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神島古物商店の恋愛事変~その溺愛は呪いのせいです~

大江戸ウメコ

いにしえの想いと結婚式(3)

 まさか、こんな墓地のど真ん中でプロポーズされると思っておらず、私は混乱した。
 保科くんに捕まれた指に熱が灯る。恥ずかしくなって、私は慌てて手を払った。

「ほ、保科くん、結婚ってどういうこと?」

 そもそも、私たちはつきあってすらいないのだ。呪いが解けたらもう一度告白してくれるという約束はしていたが、それを全部すっとばしてプロポーズとは何を考えているのか。

「顕正さんの一番の未練は、民さんと結婚できなかったことです」
「まさか、それで? 保科くんと私が結婚したら未練は晴れるかもってこと?」

 なるほど。いきなり保科くんがプロポーズをした理由はわかった。だけど、それを叶えられるかどうかは別問題だ。

「それで呪いは解けるのかもしれないけど、でも、呪いを解くために結婚なんて無理だよ」

 いくらなんでもそんな理由で結婚なんてできない。そもそも、私と保科くんが結婚したとしても呪いが解ける保証もないのだ。

「分かっています。だから、フリだけでも試してみませんか?」
「フリだけって、どういうこと?」
「先輩は、結婚と言えば何を想像します?」
「うーん。やっぱり、結婚式かな」

 私がそう答えると、保科くんは首を縦に振った。

「そうですよね。だから、やりましょう。結婚式」
「意味が分からないんだけど。結婚しないのに、結婚式だけやるってこと?」

 話が突拍子もなくて頭がクラクラする。
 そりゃあ、籍を入れていなくてもお金を払えば式くらいは出来るだろう。だけど、結婚式を挙げるのって数百万円するんじゃなかったっけ。それを、フリで行う?

「無理でしょ。いくらかかると思ってるのよ」
「結婚式の費用のほとんどは披露宴にかかるお金ですよ。今回は呪いを解くのが目的ですからゲストを呼ぶ必要がありませんよね?」
「むしろ、呼ばれたら困るよ」

 本当に結婚するわけじゃないのに招待客をよべるはずが無い。両親に伝えることすら憚られる。

「衣装をレンタルして、式だけ挙げるんです。時代を考えても和装が良いと思います」
「つまり、白無垢を着て結婚式ごっこをするってこと?」
「ごっこですが、本気で挙げますよ。神社には偽装だって伝えませんし、先輩も本当に俺と結婚するような気持ちで挑んで下さい」

 冗談で言っているのかと思ったが、保科くんの目は真剣だった。
 まさか、本気でそんな大掛かりなことをするつもりなのだろうか。

「まってよ。いくら招待客をよばずに二人でやるとしても、それでも結構お金がかかるでしょ?」
「ちょっと待って下さいね。いくらでやれるか調べます」

 保科くんはスマホを操作して、数秒後、明るい声を出した。

「安いところだと数十万円でできるそうですよ。そのくらいなら、俺が出しますし」
「俺が出すって、数十万でも気軽に払える金額じゃないでしょう」

 いくら呪いを解くためだとはいえ、確証もない話にポンと払える額ではない。

「そうですか? 美術品ならもっと高いものもざらですし」
「保科くんって、美術品収集もやってるの?」
「そんなには集めていませんけど。置き場所に困りますから、どうしても欲しいものだけですよ。今回の場合は置き場所を考えなくていいから良いですね。どんな着物がいいですか? 衣装は先輩の好きに選んで下さってかまいませんよ」

 保科くんの金銭感覚に目を丸くする。本当に同じお店でお給料をもらっているのだろうか。

「まって、落ち着いて保科くん。そもそも、それで呪いが解ける保証もないんだよ? 無駄になったらどうするの」
「無駄になったら、それはそれで構いませんよ。先輩の花嫁姿が見られるなら、そのくらい安いものです」
「本気で言ってる? 絶対、そのお金で旅行でもした方が有意義だよ」
「俺にとっては、この上なく有意義な使い方ですよ。ああ、でも先輩が一緒にきてくれるなら、旅行に行くのも良いですね」

 そうだった。この呪いが解けない限り、保科くんは一人で旅行にも行けないのだ。
 そう考えると、呪いが解ける可能性があるならば、偽の結婚式をやってみる価値はあるのかもしれない。

「本当にするの?」
「もちろんです。つきあってくれますよね?」

 そう頼まれてしまえば、嫌だとは言えない。私がしぶしぶ頷くと、保科くんは嬉しそうに笑ったのだった。







 婚約者の墓を見つけたけれど、簪を供えても呪いは解けなかったことを門崎さんに報告した。ついでに、保科くんがいうように、疑似結婚式を行うことで呪いが解ける可能性はあるかと質問してみる。門崎さんから帰ってきた答えは、保科くんのいうやり方で呪いが解ける可能性は十分あるということだった。

 門崎さんにも太鼓判を押されて、いよいよ後にひけなくなった。
 結婚式を行うことが決まって、保科くんは上機嫌でフライパンをふるっている。
 お墓参りを終えた私達は、一度私の家によって荷物を取ったあと、保科くんの家に泊ることになった。私の家でも良かったのだが、保科くんの家の方が広いのでお言葉に甘えることにした。

 昨日、荷物を取りに来たときも思ったが、保科くんはかなり良いマンションに住んでいる。今回は部屋の前で待つのではなく、家の中までお邪魔させてもらったから、なおさらその感想が強くなった。
 間取りはうちと同じ1LDKなのだが、部屋の広さが違う。キッチンも最新式のシステムキッチンで、家具なども立派なものを揃えているようだ。ガラスのついた飾り棚があって、小さめの焼き物が並んでいるのも彼らしい。

「先輩、ゴーヤって食べられます?」
「大丈夫だよ。食べ物の好き嫌いはないから」
「流石ですね」

 軽快な手つきでゴーヤを刻んで、フライパンに流しいれる。今夜のメニューはゴーヤチャンプルらしい。季節の野菜とはいえ、一人暮らしの男の家の冷蔵庫にゴーヤが入っているのが驚きだった。

「保科くんの方が流石だよ。料理できるんだね」
「結構好きなんですよ、作るの。基本的に自炊したいので三コンロは欲しいです」
「立派なキッチンだもんね。しかし、よくお家賃払えるね」

 保科くんの家は新しくて広い。結婚式の件といい、ウチのお給料でよくやりくりできるなと感心したのだが、彼は苦笑してフライパンの火を止めた。

「賃貸じゃありませんから、家賃とかはまぁ」
「え、分譲マンションなの?」
「分譲って言うか親のマンションだったんですよね、この建物。贈与されたので、今は俺の管理なんですけど」
「え、マンション? この部屋がじゃなくて、マンション一棟ってこと?」

 私が目を丸くすると、保科くんは頷いた。ファミリー向けではないが、そこそこ大きなマンションだ。それが一棟、保科くんの持ちもの?
 保科くんはゴーヤチャンプル―を皿に盛ると、もう作ってあったスープをよそって、白ご飯と一緒にテーブルに運んでくれる。私は慌てて食器を並べるのを手伝った。

「管理とかはほぼ委託しているから、俺はなにもしてないんですが」
「それって不労所得ってことでしょ。え、すごくない?」
「その分、税金もかかるんですよ。まぁ、収支はプラスですけど」
「保科くんの実家って、お金持ちなの?」
「親が事業を起こして成功していますね」

 それってつまり、親が社長ってことじゃあないだろうか。私は思わず目を瞬く。
 料理を並べ終えると、私と保科くんは向かい合って座って手を合わせた。

「いただきます」

 手を合わせてそう言ってから、作ってもらった夕食を口に運ぶ。ほろ苦いチャンプルーは味付けも絶妙で、白ご飯が進んだ。

「美味しい。すごいな、料理も上手なんだね」
「口にあいましたか? 俺と結婚したら、毎日作ってさしあげますよ」
「それは、なかなか心がぐらつく口説き文句だなぁ」

 実家がお金持ちで料理もできる。家の中も散らかっている様子がないし、家事だって一通りこなせそうだ。もしかしなくても、保科くんって凄いのでは?

「保科くん、なんでウチに就職したの」

 お家が会社をやっているなら、そこに就職しようって感じにはならなかったのだろうか。お金に困っている感じもないし、もしかしたら不労所得だけでも生活できたんじゃないのかな。

「家業は兄が継いでいますし、俺はあまり事業に興味を持てなくて。特にうるさく言われなかったから、好きなことを仕事にさせてもらった感じです。個人で勉強するよりも店にいた方が色んな情報が入って来ますし、古美術品に触れる機会も増えますから」
「なるほど。保科くん、古美術品好きだもんね」

 神島古物商店はブランドバックや貴金属などの買取りから、骨董品、茶器や絵画などの古美術品の買取りまで幅広く行っている。が、古美術品の鑑定については本当に様々な知識が必要で、私も勉強はしているが、まだまだまともな鑑定はできない。

「古美術品が好きになったきっかけってあるの? 若い人にしたら珍しい趣味だよね」

 うちの店でも古美術品が売られてくるが、若い人は少ない。たまに若い人が来ても、遺品整理などで親や祖父母が集めていたものを持ってくるのがほとんどだ。どうして保科くんが古美術品に興味を持ったのか気になって尋ねてみると、彼は記憶をたどるようにうーんと唸った。

「うちは両親が仕事人間で、幼い頃は長期の休みになると田舎にある母方の祖父母の家に預けられていたんです。で、その祖父が骨董趣味な人だったんですよね」
「そこには、色んな骨董品があった?」
「ありましたね。ただ、祖父は目利きとはかからっきしで。価値のない品物も自分が気に入ったって理由で大事に飾る人だったんです。それこそ、有名作品の贋作でも。それが贋作だって知っているのに、気にせずに飾って大事にするんです」

 それはまた珍しい。多くの人はいくら大事にしていた品物でも、それが贋作だと知れば落ち込むものだ。鑑定後に贋作だと知って、処分を申し出る人も少なくない。

「あるとき祖父の家を訪れた人が、影で笑っているのを聞いたんです。あの爺さんは、偽物の壺を後生大事に飾っているって。幼かった俺は祖父が馬鹿にされているのが許せなくて、祖父の目を盗んでその壺を割りました」
「それは……怒られた?」
「怒られましたね。価値のない偽物だから良いじゃないかって俺は反論したんですが、何に価値があって何に価値がないかは俺が決めると、それはもうすごい剣幕で」

 叱られた話だというのに、保科くんは楽しそうに笑っている。きっと、保科くんはお爺さんのことが好きだったのだろう。声色にお爺さんへの親愛の色があらわれていた。

「その壺は祖父の友人が騙されて購入してしまったもので、だけど祖父はその友人を助けるために、これはいい壺だ、是非譲って欲しいといって買い取ったそうです。その友人はこれは偽物だからと売るのを渋ったそうですが、俺の目には本物よりもいい品に見える。俺にとってはこっちの方が価値ある壺だと、無理に買い取ったんだとか」

 その話から、保科くんのお爺さんの人柄が見えてくるようだった。友人思いで、それで、少し頑固な人だったんだろう。

「友人の気が重くならないようにか、それとも本当に気に入っていたのか、祖父はその壺を玄関の一番いい場所に飾ったんですよ。馬鹿みたいですよね」
「優しいお爺さんだったんだね」
「優しさが分かりにくい、頑固な祖父でしたよ。だけど、その件がきっかけで俺は古美術品に興味を持ったんです」

 保科くんはそう言うと、部屋の中にある飾り棚に視線を送った。その中には、美しい焼き物が何点か飾られている。窯元がどこだとか、どういう由来の品なのか保科くんに聞けば分かるのだろうが、私にはぱっとみただけで判別はつかない。

「古美術品には、もちろん美術品としての価値があります。いつ頃の品だとか、作者は誰だとか、どういう技法が使われているとか。世間にどれだけ評価されるかを決めるのが鑑定です。だけどそれとは別に、それを作った人間や持ち主の特別な思いとかがあって、そういった物語を想像するのがたまらなく面白いと思ったんです」
「そうだね。いくらお金になっても、思い出の品だから絶対に売らないって人もいるし、逆に無価値なものであっても大切にしている人もいる」

 私たちは鑑定をして品物の値段を決めるけれど、その値段は結局、買い手があってこそなのだ。どんな質の良い宝石でも、欲しいと思う人がいなければ安くなるし、粗雑な品でも高額を出していいという人がいれば高くなる。
 品物の価値は時代やニーズによって変わっていく。絶対的な指標なんてない。

「何に価値があって何に価値がないかは俺が決める、か。良い言葉だね」
「同じ骨董趣味でも、人によって欲しいと思うものは別ですからね。前に、オカルト趣味が転じてこの職についたって言ったじゃないですか。俺はそういう曰くのついた品が特に好きで……実をいうとあの簪も、クライアントが許可をくれたら、個人的に買い取れないかなって思っています」

 保科くんの言葉に、私はちょっとぎょっとした。

「呪われた簪だよ?」
「そうですね。だけどあの簪には、顕正さんが民さんを好きだったという気持ちが詰まっています。悪いものではないですよ」
「いや、でも、現に迷惑を被っているじゃない」
「先輩の近くにいなきゃいけないっていうのは、俺にとっては迷惑でもなんでもないですよ。むしろ、こうして先輩に近づくきっかけを与えてくれたことに感謝したいくらいです」

 保科くんは綺麗にお皿を空っぽにすると、箸を置いてご馳走様と手を合わせた。そのまま食器を持って立ち上がろうとしたので、私はまったをかける。

「あ、片づけは私がやるよ。ご馳走様。美味しい夕食をありがとう」
「ありがとうございます。じゃあ、俺、風呂沸かしておきます」

 そういって脱衣所に消えていく保科くんを見送って、私は食器を片付ける。スポンジに洗剤を垂らして油汚れを落としていると、保科くんが戻ってきた。リビングでゆっくりしていればいいのに、保科くんはなぜかダイニングテーブルに座って、にこにこと嬉しそうに私を見つめる。

「なんか、こうしてると新婚みたいですよね」
「んっ、ごほん。保科くん、そういうこと言わない」
「良いじゃないですか。結婚式も挙げる仲なんですから」

 本当に、こういう口説くような言葉をさらりと言ってくるから困る。
 私は赤くなる顔を隠すようにうつむいて、油汚れをごしごしと擦った。

「ねぇ、先輩。そろそろ俺に絆されてくれました?」
「言ったでしょ。保科くんが呪われている限り、絆される予定はありません」
「でもそれって、呪いが解けたら絆されてもいいってことですよね?」

 私は返事ができなかった。無言は肯定と変わらない。それでも、決定的な言葉を口にすることはせずに洗った食器を乾燥機に入れていく。

「先輩、本当に可愛いですね。否定しないなら、都合の良い風に解釈しますよ?」
「好きにすればいいよ」
「好きにしていいんですか?」

 保科くんは嬉しそうに言って立ち上がり、キッチンへとやってきて私の真後ろに立つ。

「先輩、好きです。俺の彼女になってください」

 ぎゅっと後ろから私を抱きしめて、保科くんは耳元で甘く囁く。

「保科くん、作業できない」
「もう後で良いですよ。片づけより、俺に構ってください」

 保科くんは後ろから私のうなじに軽く口づけを落とす。こんなことをされては、片付けどころではない。

「先輩、耳真っ赤ですよ。昨夜のこと、思い出しました?」
「ほ~し~な~く~ん!! そういうことを気軽にしないの!」

 私は恨みがましい声をあげたが、保科くんは私を抱きしめたまま離れようとしない。

「先輩。抵抗したいならもっと本気で抵抗してくれないと。俺、止まりませんよ?」
「あっ、こらっ!」

 保科くんの手がシャツの裾から入り込み、私のお腹のあたりを撫でる。

「抵抗したって止まってくれないじゃないの!」
「だって、先輩、本気で嫌がっているように見えないんです。俺のこと、嫌いじゃないですよね?」
「そりゃあ、嫌いではないけど」
「じゃあ、好き?」

 抱きしめながら問いかけられて、返事を返すことが出来ない。
 本当はもう分かっている。私は、保科くんに惹かれている。それでも決定的なことばを口にできないのは、怖いからだ。

「俺は先輩が好きですよ。愛しています」

 愛を囁かれて胸のあたりが苦しくなる。嬉しいのに、それと同じだけ不安になる。
 私は保科くんを押し返して、距離をとると首を左右に振った。

「……呪われてるくせに。その気持ちのどこまでが呪いかも分かんないのに、気軽に言わないでよ」
「確かに俺は呪われています。だけど、他の人じゃなくて先輩相手にこの呪いがかかったのは、俺がもともと先輩を意識していたからですよ」
「偶然私がその場にいたからかもしれないじゃない」
「違いますよ。相手が先輩じゃなかったら、こんな気持ちになっていません」
「信用できない」

 私がぴしゃりと言うと、保科くんは小さく息を吐いて悲しそうに目を伏せた。
 その傷ついたような顔をみて、私の胸がズキリと痛くなる。

「すみません、ちょっと気持ちが急き過ぎました。呪われてる俺の言葉なんか、信用できなくて当然ですよね」
「あ……」

 何か言わなくてはと思うのに、上手く口から言葉が出ない。私がなにも言えずにいると、保科くんはくるりと身を翻して私に背を向けた。

「ちょっと頭を冷やしたいので、先にお風呂入って来ます。洗い物、お願いします」

 保科くんはそう言い残すと、脱衣所へと消えていった。私は身動きひとつ取れずに閉じた脱衣所の扉を見つめていたが、ぴちょんと蛇口から水滴が落ちる音で我に返る。

 保科くんを傷つけてしまった。

 自己嫌悪が湧き上がる。それを誤魔化すように私はスポンジを掴んで、汚れのついた皿をごしごしこすった。お皿はどんどん綺麗になるけれど、私の心は一向に晴れない。

 だって、他にどうすれば良いのか。
 私は保科くんを好きになるのが怖いのだ。もし好きになって、それなのに呪いが解けて私のことなんて好きじゃないって言われるのが怖い。できれば呪いが解けて、そうじゃないって安心を得てから恋がしたい。
 そう思うのは卑怯なのだろうか。

 食器を全部乾燥機に突っ込んで脱衣所へと目をやると、やけに長いシャワーの音が聞こえた。落ち着かない気持ちでソファーに座って保科くんが戻ってくるのを待つ。妙に喉が渇く気がした。

 お腹の中でどろどろと渦巻くズルイ気持ちを抱えながらじっとしていると、脱衣所のドアが空いて保科くんが出てきた。彼は私を見つけると、いつもと同じような笑顔を浮かべる。

「先にお風呂いただきました。先輩もどうぞ」

 いつもの保科くんだ。

 保科くんの笑顔をみてほっと安心して、安心してしまった自分が嫌になる。私は何一つ彼の気持ちに答えていないのに、保科くんに嫌われるのが怖いのだ。

「ありがとう。私もシャワー借りるね」

 頭を冷やしたいのは私も同じだ。私は持ってきた着替えを抱えると、逃げるように脱衣所へと入って行った。


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