S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い。お前たちは、俺たちの属国として面倒を見てやるよ

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

136話 竜化

「好き勝手暴れるだけなら楽なのだがな。竜化して人に見られると、なかなか厄介で――ん?」

 そこで俺は気付いた。
 ここが地下であることを。
 竜化したところで、人に見られなければ特に問題はないではないか。

「よし。久しぶりにやってやる。【竜化】!」

 俺は意識を集中させる。
 体内の魔力を練り上げ、全身へと流し込んでいく。
 同時に、俺の身体はメキメキと音を立てながら巨大化していった。
 さらに、俺は手足を曲げて屈み込む。
 そして、力を溜め込んだのち一気に解き放つ。

 ズゴォォンッ!!!
 ドガァァッ!!
 周囲の壁の一部を粉砕しながら、現れた俺の姿は――

「グオォォォォオオオン!!」

 大きな赤い竜だった。
 大きいとは言っても、以前の姿ほどではないが。
 S級スキル竜化の習熟度が上がり、サイズもある程度調整できるようになっているのだ。
 今の俺は、体長3メートルといったところか。
 この地下の空間を何とか動き回れるぐらいのサイズ感である。

「グオオォォッ!!!」

 ドラゴン形態になった俺は、地下の扉を粉々に破壊した。
 やはり、竜化状態ならこんな扉なんぞ大した障害ではないな。
 ブレスを吐くまでもない。
 何気ない腕の一振りで十分だ。

(さぁて……。違法奴隷商どもはどこに隠れているのかな?)

 俺は扉の先に進み、周囲をキョロキョロと見回す。
 そこにはそれなりに広い部屋が広がっていた。

「な、なんだこのドラゴンっ!?」

「うわあああぁっ!」

 そこにいた男たちが悲鳴を上げた。
 そいつらは俺から逃げるようにして、部屋の奥にある扉へ向かう。
 あの先に何かあるのだろうか?
 まぁ、逃しはしないがな。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品