S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い。お前たちは、俺たちの属国として面倒を見てやるよ

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

35話 ジョボボ

 俺とリリアは、空を飛んで目的地の村に向かっている。
 俺の背中には女性を乗せている。
 やがて、目的地が見えてきた。

「……あれか」

 上空からその光景を見て、呟く。
 そこは森に囲まれた村だった。
 規模は小さく、家々はボロでみすぼらしい。
 おそらくは貧しい農村なのだろう。

「村の手前に降りよう。そこから徒歩で近づくぞ」

「了解じゃ。ライルよ」

 俺とリリアは地上に降り、竜化状態を解く。

「はあ、はあ、はあ……」

 女が、俺の背中から降りると同時に、地面に倒れ伏した。
 どうやら体力の限界を迎えたようだ。

「情けないのう」

「うぅ……。だ、だって、こんなことって……」

 女が倒れ込んだままそう言う。

「そういえば、我らの秘密をこやつに見せても問題なかったのじゃろうか?」

 リリアがそう問う。

「問題ないさ。こいつに、秘密を口外しないように言っておけばいい」

「そやつは信頼できるのか?」

「ああ。決して口を滑らせたりしないだろう。……なあ? わかっているよな?」

 俺がそう問いかけると、女性はビクッと体を震わせた後、「はいぃ!」と答えた。

「それならいいのじゃが……。どうにも心配じゃの」

 リリアがなおもそう懸念を示す。

「まあいいじゃないか。どうしても信頼できそうになければ、口を封じる手段はいくらでもある」

 俺はチラリと女性の方を見る。

「ひっ! あ、ああ……」

 女性がよろけて尻もちをつく。
 そして、彼女の股間あたりからジョボボという音が聞こえた。

「あまりイジメてやるな。また漏らしておるようではないか」

「ふむ。さほど殺気を込めたつもりはなかったのだがな。漏らし癖がついているんじゃないか?」

 俺は少し呆れてしまう。

「うう……。でも、大丈夫です……。対策はしていたので……」

 女性がよろめきながら立ち上がる。

「……? 何かしていたのか?」

 そう言えば、対策をしているとか言っていたか。

「はい。今日、街を出る前に、それ用の下着をつけたのです。防水性に富んだものです」

「なるほどの。確かにそれは賢明な判断かもしれんの」

「それならいい。しかし、そのようや下着があったのだな。便利そうだ」

 まあ、俺が漏らすことはないが。

「ええ。一般的にはオムツと呼ばれていますね。最近、とある商会から販売が始まりました」

「ほう。それは興味深い。どれ、一度見せてもらえるか?」

 新製品は興味深いものだ。
 今の俺は王子ではないが、かつてはブリケード王国の次期国王として様々な教育を受けていた。
 市井に出回る斬新な新製品にも適度に触れてきた。
 ここは、ぜひ実物を確認しておくべきだろう。

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