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恋の始め方間違えました。

森野きの子

34

「馬鹿にしてるんですか? それともからかっただけ?」
「お前がさっき触りたいなら触らせてやるって言ったんじゃないか」
「こんないかがわしいことする人、いませんでしたけど!」
「凛花ちゃんは俺を喜ばせるのが上手いな」
「よくもまあ、ぬけぬけとおっしゃいますね!」
「まだ上がりの時間までだいぶあるんだろ」
 私の憤りをさらりとかわす。
「ええ。まだ時間はありますよ。まだお触りになりたいんですか?」
 棘をたっぷり含ませて、真壁さんを睨む。
「そうしたいところだがな。連れ出してやるよ。送っていくから、店長に言ってこい」
「はい?」
 どういうつもりなのか全くわからない。さっきまで熱く濡れた箇所は冷えきった。
「幸せになれそうか?」
 ひそめた声とまっすぐな眼差しに射ぬかれる。
「……っ」
「なってもらわないと困るんだよ。それとも、俺が口説いていいのか? 若さには到底敵わないがチャンスにはありつけるか?」
 チャンス? 隙だらけだと笑っているくせに。この人の思い通りになってしまう自分が情けない。
「さ、用意しろ。彼氏が待ってるんだろ」
 真壁さんに促され席を立った。悔しさを噛みしめて、一旦飲み込む。店長にアフターが入ったと告げると、他の女の子たちに色恋上手とからかわれた。散々私を馬鹿にしているマネージャーは面白くなさそうにそっぽを向いたが、上機嫌な店長はすんなり早退を許してくれた。

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