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恋の始め方間違えました。

森野きの子

58

「潮時だろ。凛花さんも」

「そうかもしれないですね」

「なんで俺とお前が離れなくちゃならないんだ?」

「私、一昨日、真くんと約束したんです。彼、ちょっと今トラブルが起きて参ってて、一人になりたくないって言ったんです。だから、そのトラブルが解決するまで、手助けしようと決めたんです。私の女としての心と体は真壁さんに捧げたので、それ以外を使います。心配しないで下さいね」

「心配しないでいられる要素がどこにも見当たらない」

「でも、私、どうしても、ここで貴方と終わらせて、真くんの手助けをしたら、彼とも終わらせたいんです」

「それから、どうするんだ?」

「どうもしません。仕事をしながら生きていきます」

「わかった。今回の件、俺は引こう。だから、お前も俺の提案を飲め。これを受け取って店を辞めろ。どうしても困った時には、必ず俺に連絡すること。いいな?」

「はい。ありがとうございます。心強いです」

 真壁さんはやれやれと言わんばかりにため息をつく。

 そして、私の顎を掴むと食むような口づけをくれた。
 唇を離すと、彼は物憂げに私を見つめる。そして、少し、睫毛を伏せた。一連の流れの艶っぽさに見惚れる。

「ごめんなさい。呆けてしまって。朝ごはん作りますね」

「遠慮するよ。ごっこ遊びはもうたくさんだ」

 私が傷つくのはお門違いも甚だしい。わかっていながら、胸の中に痛みが走る。涙がこみ上げてきて溢さないように堪えようとしたけれど、できなかった。

「すみません」

 私は彼から離れてベッドの側にあったティッシュを引き抜き、急いで目頭を拭った。

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