
スキル【召喚】。僕にしかないユニークスキル。
もしかしたら世界を見渡せば数人はいるかもしれないけど、今まで生きてきた中で出会ったことも聞いたこともない。
生まれた時はLv.1だったこのスキルも今ではLv.3だ。これは勇者パーティーに参加したおかげで、基礎ステータスは上がったけど、スキルレベルはこれまでの人生でLv.2しか上がっていない。
ただ、問題はレベルじゃない。
「冠位、不能か…」
スキルには冠位、すなわち位がある。冠位が高いスキルほど珍しい上に、その能力も高い。初級から伝説級まであるとされるけど、僕の冠位は一番のハズレだ。
冠位:不能のスキルを有したものは、先天的にも後天的にもそれ以外のスキルは与えられず、一生無能のまま生き続けなければならない。
不能スキルを持つものは【不能者】と呼ばれ侮蔑の対象であり、まともな仕事にも就けない。そんな僕にとって勇者パーティは救いの手だった。
「お、勇者パーティーの兄ちゃんじゃねーか。この前はありがとよ」
「ハインツさん」
顔を上げ声をかけてきた主を見ると、クシャクシャの髪の毛が印象的な初老の男性がニカっと笑って僕を見返した。
「どうしたんだ兄ちゃん、そんな落ち込んじまって。何か相談でもあれば俺が乗るぜ。こちとら命助けてもらってんだ」
この村に来る途中で魔物に襲われている男性を見つけた。グランは助けなくてもいいと言っていたけど、僕の独断で助けたのが、ハインツさんだった。
「ありがとうございます…それが、その…パーティーをクビになりまして…」
「おおぅ…そりゃまじかい。あの勇者パーティーをねぇ」
どうやら彼が思っていた以上に僕の悩みは深刻だったようで、ハインツさんは黙って僕の隣に座った。
「兄ちゃんほどの有能な冒険者をクビとは勇者様も焼きがまわったのかね」
「そんなことないですよ。グランは相変わらずです」
「確かに。相変わらず嫌なやつだ。あの野郎、俺を助けた兄ちゃんを役立たずだの、余計なことはするなだの」
グランの指示を無視してハインツさんを助けたことが、どうやらグランは気に食わなかったようで、村につくまで僕に悪態を浴びせたのは記憶に新しい。
「いいんですよ、いつものことなので」
「あれがいつものことかい?そりゃクビになって正解だぜ!兄ちゃんほど珍しいスキルを持ってるなら人大陸に戻れば引く手数多だろうぜ」
「僕は不能者なので…」
「兄ちゃんほどの人が不能者だって!?そりゃ驚きだ。でもよ、人大陸では知らねえが、この魔大陸の村じゃ、いいスキル持ってようが、不能者だろうが、死ぬ時は死ぬ。きっと兄ちゃんを本当に求めてくれている人がいるはずさ」
「ありがとうございます。もうちょっと頑張ってみます」
「おうさ!そうだ、それなら今晩はオイラの家に泊まりな。何もねえが寝床くらいなら用意できるぜ」
「本当ですか!ありがとうございます!」
「お、いいね。元気出てきたじゃねーか!」
僕たちは立ち上がり、ハインツさんの家へ向かった。
–––早朝。
ハインツさん宅を後にして冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドはクエストの斡旋だけでなく、回復アイテムや武器や防具の販売も行っている。これから一人で人大陸に戻るための装備を整える必要があった。
「準備も整ったし出発だ!僕の実力なら無理しないなら帰れるはず!」
ハインツさんのおかげで元気も出た。
「とりあえず人大陸に戻って仕事を探さないと。向こうなら安全性の高いダンジョンも多いし」
勇者パーティーはクビになったけど、僕だって無能じゃないはずだ。ある程度一人でも戦える自信もある。
「よし。出発だ!」
僕は新たな一歩を踏み出した。
街中をとぼとぼと歩く。時刻は深夜。町中の店は閉まり、ひとっこ一人いない。
「なにもこんな時間に追い出さなくても…魔大陸で一人は流石にまずいよ」
僕がいる場所は魔大陸の外れで、かろうじて人族が街を築けた場所。魔大陸は基本的に魔族の領土だけど、この街だけは人族の管轄下だ。
僕は勇者パーティーの一員として、人族の支配下にある人大陸から、魔族の討伐のために魔大陸に渡ってきた。
辺りを見渡すと奥の方に衛兵と屯所が見える。
「路銀もないし屯所で雇ってもらおうかな…勇者パーティーにいましたって言えば少しは雇ってもらえるかな」
自虐的な笑いがこぼれた。
「ステータスオープン」
街角の軒下に座り、自分のステータスを眺める。
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名前:ワート・ストライド
種族:人族
職業:召喚士
HP:1200 MP:500
攻撃力:300 防御力:200
速さ:300 賢さ:100
器用さ:500 運:10
スキル:召喚Lv.3 (不能)
契約した物体を2つ・生物を2体まで召喚できる
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「基礎ステータスは悪くないのにな…問題はスキルだなぁ」
基礎ステータスは個人差が大きく影響され、攻撃力以下の基礎ステータスの平均値が100と言われている。
–––スキル。
天界の神様によって下界の生物に与えられた能力。
生まれた時に与えられるこのスキルと、それに応じた職業が与えられる。この時与えられたスキルは一生涯変更できず、職業も変わらない。
しかし、練習や日常の習慣によって後天的にスキルを授かることもある。
「不能者に生まれた僕には関係のない話だけど」
そう呟く。
スキル:召喚Lv.3 (不能)。
ステータスに記載されたこの一行が僕の全てを物語っている。
スキル【召喚】。僕にしかないユニークスキル。
もしかしたら世界を見渡せば数人はいるかもしれないけど、今まで生きてきた中で出会ったことも聞いたこともない。
生まれた時はLv.1だったこのスキルも今ではLv.3だ。これは勇者パーティーに参加したおかげで、基礎ステータスは上がったけど、スキルレベルはこれまでの人生でLv.2しか上がっていない。
ただ、問題はレベルじゃない。
「冠位、不能か…」
スキルには冠位、すなわち位がある。冠位が高いスキルほど珍しい上に、その能力も高い。初級から伝説級まであるとされるけど、僕の冠位は一番のハズレだ。
冠位:不能のスキルを有したものは、先天的にも後天的にもそれ以外のスキルは与えられず、一生無能のまま生き続けなければならない。
不能スキルを持つものは【不能者】と呼ばれ侮蔑の対象であり、まともな仕事にも就けない。そんな僕にとって勇者パーティは救いの手だった。
「お、勇者パーティーの兄ちゃんじゃねーか。この前はありがとよ」
「ハインツさん」
顔を上げ声をかけてきた主を見ると、クシャクシャの髪の毛が印象的な初老の男性がニカっと笑って僕を見返した。
「どうしたんだ兄ちゃん、そんな落ち込んじまって。何か相談でもあれば俺が乗るぜ。こちとら命助けてもらってんだ」
この村に来る途中で魔物に襲われている男性を見つけた。グランは助けなくてもいいと言っていたけど、僕の独断で助けたのが、ハインツさんだった。
「ありがとうございます…それが、その…パーティーをクビになりまして…」
「おおぅ…そりゃまじかい。あの勇者パーティーをねぇ」
どうやら彼が思っていた以上に僕の悩みは深刻だったようで、ハインツさんは黙って僕の隣に座った。
「兄ちゃんほどの有能な冒険者をクビとは勇者様も焼きがまわったのかね」
「そんなことないですよ。グランは相変わらずです」
「確かに。相変わらず嫌なやつだ。あの野郎、俺を助けた兄ちゃんを役立たずだの、余計なことはするなだの」
グランの指示を無視してハインツさんを助けたことが、どうやらグランは気に食わなかったようで、村につくまで僕に悪態を浴びせたのは記憶に新しい。
「いいんですよ、いつものことなので」
「あれがいつものことかい?そりゃクビになって正解だぜ!兄ちゃんほど珍しいスキルを持ってるなら人大陸に戻れば引く手数多だろうぜ」
「僕は不能者なので…」
「兄ちゃんほどの人が不能者だって!?そりゃ驚きだ。でもよ、人大陸では知らねえが、この魔大陸の村じゃ、いいスキル持ってようが、不能者だろうが、死ぬ時は死ぬ。きっと兄ちゃんを本当に求めてくれている人がいるはずさ」
「ありがとうございます。もうちょっと頑張ってみます」
「おうさ!そうだ、それなら今晩はオイラの家に泊まりな。何もねえが寝床くらいなら用意できるぜ」
「本当ですか!ありがとうございます!」
「お、いいね。元気出てきたじゃねーか!」
僕たちは立ち上がり、ハインツさんの家へ向かった。
–––早朝。
ハインツさん宅を後にして冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドはクエストの斡旋だけでなく、回復アイテムや武器や防具の販売も行っている。これから一人で人大陸に戻るための装備を整える必要があった。
「準備も整ったし出発だ!僕の実力なら無理しないなら帰れるはず!」
ハインツさんのおかげで元気も出た。
「とりあえず人大陸に戻って仕事を探さないと。向こうなら安全性の高いダンジョンも多いし」
勇者パーティーはクビになったけど、僕だって無能じゃないはずだ。ある程度一人でも戦える自信もある。
「よし。出発だ!」
僕は新たな一歩を踏み出した。
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