【完結】ロリコンなせいで追放された魔術師、可愛い愛弟子をとって隣国で自由気ままに成りあがるスローライフ!

ノベルバユーザー542862

第15話 古式転移魔法


レティスは俺のことを尊敬してくれている。
だが、まだ尊敬が……尊敬ポイントとでも言うべき加点が十分ではない。

数日にわたり、エゴスさんの企画した授業進行表にそって、魔術を教えてきて、そのなかで俺は何度とレトレシア魔術大学へいくことを薦めた。

だが、レティスはなかなか首を縦にふってはくれなかった。

ならばやはり、カリスマを見せて、魔術学院に行くように説得するだけの求心力を高めるしかない。

そのための魔物討伐だ。

パールトン邸に戻ってきた俺たち3人。

「サリィ、ここはなにー?」
「ここはエゴスさんに頼んで貸してもらっている、俺の工房だよ」
「ッ、サリィの魔術工房だぁー!」

綺麗に整理整頓のいきとどいた、あまり魔術師らしくない工房へ、アヤノとサリィをいれてあげる。

「まだなにも作ってないけど、うかつに触ると危ない素材はあるから、うろちょろしないようにしてくださいね、レティスお嬢様」
「はーい! あ、何これ面白そー!」

ーーバゴンッ

さっそく、試験段階の魔剤ーー摂取して魔力を補う飲料ーーが爆発した。

「ぅぅ、サリィ……っ」

涙目で見上げてくる、レティス。
いたずらしたお仕置きに、くんかくんかしたい。

それでプラマイゼロなはず。

いや、やはり俺の方が確実にマイナス値が大きくなるから、ダメっぽいか。

頭をなでるくらいにしておいて、お仕置きとする。

「これ、すごく綺麗ですね」

アヤノが天井から鎖で吊りさがる、一振りの短剣に目をつけた。

「勝手にさわっちゃダメですよ」
「っ、わかってますよ! 私は大人です!」
「まぁその短剣ならいいですけど」

ムッとして頬を膨らませるアヤノにペコペコしつつ、俺は工房の奥へ。

スクロールやら、魔鉱石やらを落としながら、大きな作業机を押してどける。

すると、床に大きく描かれた魔法陣が見えるようになった。

未完成のそれに、魔力素材から作った特別なチョークで最後の仕上げを施していく。
最後に行き先、『2839・クルクマ』と魔法陣をのなかに刻み込めば、準備は完了だ。

手をはたき、工房のなかに置いておいた中杖ちゅうじょうを手にとる。

「うわっ、またすごいことを……んっん。立派な魔法陣ですね、サラモンド先生。いったい何をされるんですか?」
「サリィ、これなにー?」

集まってきた2人の女性に魔法陣のなかへ入るよう指示をする。

「これは空間転移魔術をつかうための魔法陣です。これからレティスお嬢様と、アヤノさんには、クルクマの浸食樹海ドレッディナに行ってもらいます」
「え、ちょっと、情報量がおおすぎて内容が入ってこないーー」
「サリィは遠くから来たから、知らないのね、クルクマはとっても遠いい町なのよ!」

可愛らしく慌てるアヤノと、自慢げに肩をすくめるレティス。

華奢なおふたりの肩に手を置いて、俺はつま先で魔法陣のをたたいた。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品