恋の始め方間違えました。
77
「真壁さんまで!」
「でも、織部は益子になら本音で話すだろ?」
「ほら、猫被ってんのバレてんぞ」
「うっさいなー」
「いずれ俺に飽きてフラッと浮気されるならいっそ共有しとくべきかな」
なんかとんでもないこと言い出した。
「真壁さん。お気を確かに。俺今さら再就職先探すのなんか真っ平です。むしろ働きたくないんで嫁にしてもらっていいっすか」
「バツが増えたら考える」
「考えるのかよ!! 考えなくていいよ!!」
と、益子ですらボケ倒すのを諦めた。
「冗談はこれくらいにして。飯でも行くか?」
「いや、さすがに俺、ムラムラしてるカップルのダシにされたくないんで帰ります」
「もうがっつくほどそんなに若くないんだが」
「飯食って満腹になると性欲薄れるらしいですよ。な? 織部」
「いきなり振らないでよ。でも、なんか焼肉食べたくなってきたんですが」
と真壁さんにお伺いする。
「焼肉か。いいな」
「せっかくだし三人で行こうよ」
「いや、だから、俺は……」
と、渋る益子の腕を取る。もちろん真壁さんの腕も。
「スーツの色男両手に侍らせて贅沢の極みだわ」
「成金マダムか、お前は」
益子が呆れていう。
「まあ、いいじゃないか。金なら出すぞ」
「あざーっす。ごちになりまーす。織部、どこにする? やっぱ紅蘭? 俺の最近のオススメは大燦園」
「えー。どこそれ、知らない」
「大きな声じゃ言えないけど。幻のレバ刺しが」
「真壁さん!」
「いいよ。織部が行きたいならどこでも」
「レバ刺しー!」
「声がでかい。つーか、焼く前提で出てくるからな。自己責任だぞ」
「うん。大丈夫。承諾した」
「食い意地で死ぬタイプ」
「益子は? 過労死?」
「腹上死という名のな」
「俺もそれがいい」
「真壁さんの場合、遺された織部が大変じゃないっすか。事情聴取とかプレイ内容語らせられたり」
「そんなのやだー!」
「確かにそれは死ねないな」
「俺が刑事ならニヤニヤしながら聴くわー」
表通りに出て、タクシーを拾う。真壁さんと私が後部座席に乗り、益子が助手席のドアを開けて、運転手に私のアパートがある地名を告げた。
「じゃ、末永くお幸せに。」
そう言うとドアを閉めた。
「さすがだ」
真壁さんはそういって笑いながら、益子に手を挙げて見せた。タクシーが発進する。
「ずるいヤツ」
「いい男だ。よく惚れなかったな、織部」
「私と話すとき、いい男感ゼロですよ」
「え。じゃあ、俺だけあいつがいい男に見えるのか?」
「もしかして、ここにきて私に恋のライバル出現ですか?」
「だったら戦ってくれるか?」
「真壁さんが心変わりしたなら私が戦っても無意味じゃないですか?」
「馬鹿。変わるわけないだろ」
「よかった。あ、真壁さん。着替えなら明日のスーツまで心配いりませんからね」
「明日は俺も休みなんだよ」
「真壁さんにも休みという概念がおありでしたのね!」
「日曜日はゴルフで、月曜日から三日間出張で台湾なんだ。一緒に行くか?」
「パスポートの期限が切れているのでいけません。それに、新しく見つけた仕事の勉強もあるので」
「そうか。どんな仕事を見つけたんだ?」
「アロマオイルを使ったリンパドレナージュです。女性専用のサロンで勉強させてもらってるんです。平たくいうと、オイルマッサージです」
「そうか。ホステスより向いてそうだな。将来的には独立したいのか?」
「そうですね。一人でも生きていけるように手に職をつけようと思ったので」
「中央区と駅前と城西区に三つマンションを持ってる。織部が店を出せるようになる頃にはどこか空室がでるかもしれない。あるいはサロン併設の家を建ててもいい。そしたら子供がいても続けられるだろう?」
提案が想像を突き抜けて斜め上空だから返答に詰まる。
「でも、織部は益子になら本音で話すだろ?」
「ほら、猫被ってんのバレてんぞ」
「うっさいなー」
「いずれ俺に飽きてフラッと浮気されるならいっそ共有しとくべきかな」
なんかとんでもないこと言い出した。
「真壁さん。お気を確かに。俺今さら再就職先探すのなんか真っ平です。むしろ働きたくないんで嫁にしてもらっていいっすか」
「バツが増えたら考える」
「考えるのかよ!! 考えなくていいよ!!」
と、益子ですらボケ倒すのを諦めた。
「冗談はこれくらいにして。飯でも行くか?」
「いや、さすがに俺、ムラムラしてるカップルのダシにされたくないんで帰ります」
「もうがっつくほどそんなに若くないんだが」
「飯食って満腹になると性欲薄れるらしいですよ。な? 織部」
「いきなり振らないでよ。でも、なんか焼肉食べたくなってきたんですが」
と真壁さんにお伺いする。
「焼肉か。いいな」
「せっかくだし三人で行こうよ」
「いや、だから、俺は……」
と、渋る益子の腕を取る。もちろん真壁さんの腕も。
「スーツの色男両手に侍らせて贅沢の極みだわ」
「成金マダムか、お前は」
益子が呆れていう。
「まあ、いいじゃないか。金なら出すぞ」
「あざーっす。ごちになりまーす。織部、どこにする? やっぱ紅蘭? 俺の最近のオススメは大燦園」
「えー。どこそれ、知らない」
「大きな声じゃ言えないけど。幻のレバ刺しが」
「真壁さん!」
「いいよ。織部が行きたいならどこでも」
「レバ刺しー!」
「声がでかい。つーか、焼く前提で出てくるからな。自己責任だぞ」
「うん。大丈夫。承諾した」
「食い意地で死ぬタイプ」
「益子は? 過労死?」
「腹上死という名のな」
「俺もそれがいい」
「真壁さんの場合、遺された織部が大変じゃないっすか。事情聴取とかプレイ内容語らせられたり」
「そんなのやだー!」
「確かにそれは死ねないな」
「俺が刑事ならニヤニヤしながら聴くわー」
表通りに出て、タクシーを拾う。真壁さんと私が後部座席に乗り、益子が助手席のドアを開けて、運転手に私のアパートがある地名を告げた。
「じゃ、末永くお幸せに。」
そう言うとドアを閉めた。
「さすがだ」
真壁さんはそういって笑いながら、益子に手を挙げて見せた。タクシーが発進する。
「ずるいヤツ」
「いい男だ。よく惚れなかったな、織部」
「私と話すとき、いい男感ゼロですよ」
「え。じゃあ、俺だけあいつがいい男に見えるのか?」
「もしかして、ここにきて私に恋のライバル出現ですか?」
「だったら戦ってくれるか?」
「真壁さんが心変わりしたなら私が戦っても無意味じゃないですか?」
「馬鹿。変わるわけないだろ」
「よかった。あ、真壁さん。着替えなら明日のスーツまで心配いりませんからね」
「明日は俺も休みなんだよ」
「真壁さんにも休みという概念がおありでしたのね!」
「日曜日はゴルフで、月曜日から三日間出張で台湾なんだ。一緒に行くか?」
「パスポートの期限が切れているのでいけません。それに、新しく見つけた仕事の勉強もあるので」
「そうか。どんな仕事を見つけたんだ?」
「アロマオイルを使ったリンパドレナージュです。女性専用のサロンで勉強させてもらってるんです。平たくいうと、オイルマッサージです」
「そうか。ホステスより向いてそうだな。将来的には独立したいのか?」
「そうですね。一人でも生きていけるように手に職をつけようと思ったので」
「中央区と駅前と城西区に三つマンションを持ってる。織部が店を出せるようになる頃にはどこか空室がでるかもしれない。あるいはサロン併設の家を建ててもいい。そしたら子供がいても続けられるだろう?」
提案が想像を突き抜けて斜め上空だから返答に詰まる。
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