名無しの(仮)ヒーロー
一難去ってまた一難 6
「夏希さん……」
朝倉先生が、何かを言い掛けた時、コンコンとノック音が聞こえた。
あれ!? さっきもこのタイミングじゃなっかた?
あまりのタイミングにコイツ狙ってんじゃない? と、将嗣を一瞬疑ってしまったが、美優を連れてそんな技が効かない事を思い出し心の中でゴメンと謝った。
「先生と話して来たけど、今、いい?」
「うん、なんて言っていた?」
「午後、検査して異常が無ければ、1週間ぐらいで地元の病院に転院しても良いって、転院先を決めて向こうの都合もあるから日にちは相談の上、決定でいいよな」
将嗣の話を聞いてホッと息を吐く。地元の病院に転院出来そうで安心した。けど、1週間もコッチの病院で、その後、地元の病院に戻ってからどうするか悩む所。
「すいません。口を挟むようですが、地元の病院に移った後、美優ちゃんのお世話を私に任せていただけませんか?」
朝倉先生がそう言うと、将嗣の眉がピクンと上がる。
「将嗣もお仕事でしょ? 仕事の間、美優の預け先を探さないといけないじゃないかな? 保育園の一時預かりだと時間も決められていて、将嗣のシフトに合うかどうか難しい所だし、朝倉先生の所だったら先生のお姉さん達が助っ人で来て下さるそうなの」
フォローしたつもりだけど、返ってマズかったかな?
チラリと将嗣を見る。
将嗣は、美優をジッと見つめていた。
「……少し考えさせて頂いてもいいですか?」
将嗣が、朝倉先生に向かって軽く頭を下げ、美優を連れて病室から出て行ってしまった。
将嗣の気持ちを考えたら朝倉先生に美優を預けるなんて抵抗があるのだろう。でも、一人では背負い切れない部分は誰かの手を借りなけば子育ては出来ない。自分の意地を通せば、その分子供にしわ寄せが行く。
美優のことに関しては二人で決めなければいけないけれど、将嗣が反対したとしても美優のためになる選択をしなければならない。
「翔也さん、さっき言い掛けていた言葉って……?」
「あ、いや、何だったかな?」
2回も何かを言い掛けていたのに、何か言いにくい言葉だったのかな?
本当は、しつこく聞き出したい気持ちもあったけど、言いにくい言葉を無理やり聞き出すのも憚れたので、朝倉先生がいつか言ってくれると信じて待つ事にした。
「今、美優ちゃんの事は、園原さんが見ているの?」
「そうですね、仕事を休んでいる間は、実家に寝泊まりして見てくれるそうです」
「じゃあ、コッチにいる間は手を出さない方が良さそうだね」
朝倉先生が、少し寂しそうに笑った。
「翔也さん……」
「夏希さんや美優ちゃんを取られてしまったように感じているのは、お互い様なんだろうけどね。やっぱり、夏希さんが事故に遭って大変な事を知らないままだったのが酷く堪えた。ごめん、怪我人の夏希さんを困らせるような事を言っているね」
朝倉先生の瞳がユラユラ揺れて見える。
その悲しそうな瞳に吸い込まれそうになった。私の頬を朝倉先生の手が包み込み、ユラユラ揺れた瞳が近づき唇に唇が重なる。
お互いの熱が伝わり、その熱が二人の間にある不安を溶かすように感じた。
朝倉先生が、何かを言い掛けた時、コンコンとノック音が聞こえた。
あれ!? さっきもこのタイミングじゃなっかた?
あまりのタイミングにコイツ狙ってんじゃない? と、将嗣を一瞬疑ってしまったが、美優を連れてそんな技が効かない事を思い出し心の中でゴメンと謝った。
「先生と話して来たけど、今、いい?」
「うん、なんて言っていた?」
「午後、検査して異常が無ければ、1週間ぐらいで地元の病院に転院しても良いって、転院先を決めて向こうの都合もあるから日にちは相談の上、決定でいいよな」
将嗣の話を聞いてホッと息を吐く。地元の病院に転院出来そうで安心した。けど、1週間もコッチの病院で、その後、地元の病院に戻ってからどうするか悩む所。
「すいません。口を挟むようですが、地元の病院に移った後、美優ちゃんのお世話を私に任せていただけませんか?」
朝倉先生がそう言うと、将嗣の眉がピクンと上がる。
「将嗣もお仕事でしょ? 仕事の間、美優の預け先を探さないといけないじゃないかな? 保育園の一時預かりだと時間も決められていて、将嗣のシフトに合うかどうか難しい所だし、朝倉先生の所だったら先生のお姉さん達が助っ人で来て下さるそうなの」
フォローしたつもりだけど、返ってマズかったかな?
チラリと将嗣を見る。
将嗣は、美優をジッと見つめていた。
「……少し考えさせて頂いてもいいですか?」
将嗣が、朝倉先生に向かって軽く頭を下げ、美優を連れて病室から出て行ってしまった。
将嗣の気持ちを考えたら朝倉先生に美優を預けるなんて抵抗があるのだろう。でも、一人では背負い切れない部分は誰かの手を借りなけば子育ては出来ない。自分の意地を通せば、その分子供にしわ寄せが行く。
美優のことに関しては二人で決めなければいけないけれど、将嗣が反対したとしても美優のためになる選択をしなければならない。
「翔也さん、さっき言い掛けていた言葉って……?」
「あ、いや、何だったかな?」
2回も何かを言い掛けていたのに、何か言いにくい言葉だったのかな?
本当は、しつこく聞き出したい気持ちもあったけど、言いにくい言葉を無理やり聞き出すのも憚れたので、朝倉先生がいつか言ってくれると信じて待つ事にした。
「今、美優ちゃんの事は、園原さんが見ているの?」
「そうですね、仕事を休んでいる間は、実家に寝泊まりして見てくれるそうです」
「じゃあ、コッチにいる間は手を出さない方が良さそうだね」
朝倉先生が、少し寂しそうに笑った。
「翔也さん……」
「夏希さんや美優ちゃんを取られてしまったように感じているのは、お互い様なんだろうけどね。やっぱり、夏希さんが事故に遭って大変な事を知らないままだったのが酷く堪えた。ごめん、怪我人の夏希さんを困らせるような事を言っているね」
朝倉先生の瞳がユラユラ揺れて見える。
その悲しそうな瞳に吸い込まれそうになった。私の頬を朝倉先生の手が包み込み、ユラユラ揺れた瞳が近づき唇に唇が重なる。
お互いの熱が伝わり、その熱が二人の間にある不安を溶かすように感じた。
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