【完結】ロリコンなせいで追放された魔術師、可愛い愛弟子をとって隣国で自由気ままに成りあがるスローライフ!

ノベルバユーザー542862

第111話 暗躍の軌跡


「まず聞きたいことは、お前はドトール・エフェクトという人物を知っているな?」

「えぇ、知っています」

「どんな関係だ?」

「狩人と獲物、ですかね」

「もっと詳しく」

「ワタシが狩人で、ドトール・エフェクトが獲物です」

くそ、簡潔に答えろとは言ったが、もうすこし情報を足して欲しい。

にしても、やはりと言うべきか、この悪魔は師匠のことを追っていたと見て間違いない。

師匠が殺されたのはコイツのせい……ん、となるとーー。

「イチゾウ、を知ってるのか?」

「はい、ワタシの魔導書を読んで、勝手に駒になってくれたあの老骨のことですね」

っ、こいつ……そうか、あの黒の眷属たちは、この悪魔の眷属、そして、イチゾウは悪魔の仕掛けた暗黒魔術に囚われ……操り人形パペットになっていたのか。

力に魅入られた弱気ではない。
あの暗黒魔術、その手綱のさきにいたのは悪魔であるなら、魔法の心得のないイチゾウにとうして抵抗できようか。

「どうして、イチゾウを使って師匠を殺させたんだ? そんなことをして、お前になんのメリットがある?」

「はは、結論から言いましょう、簡潔に。彼女のためと思いましたが。さしたるメリットは、ありませんでした。結果的に唯一動ける駒を失ってしまったのです。相討ちになるのなら、最初から追いはしませんでしたよ」

「なに……?」

「ふふ、それにしても、まさか、あの四属の魔術師に弟子がいるとは、思いませんでしたねぇ。それも、が連れてきたアナタがねぇ……これは一本取られました」

「お前、何を言って……」

「ああ、もうヴェールが晴れますよ、いいのですか? この大学にはがいるようなのてま、ワタシは立ち去らせていただきますよ? さぁ、ぼうっとしていたら時間はどんどん過ぎていく。これが最後の機会だというのに」

まくしたてる悪魔の言葉に、思考を乱される。

落ち着け、こいつは何かをカモフラージュしようとしている。

先ほどより、明らかに饒舌じょうぜつではないか。

こいつは俺に嘘をつけない。

ゆえに、語った真実の断片を悟らせないようにしてるんだ。

「もう時間ですね、最低顕現時間の約定がようやく、切れてくれます。やっかいな魔法陣で来てしまったものですね。どこの人間が作ったのやら……」

悪魔は矢継ぎ早に言葉を繋ぐと、指をパチンと鳴らした。

よく視界の通る湿った空気に、不思議と乾いた音が響いていく。

濡れた床に焼きつくように現れる、黒い光の魔法陣。

立ち去ろうとする悪魔へ、俺は考えた末、ひとつ言葉を投げかけた。

って……誰のことだ……名前を教えろ」

黒い魔法陣から、あふれ出てくる粘性の黒液に、沈みゆく悪魔は目を見張り……そして、おおきくため息をついた。

悪魔はわずかに俺の目を見つめると、ぼそっと口を開く。

「プラクティカ・パールトン。不老の魔術師」

……は?

「いやはや、言わされてしまった……これは本当に、でしょう」

悪魔は残念そうに首を振りながら、黒い魔法陣のかへと沈んでいく。

呆気にとられ、俺は、ただ悪魔が消えていくのをじっと見つめていた。

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