S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い。お前たちは、俺たちの属国として面倒を見てやるよ

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

128話 魔力探知波

「ふふふ。無事に、この家の1階と2階だけを全焼させることに成功したな。さすがは俺だ」

 俺は満足げな顔で呟く。
 この家は、3層構成だ。
 2階、1階、地下1階である。

 2階に人がいないのは、俺の気配察知能力で確認済み。
 1階には4人の気配があったが、先ほど目視で確認した通り、しょうもないチンピラどもだった。
 殺しても問題ない。
 せっかくなので、俺の火魔法で1階と2階部分をまとめて灰にしてやったのだ。

「これで残るは、地下の取り調べだな。少しは楽しめるかな?」

 俺の気配察知能力によれば、地下には数人の男と、弱りきった女性の気配がある。
 おそらくは、奴隷相当の身分に堕ちた女性を男たちが嬲っているのだろう。
 いろいろな意味で、退屈しないで済みそうだ。

「さぁて、地下室への入り口は……あれか」

 それはすぐに見つかった。
 元々は隠し扉でも付いていたのだろうが、今や1階部分は焼失している。
 地下への入り口など、隠せるものではない。
 俺がそこに足を踏み入れようとしたときだった。

「――むっ?」

 俺は咄嵯に足を引っ込める。
 一瞬前まで俺の足首があったところを、何かが通過していった。
 俺はそのまま、大きく飛び退く。

「ちっ! 勘がいいじゃねぇか」

「今のは……短剣か? いや、暗器といったところか」

 俺は周囲を見回す。
 誰もいない。
 だが、確実に誰かがいる。
 俺は魔力を練り上げ、その方向に向けて解き放つ。

「【魔力探知波】!!」

 俺の放った魔力の波動が周囲を駆け巡り、索敵する。
 すると、建物の陰から小さな反応が返ってきた。

「ほぅ。そこにいたようだな」

「ちっ! このクソガキめ!」

 姿を現したのは、身長160センチくらいの痩身の男だ。
 年齢は30歳くらいか。
 ボサボサの黒髪に、不健康そうな青い肌。
 瞳には生気が感じられない。
 ボロキレのような服に、錆び付いたナイフを持っていた。

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