S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い。お前たちは、俺たちの属国として面倒を見てやるよ

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

33話 盗賊団の討伐依頼

 冒険者ギルドの応接室でギルドマスターと面談をしているところだ。
 盗賊団の討伐依頼があるらしい。

「危険度と手間の割に報酬は微妙じゃが……。戦闘能力についてはライル君なら問題ないじゃろう。そして、こういった依頼を達成してくれれば、さらなるランクアップを検討できるようになる」

 冒険者のランクは、単純な戦闘能力だけで決まるものではない。
 様々な依頼を達成することによる貢献度や、集団を率いる統率能力なども加味されて判断される。
 高ランク冒険者というのは、戦闘だけが取り柄の単細胞には任せられない仕事なのである。

「わかった。それを受けよう」

「そう言ってくれると思っておったわい」

 ギルマスが満足気にそう言う。
 彼が机の上の資料を手に取り、こちらに提示する。

「では、これが資料だ。目を通してくれ」

 俺はざっとそれに目を通していく。
 ……と、そこで受付嬢が部屋に戻ってきた。

「ライルさんのCランク昇格の処理が完了しました。ギルドカードをお返し致しますね」

「うむ」

 俺は彼女からギルドカードを受け取る。

「さて。ギルドカードの更新は終わったし、盗賊団の情報ももらった。さっそく向かうか」

「そうじゃな」

 俺の言葉に、リリアがそう同意する。

「え? ライルさん、今から盗賊団の調査に向かわれるのですか!?」

 受付嬢が驚いている。

「ああ。正確に言えば、調査ではないがな。討伐及び捕縛だ」

「……ライルさん。さすがに今から向かわれるのは無謀では? もう夕方です。夜には魔物が活性化しますし……」

「ん? 俺にとって、夜など何も恐れることはない」

 S級スキル竜化の戦闘能力なら、魔物なんぞに遅れを取ることはない。
 それに、夜間の視界や気配察知能力にも優れているので、奇襲などで不覚を取る心配もないだろう。

「せめて明日にしてはどうじゃろうか? 道案内役として、儂の娘を付けよう。ランクアップで手間を取らせたせめてもの詫びじゃ」

 ギルマスがそう提案してくる。

「……娘? 無様にお漏らしをしたこの女のことだったな?」

「う、うぐぅ……。はいぃ……」

 女性が悔しげな声を上げる。

「足手まといは要らないのだがな……」

「ライル君。彼女はこう見えてもCランク相当の実力者じゃぞ? 隠密行動や索敵能力だけならBランク並じゃ。足手まといにはなるまい」

「ふむ。……まあ、いいだろう。せいぜい役に立ってくれよ?」

「わ、わかりましたぁ!」

 女性はそう返事をする。
 こうして俺たちは、盗賊団の討伐に向かうことになったのだった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品