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恋の始め方間違えました。

森野きの子

74

「凛花さん超テキトー!」

「そうかな?」

「怒んないの?」

「怒れる立場にないの」

「えー。マジで?」

「いや、本当に。私も大概最低だから。真くんとなんとなくいい感じになっときながら、ずっと好きだった人が現れてコロッといっちゃったんだもん」

「ずっと好きだったんでしょ。仕方なくない?」

「そんなもん?」

「頭かたすぎ。いいほう選んでいって何が悪いの?」

「そうかなぁ?」

「女が男とっかえひっかえして選ぶの悪いとか思う人? うちのママみたい。変だよ、そんなん。買い物だってなんだって比較していいほう選ぶじゃん」

「そうじゃないけど……」

 というより、買い物と恋人選びは違うと思うけれど、頭固いのかな。

「てゆーか、今日、シャンパンおじさんとパーマの人来る?」

「わかんない」

「来たらアタシもテーブルつきたい。ヘルプするし」

「シャンパンおじさんは渡せませんから」

「シャンパンおじさんのが来ないと思う。パーマの人ならいい?」

「あれスパルタだよ? あ、若くて可愛い娘には優しいかも」

「そっかー。来てほしいー。」

 どうだろう。たぶん、きっと来てくれそうな気がする。真くんはどうだろう。来たら、どんな顔しよう。真壁さんと真くんともしかしたら、益子も? あれ。これ修羅場になりそう? どうだろう。どうなるのかな。想像ができない。

「そーいや、凛花さん。まこちん、俳優なんだって知ってた?」

「知らない」

「なんかあんまよくわかんないけど、劇団? とかの、俳優なんだって」

「そうなんだ」

「いちおー、テレビとかも出てるって聞いたけど、ほとんど映ってない系。でも、結愛は超ハマってるんだよ。まこちん、色んな女にちょっかい出すけど、それでも結愛が最後の女になるって言い張ってる」

「いじらしいね」

「いじらしー?」

「可愛いなあと」

「本気で? 結愛にめっちゃババアとか言われてたのに?」

「それとこれとは別だよ」

 ユカリちゃんは指名が入ったのでお店に出た。

 これ、真壁さんがいなかったら、私、すごい惨めな女だったな。見たら拝んどこうかな。

「凛花、指名。24番テーブル」

 不意にマネージャーから呼ばれて、心臓が跳ねた。誰だろう。髪の毛を束ねて上げ、ピンを刺しまくってまとめる。

 もう一度鏡で顔を確かめる。口紅のよれは直せても、意外と頬の赤みは残っている。でも、まあ、私を指名する人ならそんなこと気にしないだろう。

 ドキドキする。誰かな。誰かな。重い遮光カーテンをくぐる。奥のボックス席へ歩く。

「こんばんは」

 高い背もたれのソファ席に座っていたのは。

「通報するか?」

 どこか不敵な笑みを浮かべた我が麗しの帝王様。

「え。なにしたんすか、真壁さん」

 その向こうからひょいと顔をのぞかせたのは、ご存知モテパーマの営業部長殿。

「しませんよ。常務と営業部長さんがお揃いで、接待のご予定はなかったんですか?」

「自分の都合で断れる立場になったんでね」

「せっかくのラストに閑古鳥が鳴いてたなんて目もあてらんねーだろ」

「お気遣い痛み入りますー」

 ついでに真壁さん拝んどこう。

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