羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。
3章:重過ぎるプレゼントと二度目のキス(3)
先輩のマンションはホウオウビルの近くにある、超高層マンションの41階だった。
そのとき、あの先輩に関する記事たちが頭を回る。まぁ、そうだよね。すごい人、なんだもんね。
1階のエントランスでインターホンを鳴らすとドアが開き、お聞きしております、とのたまうコンシェルジュたちにあれよあれよと言うまに先輩の部屋、つまり4101号室まで案内された。また部屋の前でインターホンを鳴らそうとしたとき、ガチャリとそのドアが開いた。
「みゆから電話もらえるなんて光栄だよ」
「ふざけないでください!」
まさか、名刺がこんなにすぐに役に立つとは思わなかったわ!
っていうか、それどころじゃない。これを返さないと。
私は小さな封筒を渡す。
「これ!」
「なに? ラブレター?」
「そんなわけあるかーーーーー!」
思わず叫んでしまった。
「ええっと……」
先輩が少し困ったような顔で、「よければ入って? ほら、みゆ声大きいし。ご近所迷惑でしょう」
「っ……!」
(ちょ、なんで私が悪いことになってんの!)
そうは思うが、ご近所迷惑になるのは確かだ。
すると、先輩は私を入るように促した。玄関まで入ると先輩は、
「クツ脱いで、なかに入って?」
「……ココで結構です」
「そう」
先輩は言う。
私はもう一度、封筒を先輩に見せ、その中身を取り出した。
「なんで指輪なんですかっ! しかも、これ、ダイヤじゃないですか……!」
そう、私の左手の薬指には、いつの間にやら(きっとあの手を握られた時だが)、指輪がはめられていたのだ。しかも、明らかに100万の枠には入らなさそうな大きさのダイヤの……。
「って、ほんと、これなんですか! 勝手に、了解もなしに、左手の薬指にこんなものはめないでください!」
「予約しておきたくて」
「こんな予約の仕方あるかーーーー!」
室内に入っていてよかったと思うくらい、私は叫んだ。
たぶん、玄関の中にいても外に聞こえているだろう。でも、仕方ない。今はそれどころではない。
それもこれも全部、意味の分からない行動をする先輩のせいだ。
「っていうか、なんで指のサイズわかったんですか!」
「ほら、前のエレベータの時、指、触ったでしょ。それでわかった」
「勝手に……」
「で、今日出来上がったんだ」
「いや、いらないです! どうかお願いですから他の女性にプレゼントしてください」
「なかに二人の名前ほっちゃったのになぁ」
「勝手にほるなーーーーーーー!」
どうしよう、全力で頭が痛い。
これはお酒のせいではない。
「教えてもらって俺がほったんだよ?」
見たら本当に器用に名前が彫られている。
(器用すぎるーーーーー! その手腕は別のところで生かしてください!)
「って違う! ここここここれ一体いくらするんですか!」
「スタンダードに、給料三か月分くらいかなぁ」
「先輩の給料の3か月って想像もしたくないんですけど!」
間違いなく私の給料一年分以上だ。
こわい。給料三か月分、怖い。こんな怖い給料三か月分があってたまるか!
思わず指輪を持つ手が震える。物理的にも心理的にも重い。
「大丈夫だよ、心配しなくても」
「いや、こんなの、ほんと重いですから! いりません! 返品してください!」
「いいじゃない。もらっちゃいなよ、気軽に」
気軽にもらっちゃいなよ、とか、なに言ってるの! この先輩!
「ウン百万以上する代物、気軽にもらえませんよ!」
ふふ、と笑って先輩が指輪を自分の手に取ってくれる。
良かった。返品に応じてくれた……。
そのとき、あの先輩に関する記事たちが頭を回る。まぁ、そうだよね。すごい人、なんだもんね。
1階のエントランスでインターホンを鳴らすとドアが開き、お聞きしております、とのたまうコンシェルジュたちにあれよあれよと言うまに先輩の部屋、つまり4101号室まで案内された。また部屋の前でインターホンを鳴らそうとしたとき、ガチャリとそのドアが開いた。
「みゆから電話もらえるなんて光栄だよ」
「ふざけないでください!」
まさか、名刺がこんなにすぐに役に立つとは思わなかったわ!
っていうか、それどころじゃない。これを返さないと。
私は小さな封筒を渡す。
「これ!」
「なに? ラブレター?」
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「っ……!」
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そうは思うが、ご近所迷惑になるのは確かだ。
すると、先輩は私を入るように促した。玄関まで入ると先輩は、
「クツ脱いで、なかに入って?」
「……ココで結構です」
「そう」
先輩は言う。
私はもう一度、封筒を先輩に見せ、その中身を取り出した。
「なんで指輪なんですかっ! しかも、これ、ダイヤじゃないですか……!」
そう、私の左手の薬指には、いつの間にやら(きっとあの手を握られた時だが)、指輪がはめられていたのだ。しかも、明らかに100万の枠には入らなさそうな大きさのダイヤの……。
「って、ほんと、これなんですか! 勝手に、了解もなしに、左手の薬指にこんなものはめないでください!」
「予約しておきたくて」
「こんな予約の仕方あるかーーーー!」
室内に入っていてよかったと思うくらい、私は叫んだ。
たぶん、玄関の中にいても外に聞こえているだろう。でも、仕方ない。今はそれどころではない。
それもこれも全部、意味の分からない行動をする先輩のせいだ。
「っていうか、なんで指のサイズわかったんですか!」
「ほら、前のエレベータの時、指、触ったでしょ。それでわかった」
「勝手に……」
「で、今日出来上がったんだ」
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どうしよう、全力で頭が痛い。
これはお酒のせいではない。
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間違いなく私の給料一年分以上だ。
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気軽にもらっちゃいなよ、とか、なに言ってるの! この先輩!
「ウン百万以上する代物、気軽にもらえませんよ!」
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