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恋の始め方間違えました。

森野きの子

 よりによって真壁さんの前で泣くとかないなぁ。でも止まらなかった。不安が一気に吹っ飛んで、ブツンと切れた。
 ああ、やっぱり真壁さんが好きだ。信頼も尊敬もしてるし、異性としても最高すぎる。二年前のアレ以来、女性不信らしくて仕事ありゃいいやとか言ってるから、私も仕事を通して真壁さんの一番近くにいられたらいい。そして三十五歳になったらマンション買うんだ。周りの結婚は?攻撃が辛いけど、言わばシスターみたいなもんよ。
 でも、きっとシスターは神様に欲情なんかしない。
 化粧を直しながら、両足の間の疼きに意識がいく。
 生理近いかな。もう一ヶ月は遅れてる。真夏になかったのは楽だったけど、身体にいいはずがない。有給休暇取ってないしそろそろ消化しようかな。連休が取れたら母親と温泉でのんびりしようかな、と思いついて落胆した。二十七にもなってナチュラルに母親と温泉旅行が思いつくなんて。就職して上司に片想いしていたら恋人がいないのが当たり前になっていた。
 恋人と温泉旅行とかいいなぁ。家族風呂がある旅館に篭りたい。
 うっかり浴衣姿の真壁さんを思い浮かべたら、軽く興奮した。我に返り手早く化粧直しを済ませて戻ると、真壁さんは電話中だった。テーブルには料理が運ばれていた。先に食べるようにジェスチャーで促されたので、お言葉に甘えて軽く頭を下げ、無言で手を合わせた。


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