羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。
7章:誓言(3)
恥ずかしさで泣きながら、
「もう帰ります、お願いだから帰らせてください」
「うーん、すごく名残惜しいんだけど」
そう言って先輩は続ける。「明日までうちにいれば? あ、このまま一生でもいいけど」
「いやですって!」
思いっきり叫ぶと、思った以上に声がかすれていて、先輩はまた楽しそうに笑った。
「まぁ、柊刑事も心配だろうし仕方ないかなぁ。あ、そうだ。柊家に俺が住むっていうのはどう?」
「絶対いやです!」
「今のは、本気の『いや』だなぁ」
そんなことを先輩はつぶやき、微笑む。
どういう意味よ、と睨むと、
「その目されると、またムラムラするけど?」
「ひっ!」
さっと自分の目を隠した。なななななななにそれ!
私は慌てて何とか先輩から離れる。もう次、手を出したら噛んでやる! そんな気持ちを知って知らずか、先輩は苦笑しながら私の顔を見て、息を吐いた。
「分かったよ。ごめんって。意地悪しちゃっただけ。あ、着替えるならシャワー使っていいよ。出て左行って、つき当たり右」
「どうも」
「洗ってあげようか?」
「それ、セクハラです! 絶対来ないで!」
これは確実にセクハラだ。セクハラで訴えたい。ただこの人相手に勝てる自信がある弁護士はいるのだろうか……。
怒ってベッドから出て、やたら広いバスルームでシャワーを浴びる。熱いシャワーは、私の頭を徐々にクリアにさせた。
本当にこれからどうすればいいんだろう。
先輩とどう接していいのかわからない。現に、朝から先輩と目を合わせることができていない。
さらに、こんな状態で、仕事で会うことがあったら、確実にみんなに不審がられるんじゃないか……。そしたら、会社でもやりにくくなる……。
どうしよう、これからどうすればいいんだろう……。
いろいろ考えて、頭を振る。結局考えはまとまらないまま、私は着替えてバスルームを出た。
すると、先輩はコーヒーを淹れてくれていて、クロワッサンとサラダとともにテーブルに置いてくれる。
「あさごはん、食べていきな」
「……ありがとうございます」
そのまま目線を朝食に固定して、いただきます、と食べ始めた。
先輩の前に座ってることが、なんだかすごく気恥ずかしかいのはなぜだろう。
「お、おいしいです」
「うん、良かった」
先輩は笑って向かいの席に座る。私は、そのまま下を向いて黙々と食べていた。
先輩は私を安心させるためなのか、
「そういえば、みゆんちの庭って池あったの?」
と全然関係のない話題にしてくれる。
「あ、あれは昔一匹だけ鯉がいて」
「へぇ」
「でももういないです。だからもう水も入ってないですよ」
「そういえばそうだよね。ずっと不思議だったんだ」
「水のない大きなくぼみだから?」
「うん。刑事の家だから泥棒対策に落とし穴でも掘ってるのかと思ってた」
「なにそれ」
思わず笑うと、先輩は安心したように笑った。
「もう帰ります、お願いだから帰らせてください」
「うーん、すごく名残惜しいんだけど」
そう言って先輩は続ける。「明日までうちにいれば? あ、このまま一生でもいいけど」
「いやですって!」
思いっきり叫ぶと、思った以上に声がかすれていて、先輩はまた楽しそうに笑った。
「まぁ、柊刑事も心配だろうし仕方ないかなぁ。あ、そうだ。柊家に俺が住むっていうのはどう?」
「絶対いやです!」
「今のは、本気の『いや』だなぁ」
そんなことを先輩はつぶやき、微笑む。
どういう意味よ、と睨むと、
「その目されると、またムラムラするけど?」
「ひっ!」
さっと自分の目を隠した。なななななななにそれ!
私は慌てて何とか先輩から離れる。もう次、手を出したら噛んでやる! そんな気持ちを知って知らずか、先輩は苦笑しながら私の顔を見て、息を吐いた。
「分かったよ。ごめんって。意地悪しちゃっただけ。あ、着替えるならシャワー使っていいよ。出て左行って、つき当たり右」
「どうも」
「洗ってあげようか?」
「それ、セクハラです! 絶対来ないで!」
これは確実にセクハラだ。セクハラで訴えたい。ただこの人相手に勝てる自信がある弁護士はいるのだろうか……。
怒ってベッドから出て、やたら広いバスルームでシャワーを浴びる。熱いシャワーは、私の頭を徐々にクリアにさせた。
本当にこれからどうすればいいんだろう。
先輩とどう接していいのかわからない。現に、朝から先輩と目を合わせることができていない。
さらに、こんな状態で、仕事で会うことがあったら、確実にみんなに不審がられるんじゃないか……。そしたら、会社でもやりにくくなる……。
どうしよう、これからどうすればいいんだろう……。
いろいろ考えて、頭を振る。結局考えはまとまらないまま、私は着替えてバスルームを出た。
すると、先輩はコーヒーを淹れてくれていて、クロワッサンとサラダとともにテーブルに置いてくれる。
「あさごはん、食べていきな」
「……ありがとうございます」
そのまま目線を朝食に固定して、いただきます、と食べ始めた。
先輩の前に座ってることが、なんだかすごく気恥ずかしかいのはなぜだろう。
「お、おいしいです」
「うん、良かった」
先輩は笑って向かいの席に座る。私は、そのまま下を向いて黙々と食べていた。
先輩は私を安心させるためなのか、
「そういえば、みゆんちの庭って池あったの?」
と全然関係のない話題にしてくれる。
「あ、あれは昔一匹だけ鯉がいて」
「へぇ」
「でももういないです。だからもう水も入ってないですよ」
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「水のない大きなくぼみだから?」
「うん。刑事の家だから泥棒対策に落とし穴でも掘ってるのかと思ってた」
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思わず笑うと、先輩は安心したように笑った。
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