S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い。お前たちは、俺たちの属国として面倒を見てやるよ

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

121話 尋問

 スラムに潜む違法奴隷商。
 その重要拠点の1つに俺は突撃し、中にいた4人の男を蹴散らした。
 俺は1人に近づくと、胸ぐらを掴み上げる。

「ほら。起きろ」

「ぐっ……」

 頬を引っ叩く。
 男は薄らと瞳を開いた。
 まだ状況を理解していないらしい。

「な、なんなんだ……お前は……?」

「違法奴隷商の摘発に来た冒険者だよ。持っている情報を洗いざらい吐いてもらおうか」

「ふ、ふざけるなっ! 誰が貴様のような冒険者に――ゴブッ!?」

 腹パン。
 俺は容赦なく拳を突き入れる。

「もう一度聞く。情報はあるのか?」

「……あ、ああ。……お、教える。だから、もう許してくれ」

「最初から素直に話せばいいものを。手間をかけさせるな」

「ひいっ!」

 再び殴られそうになったので、さすがの男も怯える。
 俺はため息をつくと、質問を始めた。

「それで? 違法奴隷商の元締めの場所とか分かるか?」

「そ、それは分からねぇ」

「はぁ? 分からんで済むと思っているのか?」

「ひぃっ!? ま、待ってくれ! ここと同じような拠点ならいくつか知っている。順に潰していけば、あるいは……」

「ふむ」

 まぁ、こんな末端構成員が全ての情報を知っているわけもないか。
 いくつか拠点を潰していって、幹部と出くわしたらラッキーぐらいの感覚で進めるか。

「おっと、念のため、他の奴にも聞いておくか。お前はもういいぞ」

「えっ! も、もういいのか?」

「ああ。ゆっくり休め」

 俺はそう言って、男の首を持ち上げた。
 そして、そのまま外に投げ捨てる。

「ぎゃあぁぁ!」

 頭を地面に打ちつけて気絶する。
 俺はそれを一顧だにせず、次の男に向かった。

「お、俺はあいつ以上の情報なんて持ってねぇぞ」

「かもしれんな」

 見た感じ、さっきの男と同格ぐらいだ。
 おそらくはコイツも下っ端構成員だろう。

「だ、だったら……」

「しかしな。念のためという言葉がある。体に聞いてみれば、新しい情報が出てくるかもしれん」

 俺はそう言って拳を構える。
 さっきの男と同じように、腹パンでいいか?
 だが、同じような痛めつけ方では、出てくる情報も同じになるかもしれん。

 ここは趣向を変えてみよう。
 俺は拳を引っ込め、左右の手で男の左右の足をそれぞれ掴む。
 そして、その手を上に上げた。

「うっ! な、何をする気だ!!」

 男は逆さ吊りになった。

「悪いな。ちょっと痛い思いをしてもらうぞ」

「や、やめろぉぉ!」

 俺は宣言通りに動き出す。
 だが、俺の拳や足で直接攻撃するわけじゃない。

「ががっ! ガガガがが!! や、やめてくれぇ!!!」

 男が悲鳴を上げる。
 俺が何をしているのかと言えば、男の頭を小刻みに地面にぶつけるように動かしているのだ。
 拳や足で直接攻撃したら、うっかり殺してしまうリスクがあるからな。
 こうして間接的にダメージを与えれば、末永く苦しめられるというわけだ。

「や、やめて……お願い……」

「知っている情報を全て吐けばやめてやろう」

「もう全て吐いた。うあ……。あ、ああぁ……」

 やがて男は白目を剥いて意識を失った。
 最後まで吐かないとは、なかなかの精神力だな。
 まぁ、本当にこれ以上のことは知らなかったのかもしれないが。
 こうして、俺は情報を集めていったのだった。

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