S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い。お前たちは、俺たちの属国として面倒を見てやるよ

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

64話 豚の調教

 盗賊団の面々を捕縛し村に凱旋してから、数日が経過した。
 捕らえてきた盗賊団のメンバー20人ほどの内、半分ほどは既に公開処刑されている。
 村人たちの怨嗟の念も少し収まりつつある。

 そして残りの半分だが、何人かは引き続き時間をかけて処刑し、何人かは村の共有奴隷としてこき使うそうだ。
 それも1つの復讐だな。
 ま、それはいい。
 俺は俺で、進めるべき仕事を進めていこう。

「おい、外に出るぞ。早くしろ」

 俺はキーネとメスタにそう言いつつ、2人の尻を蹴り上げる。

「ぷぎっ!!」

「ぶもおおぉっ!」

 俺の仕事は、この2人の調教だ。
 あの日以降、こいつらには全裸に四つん這いのスタイルで生活させている。
 また、散歩の際には鼻フックも忘れない。
 ここ1週間で家畜のように扱われ続けた彼女たちの心は折れているのか、もはや特に反抗することもなかった。

 2人が四つん這いになり、そのまま俺についてくる。
 俺たち3人が向かった先は、村の中央広場だ。
 というか、特に目的地はないのだ。
 調教中の惨めな姿を村人たちに見せつけるのが目的だからな。

「ご主人様……。今日は何をされるのでしょうか……?」

 キーネがビクビクとした様子で尋ねてくる。

「はっ……。今さら何をされても、あたいは痛くも何ともないぜ……」

 メスタがそう虚勢を張る。
 何ともないと言う割には、元気がずいぶんとないようだが。
 完全に心を折るまで、もう一歩かな。

「そうだな……お前らは豚なんだから……とりあえず、村人の糞でも食わせてみるかな……」

「えっ!?」

「はぁっ? な、なんであたいがそんなことしないといけないんだよっ?」

 さすがに想定外だったのか、2人が狼狽している。
 まあ、糞を食わせるのはもう少し後の段階でもいいか。
 俺としても、糞を食うような汚らわしい奴といっしょに行動したくないし。
 調教の最終段階まで温存しておこう。

「冗談だ。だが、そうだな……」

 俺が何をしようかと考えつつ、2人のリードを引いて歩みを進めていく。
 そして、村の男たちと出くわした。
 こいつらは、かつてミルカを巡って俺にケンカを売ってきた奴らだな。
 俺の戦闘能力を見せつけ、盗賊団も無事に撃破してやった今は、反抗的な態度は見せない。

「おお……。ライルさん、精が出ますね」

「うむ。豚の躾をするというのは、なかなか大変だ。悪戦苦闘の毎日だよ」

 俺と男たちは、そう挨拶を済ませる。
 ふと足元に視線を向けると、メスタが適切な姿勢をとっていないことに気がついた。

「メスタッ! お前、何度言ったら分かるんだっ! 俺が足を止めている間は”待て”のポーズを取れって言ってんだろ! この豚がっ!」

 俺はそう怒鳴りつけつつ、メスタを蹴り上げる。

「ぶひぃっ!!」

 メスタは悲鳴を上げながら、その場に倒れ込む。

「すまんな、見苦しいものを見せて。こいつには学習能力がないんだ」

「なるほど……。ライルさんも苦労なされているようですね」

 男が感心した様子で、俺とメスタを見る。

「それに対して、こっちの豚は多少見どころがあるんだ。見てみろ」

 俺はそう言って、キーネを指差す。

「ほほう。これは見事な”待て”の姿勢ですな。ライルさんの調教の手腕は、大したものですよ。ははは!」

 男は上機嫌で笑う。
 キーネがとっている”待て”の姿勢は、人間の感覚で言えば無様な姿勢だ。
 全裸四つん這いの状態から、上体を起こして両手を上げるのだ。

 何も隠すことはないという意思表示として、足はM字に開く。
 当然、性器を手や服で隠すことなどできない。
 そのままの状態でじっとしているわけだ。

 人間なら恥ずかしくて到底できない格好である。
 キーネも最初は嫌々だったが、今ではすっかり慣れたようだ。
 メスタと違い、聞き分けがいい。
 調教の成果が出ている。

「あ、ありがとうございます。これもご主人様のおかげです……」

 キーネが笑顔でそう言う。
 うん、いい感じに感情が壊れているな。
 メスタも、いつまでも意地を張らずに壊れてしまった方が楽になるのに。

「ところで、お前たちはこれから何か用事でもあるのか?」

 俺は男たちの顔を見つめ、尋ねる。

「いえ、特に予定はありません。ただ、暇なので村の中を見て回っていただけでして……」

「そうか。じゃあ悪いが、ちょっとこのメスタを散歩させてくれないか?」

「よろしいのですか?」

「ああ。こいつは俺と少し相性が悪いのかもしれない。飼い主を変えれば、従順になる可能性もあるかと思ってな」

「そういうことでしたら……。任せてください」

 男はそう言って、俺からメスタのリードを受け取った。

「そいつは、いずれ村に譲渡してやろうと思っている家畜だ。必要だと思った躾は、自由にしてもらってもいいぞ」

「分かりました。……よし、いくぞ豚」

 男に従い、メスタが四つん這いのまま歩き出す。

「ぶひっ……ぶひっ……ぶっ……びっ……」

 メスタは時折変な声を出しながらも、広場の外を目指して進んでいく。
 俺とキーネはその様子を見守りつつ、滞在先の家に戻り始めたのだった。

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