羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。
9章:彼の事情(3)
その先輩の決意している顔を見て、私は、先輩がまた遠い世界の人のように思えてしまったのだ。高校の時も先輩は十分に遠い存在だった。今もそういう面はある。
でも、こうやって先輩が自分に近づいてきてくれて、身体を重ねて……。
私も少しずつだが、先輩をただの男の人として接することもできるようになってきていた。でも……。
大きなグループ会社の会長の孫で、今の会社の社長の息子。
もし他のだれかの話なら『すごいなぁ』と素直に思ったのかもしれない。でも先輩がそうだなんて……私には『悪い事実』の分類にしかならない。
「みゆ?」
先輩は不安そうな目をすると、私の頬を撫でる。
「あ、す、すみません。世界が違いすぎて。今頃驚きが来たというか……」
「ごめんね。これ聞いたらみゆは俺と付き合う事にしり込みするかなぁって思ったんだ」
先輩は、また、ごめん、とつぶやいた。
その様子に私は眉を寄せる。
「……もしかして、だから『今』、言いました?」
先輩は少し考えると、
「……確かにそうかも。俺ってずるいよね」
と言う。
「ほんとズルいです……」
今、裸で二人ベッドにいるこの状況で、そんなこと言うんだもん……。
引き返せなくなってから言うなんて、ズルい。
先輩はまた、ごめん、と言ってから、
「でも、みゆには知っておいて欲しかった。言ったでしょう。結婚を前提に、って」
「……まだ付き合いだしたばっかりだし、結婚とか……もっと普通の年月交際してから、一から考えればいいんじゃないんですか」
私だって、先輩が思っていたような女じゃないかもしれないし。
今すぐ判断する必要なんてないんじゃないかな。
そんなことを思って言うと、先輩の眉が不機嫌そうに動いた。そのしぐさに、ドキリとする。そもそも、これ私が悪い案件 隠してた先輩の方が悪くない
(私だって、そんな人と結婚とか、ちょっと荷が重すぎるんですけど……)
「参考までに聞きたいんだけど、みゆの思う『結婚するまでの普通の年月』って、どれくらいかかるの」
「え……普通だと最低2年は付き合って、婚約して半年後くらいに入籍? 子どもはその2年後とか」
「申し訳ないけど、2年は待てない。子どもはもっと」
きっぱりと先輩は言う。
「えぇ……」
なんでよ。そう言おうとしたとき、先輩は私をまっすぐ見つめて、
「みゆが他のだれかのものになったら嫌だから。自分のものだって、証が欲しいんだ」
ときっぱりと言う。その言葉に心臓の音が速くなる。
私は泣きそうになりながら、
「そもそもこれまで誰とも付き合ってないですし。私、先輩と違ってモテないですよ! だから心配する必要なんてないし、急がなくても……!」
最後の言葉は先輩の唇にふさがれた。
長いキスのあと、名残惜しそうに先輩の唇が離れる。
「ちょ! な、なんですか……突然!」
「だから心配だなぁって思っただけ」
よくわからないけど、ケンカ売られてます?
私があぁん? というように先輩を睨むと、
「そういうとこだよ」
と先輩は苦笑して、私の頭をまるで子どもをあやすみたいに優しく撫でた。
でも、こうやって先輩が自分に近づいてきてくれて、身体を重ねて……。
私も少しずつだが、先輩をただの男の人として接することもできるようになってきていた。でも……。
大きなグループ会社の会長の孫で、今の会社の社長の息子。
もし他のだれかの話なら『すごいなぁ』と素直に思ったのかもしれない。でも先輩がそうだなんて……私には『悪い事実』の分類にしかならない。
「みゆ?」
先輩は不安そうな目をすると、私の頬を撫でる。
「あ、す、すみません。世界が違いすぎて。今頃驚きが来たというか……」
「ごめんね。これ聞いたらみゆは俺と付き合う事にしり込みするかなぁって思ったんだ」
先輩は、また、ごめん、とつぶやいた。
その様子に私は眉を寄せる。
「……もしかして、だから『今』、言いました?」
先輩は少し考えると、
「……確かにそうかも。俺ってずるいよね」
と言う。
「ほんとズルいです……」
今、裸で二人ベッドにいるこの状況で、そんなこと言うんだもん……。
引き返せなくなってから言うなんて、ズルい。
先輩はまた、ごめん、と言ってから、
「でも、みゆには知っておいて欲しかった。言ったでしょう。結婚を前提に、って」
「……まだ付き合いだしたばっかりだし、結婚とか……もっと普通の年月交際してから、一から考えればいいんじゃないんですか」
私だって、先輩が思っていたような女じゃないかもしれないし。
今すぐ判断する必要なんてないんじゃないかな。
そんなことを思って言うと、先輩の眉が不機嫌そうに動いた。そのしぐさに、ドキリとする。そもそも、これ私が悪い案件 隠してた先輩の方が悪くない
(私だって、そんな人と結婚とか、ちょっと荷が重すぎるんですけど……)
「参考までに聞きたいんだけど、みゆの思う『結婚するまでの普通の年月』って、どれくらいかかるの」
「え……普通だと最低2年は付き合って、婚約して半年後くらいに入籍? 子どもはその2年後とか」
「申し訳ないけど、2年は待てない。子どもはもっと」
きっぱりと先輩は言う。
「えぇ……」
なんでよ。そう言おうとしたとき、先輩は私をまっすぐ見つめて、
「みゆが他のだれかのものになったら嫌だから。自分のものだって、証が欲しいんだ」
ときっぱりと言う。その言葉に心臓の音が速くなる。
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「そもそもこれまで誰とも付き合ってないですし。私、先輩と違ってモテないですよ! だから心配する必要なんてないし、急がなくても……!」
最後の言葉は先輩の唇にふさがれた。
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「だから心配だなぁって思っただけ」
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と先輩は苦笑して、私の頭をまるで子どもをあやすみたいに優しく撫でた。
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