羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。
最終章:やっぱり先輩の愛はいろいろと重すぎる(3)
―――そう、あの婚姻届けを提出してからのあの5日間。
あのサバイバルな5日間の中で、私は妊娠したのだ。
妊娠の知らせを聞いたとき、先輩は喜びすぎて1週間ほど様子が変だった。(普段もまぁ、変なのだが本当にあの時は変だった。)
一樹さんも、先輩のお父さんも、うちの父も大喜びで、私はそんなみんなの様子を見て、お腹の子がここまでみんなに祝福されてこの世に生まれてこられるなら幸せだなぁって思っていた。
「俺とみゆの子どもだからかわいいに決まってる」
先輩はきっぱりと言い切る。
「父さんもすっごい楽しみにしてるよね。あれは、じじバカになるね」
「あんな人だと思わなかったよ」
先輩はつぶやくように言う。先輩と先輩のお父さんは、仲が悪かった、と聞いていた。
でも、私が妊娠して、それからできるだけ先輩と一緒にお父さんと会うようになって、徐々に二人は打ち解けるようになってきたのだ。
「みゆちゃんのおかげだよね。二人が打ち解けてよかった」
一樹さんは微笑んで言う。私は、私はなにもしてないですけど……、とつぶやいた。
結局、先輩とお父さんは、話す機会が少なかったことですれ違っていたのだろうと思う。
人はお互いに会って話さないと誤解がそのまま大きくなってすれ違っていくことは、私と先輩との経験からもなんとなくわかってたから。
「そういえば性別分かったんでしょ? どっちだった?」
一樹さんが言う。
「女の子です」
「それはかわいいだろうね」
一樹さんは目を細める。すると先輩も、
「絶対かわいいだろうな。……でも心配だ」
とつぶやいた。「変な男に目をつけられたりしないか心配」
「それを先輩が言います?」
私は思わず眉を寄せた。
「俺がみゆのこと好きすぎて変なのは自覚してる」
「それを堂々と言わないでください!」
「みゆだけだって心配なのに、子どもも心配。やっぱりもっとSP増やさないといけないかなぁ」
私はそれを聞いて思わず泣きそうになる。
あの事件の解決後、やっとSPの人数を減らしてもらえたのだけど、3人はなぜかそのまま残り、今も外出するときはずっと3人のSPが近くにいる。おかげで近所の住人にまで、『皇族が近くに住んでいるっぽい』とまことしやかに囁かれているのだ。
先輩に文句を言ったら、『もしみゆに何かあったら、俺、その相手を絶対どうにかしちゃうよ。それでもいいの?』と強い言葉で押し切られ、そのまま保留になっている次第だ。
「これ以上いらない! SP3人はそのままいるんだし!」
「でも心配だから、もうすこし人数いるよね?」
「絶対いらない!」
「だめ」
そう言って先輩は当たり前のように私を抱きしめる。「俺はね、みゆのことが大事なの。みゆのお父さんからも大事な大事な娘を託されてるの」
「とりあえず、先輩が一番危ないのは間違いないです!」
私が言った言葉は聞こえないふりをされた。
(その耳、都合の悪い言葉は聞こえない構造なの )
そんな私たちを見て、一樹さんが楽しそうに笑う。
「相変わらず仲良しだよね」
(そういえば一樹さんがいた!)
そう思ってやけに恥ずかしくなった。
「……そ、そうですかね?」
仲いいとは言っても、さっき大事なことは聞こえないフリされましたけど……。
眉を寄せる私を、先輩はもう一度ぎゅう、と抱きしめなおすと、
「仲いいの、あたりまえでしょ。俺はみゆにしか反応しないし、みゆしか愛せないんだから」
と私の髪に当たり前のようにキスを落としながら言う。
(お願いだから、恥ずかしげもなく、そんなことを人前で言って、そんなことしないでくれーーーーーー!)
私が泣きそうな顔になると、一樹さんも、先輩も、楽しそうに笑った。
―――なんなんだこのいじめっ子兄弟……!
しかしそんな二人にも慣れつつある自分が恐ろしい……。やっぱり人は慣れる生き物らしい。
あのサバイバルな5日間の中で、私は妊娠したのだ。
妊娠の知らせを聞いたとき、先輩は喜びすぎて1週間ほど様子が変だった。(普段もまぁ、変なのだが本当にあの時は変だった。)
一樹さんも、先輩のお父さんも、うちの父も大喜びで、私はそんなみんなの様子を見て、お腹の子がここまでみんなに祝福されてこの世に生まれてこられるなら幸せだなぁって思っていた。
「俺とみゆの子どもだからかわいいに決まってる」
先輩はきっぱりと言い切る。
「父さんもすっごい楽しみにしてるよね。あれは、じじバカになるね」
「あんな人だと思わなかったよ」
先輩はつぶやくように言う。先輩と先輩のお父さんは、仲が悪かった、と聞いていた。
でも、私が妊娠して、それからできるだけ先輩と一緒にお父さんと会うようになって、徐々に二人は打ち解けるようになってきたのだ。
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一樹さんは微笑んで言う。私は、私はなにもしてないですけど……、とつぶやいた。
結局、先輩とお父さんは、話す機会が少なかったことですれ違っていたのだろうと思う。
人はお互いに会って話さないと誤解がそのまま大きくなってすれ違っていくことは、私と先輩との経験からもなんとなくわかってたから。
「そういえば性別分かったんでしょ? どっちだった?」
一樹さんが言う。
「女の子です」
「それはかわいいだろうね」
一樹さんは目を細める。すると先輩も、
「絶対かわいいだろうな。……でも心配だ」
とつぶやいた。「変な男に目をつけられたりしないか心配」
「それを先輩が言います?」
私は思わず眉を寄せた。
「俺がみゆのこと好きすぎて変なのは自覚してる」
「それを堂々と言わないでください!」
「みゆだけだって心配なのに、子どもも心配。やっぱりもっとSP増やさないといけないかなぁ」
私はそれを聞いて思わず泣きそうになる。
あの事件の解決後、やっとSPの人数を減らしてもらえたのだけど、3人はなぜかそのまま残り、今も外出するときはずっと3人のSPが近くにいる。おかげで近所の住人にまで、『皇族が近くに住んでいるっぽい』とまことしやかに囁かれているのだ。
先輩に文句を言ったら、『もしみゆに何かあったら、俺、その相手を絶対どうにかしちゃうよ。それでもいいの?』と強い言葉で押し切られ、そのまま保留になっている次第だ。
「これ以上いらない! SP3人はそのままいるんだし!」
「でも心配だから、もうすこし人数いるよね?」
「絶対いらない!」
「だめ」
そう言って先輩は当たり前のように私を抱きしめる。「俺はね、みゆのことが大事なの。みゆのお父さんからも大事な大事な娘を託されてるの」
「とりあえず、先輩が一番危ないのは間違いないです!」
私が言った言葉は聞こえないふりをされた。
(その耳、都合の悪い言葉は聞こえない構造なの )
そんな私たちを見て、一樹さんが楽しそうに笑う。
「相変わらず仲良しだよね」
(そういえば一樹さんがいた!)
そう思ってやけに恥ずかしくなった。
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仲いいとは言っても、さっき大事なことは聞こえないフリされましたけど……。
眉を寄せる私を、先輩はもう一度ぎゅう、と抱きしめなおすと、
「仲いいの、あたりまえでしょ。俺はみゆにしか反応しないし、みゆしか愛せないんだから」
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(お願いだから、恥ずかしげもなく、そんなことを人前で言って、そんなことしないでくれーーーーーー!)
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