羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。

泉野あおい

17章:注がれる愛が重すぎる(3)

 最初、再会した時は怖かった。あのときのことずっと引き摺ってたから。

 あの時から成長してない、いつも周りを気にしてばかりで何もできない自分を見られるのが怖かったのかもしれない。

 そんな私に先輩は、
 少しずつ、こっちだよ、と方向を示してくれた。

 とびきり優しくて、でも時々強引で、意地悪で、
 私をいつもドキドキさせる。
 
 そんな先輩をいつの間にか、好きになってた。
 いや、もしかしたらあれからずっと好きだったのかな……。





「私も先輩とずっと一緒にいたいって。そう思ったから……私と結婚してください」


 私が言い終わると同時、先輩は私の身体を、ぎゅう、と抱きしめる。


「みゆ! 大好き! 愛してる」


―――私も先輩が好き。



「どうしよう。嬉しすぎてどうしていいのか困ってる」
「はい」

 ふふ、と思わず笑みがこぼれる。

「ヘリの上から叫びたいくらい」
「とりあえず、それはやめときましょう」
「いっそヘリ買おうか。実はヘリの免許も持ってるし」
「それ絶対いらないやつです」
「でも新婚旅行でも使うかもしれないし」
「普通に飛行機で行けばいいのでは」

 ヘリを買おうとか内容はかわいくないけど、こういう素直に喜ぶところは先輩なのにかわいいと思うのだから相当やられている。

 目が合うと、自然に唇を合わせた。私たちは再会してから、どれくらいキスをしているのだろう。もう100回以上はしているだろう。そのたびに好きになってくんだ。
 そんなことを考えた私を、先輩はまた抱きしめる。


「もしプロポーズ断られたらここに閉じ込めて、みゆがいいって言うまで、身も心も全部落とそうとか思ってた自分が情けないよ」
「ちょっとまて!」

 瞬間、ひっ、と身体が冷えた気がした。「何、恐ろしげなこと言い出したんですか……!」


(お願いだからそれは黙っていてほしかった!)

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