羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。
6章:突然訪れた夜(4)
次の金曜。会社を出る時、私はなぜかドキドキした。
羽柴先輩がいそうな、そんな予感がしたから。
エレベータで1階まで降りると、エントランスを出たところに、やっぱり先輩はいた。
「みゆ」
「……なんでいるんですか」
低い声で聞いてみたけど、最後はちょっと笑ってしまった。
するとそれを見た先輩は楽しそうに笑う。
「ふふ。そうだ、ちょうど今日日本酒をいただいたんだけど、いらない?」
「え……」
先輩は手に持っている紙袋を見せる。
「獺祭の磨きその先へ、って言うらしいんだ」
「……へ」
「変な名前だよね」
私は固まる。それ、私が飲んでみたかったやつ!
基本贈答品で、ちょっと高いから普通には買えない日本酒だ。
そんなものいただくなんて、先輩さすがだ。
「みゆ、知ってる?」
「はい、もちろん」
「でも俺は日本酒そんなに飲まないからね。みゆ、持って帰る?」
「え、そんな……高価なものいただけませんよ」
私は手を横に振った。
すると先輩は少し考えた後、
「じゃ、うちで少し飲んでいかない?」
と言う。その提案に胸がドキリと音を立てた。
「……そ、それは結構です」
「あ、俺がみゆに何かすると思ったの?」
「それに対しては、否定も肯定でもできません」
って、前に、キスしたのも先輩んちだったじゃん!
私が先輩を睨むと、
「あはは、ごめんごめん。からかっただけ。大丈夫。一応俺も弁護士だし。高校の時みたいに、無理矢理、なんて考えないよ」
そう言われて思わず口を噤んだ。
「そうだ。一杯だけ付き合って。俺も一杯だけ飲んでみるし。それから、残ったもので申し訳ないけど、持って帰ってくれたら嬉しいな」
「でも」
「ね、俺を助けると思って」
先輩は私にぱちりと手を合わせる。
「……本当になにもしませんよね」
「みゆが嫌だっていうなら絶対何もしない」
先輩がまっすぐ私を見てそう言って、私は小さく頷いた。
そういえば、先輩の家のカードキーも預かったままだ。先輩に直接返すとまたどこかしらに入れられそうなので、先輩の部屋にそっと置いていこう。
そう決意して、私は先輩に続いた。
羽柴先輩がいそうな、そんな予感がしたから。
エレベータで1階まで降りると、エントランスを出たところに、やっぱり先輩はいた。
「みゆ」
「……なんでいるんですか」
低い声で聞いてみたけど、最後はちょっと笑ってしまった。
するとそれを見た先輩は楽しそうに笑う。
「ふふ。そうだ、ちょうど今日日本酒をいただいたんだけど、いらない?」
「え……」
先輩は手に持っている紙袋を見せる。
「獺祭の磨きその先へ、って言うらしいんだ」
「……へ」
「変な名前だよね」
私は固まる。それ、私が飲んでみたかったやつ!
基本贈答品で、ちょっと高いから普通には買えない日本酒だ。
そんなものいただくなんて、先輩さすがだ。
「みゆ、知ってる?」
「はい、もちろん」
「でも俺は日本酒そんなに飲まないからね。みゆ、持って帰る?」
「え、そんな……高価なものいただけませんよ」
私は手を横に振った。
すると先輩は少し考えた後、
「じゃ、うちで少し飲んでいかない?」
と言う。その提案に胸がドキリと音を立てた。
「……そ、それは結構です」
「あ、俺がみゆに何かすると思ったの?」
「それに対しては、否定も肯定でもできません」
って、前に、キスしたのも先輩んちだったじゃん!
私が先輩を睨むと、
「あはは、ごめんごめん。からかっただけ。大丈夫。一応俺も弁護士だし。高校の時みたいに、無理矢理、なんて考えないよ」
そう言われて思わず口を噤んだ。
「そうだ。一杯だけ付き合って。俺も一杯だけ飲んでみるし。それから、残ったもので申し訳ないけど、持って帰ってくれたら嬉しいな」
「でも」
「ね、俺を助けると思って」
先輩は私にぱちりと手を合わせる。
「……本当になにもしませんよね」
「みゆが嫌だっていうなら絶対何もしない」
先輩がまっすぐ私を見てそう言って、私は小さく頷いた。
そういえば、先輩の家のカードキーも預かったままだ。先輩に直接返すとまたどこかしらに入れられそうなので、先輩の部屋にそっと置いていこう。
そう決意して、私は先輩に続いた。
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