羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。

泉野あおい

7章:誓言(1)

「みゆ……」

 そのまま唇が合わさって、次の瞬間、舌が口内に入り込む。そして深いキスを繰り返す。
 先ほどの軽いキスと全然違う感覚に溺れて、ただ泣きそうになって、私は先輩を見つめた。先輩は私の髪を大事そうになで、
「怖い?」
と、優しく聞いてくる。

 ぼんやりとする頭を、ゆるゆると横に振ると、先輩はクスリと笑った。
 その顔がやけに色っぽくて、それに今の状況も相まって急に恥ずかしくなって目をそらせた。

「目をそらしちゃだめだよ? 見ててって言ったでしょう」
「で、でも、恥ずかしいし……」
「その恥ずかしいところも今から全部見せてもらうけど?」
「……うぅ」

「こういう事も含めて全部、俺のこと、もっとみゆに好きになってほしいんだ。だから、『恥ずかしいから』だけじゃやめないよ。俺に触れられたくもないなら別だけどね」

 それに答えられないでいると、もう一度唇が重なる。

「んっ……」
「ちゃんと俺に愛されてるって、身体でも分かって」

 先輩の手の熱とか、唇の熱とか、熱い目とか……
 確かにその全部が全部私のことを愛していると言っているようで、私はどうしていいのかわからなくなった。

 なのに何度もキスをされて触れられていくうちに、どうしていいか悩むこと自体、出来なくなる。はくはくと短くなってくる息の合間、先輩の与えてくる熱の一つ一つが身体に刻み付けられていくような感覚だけがあった。


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