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【未完結】異世界帰りした英雄はソシャゲ運営で最強ビジネスはじめます!

ノベルバユーザー542862

第8話 第二拾い人


ソシャゲを展開して、ガチャで儲けるとした場合、運営として、まず手をつけるべきはアプリ開発である。

異世界での経験をもとに、俺は究極の人材を、能力の移植でもって作りだせるから、わざわざスキルフルな人数を揃える必要はない。

とはいえ最低限、頭数はある程度は必要だ。

それに、アプリケーションの開発に必要なスキルや、知識などの能力を持っている奴らのもとへ赴いて、そいつらから能力を奪取してこなくてはいけない。

やる事は多い。

現在、日給2000円で雇ってる自称英雄フリーターには、能力を使ってのスクロールの情報化を練習してもらっている。これはとても大事な関門なので、ぜひとも集中してほしいから、今はあいつを労働力としては使えないだろう。

ゆえにもっと社員が必要だ。

「行ってきまーす。なにか困ったら連絡していいよ。机のうえに連絡先置いておいたから」

学校へ旅立つ娘へ、手を振って見おくる。
着こなした制服に身をつつむ、凛としたたたずまいの綾乃は、親としてこれ以上ないほど誇らしい。

にしても、

「俺も、ようやく綾乃さまに連絡する許可をいただけたか……ふふ」

ガチャの運営にはまだ少しかかりそうだが、親子関係はおおむね順調といえる。

俺としては、正直それだけでも充実を感じられるし、満足だ。

が、あくまで俺は凡百ぼんひゃくトンビ。
あの子は傑物けつぶつフェニックス。

俺は立派でカッコいい、冴えわたるビジネス戦略を打ちたてているダディでいるから、俺の娘、賢神綾乃かしこしんあやのとの冷めきった関係は改善されているのだ。

二度と父親としての威厳を失うわけにはいかない。
決して失敗はできないぞ、俺。


⌛︎⌛︎⌛︎


私服のまま、吉祥寺の街を朝からほっつき歩く。
なんの目的があるわけじゃない。
ただ、数学者のなんとかって人は思考に行き詰まったら散歩して頭のなかを整理していたとかいうから、それを真似してみてるだけである。

「た、たす、けて……!」

おや?

道端で倒れる人を発見。
ごく最近同じようなシチュエーションに遭遇した気がするが、今はそんなこと気にしてる場合ではない。

「どうしたんですか? もしやガチャで爆死して闇金に手をだして、業者に追われてるとかですか?」

「お、お腹、すいた……」

なるほど、さてはコイツも食い倒れのたぐいか。

「はぁ」

スッと腰をあげ、伸びをして立ちさるーーいや、待てよ。なんだか顔に見覚えがあったような気がする。

緑水色の髪と瞳、ただよう後輩属性。

「……まさかスズ? スズじゃないか」
「むむ、その声は廃課金界の大物……あれ、誰でしたっけ? いや、誰だかなんてこの際いいです、優しそうな人だったらオケ!」

彼女は砂漠で水にとびつくがごとく、倒れこむようにすがってきた。

傍若無人、スズは今では他人となったはずの俺に、この2週間で起こった自分の不運を涙ながらに脚色して伝えてきた。

結論からのべると、どうやらあの会社、とても重要度の高い仕事をしていた誰かが、いつの間にか消えていて、あえなく潰れてしまったらしい。

「そういうわけなの! なんだかあなたとは他人な気がしないし、お願い、私のことを養ってくださいー!」
「信じられない厚顔無恥こうがんむち、いや、別に助けないなんて言ってないから、そんな泣きそうな顔するなよ」

神は来ませり、ハレルヤハレルヤ。
輝かしいほどの破顔で今年25歳を迎えたOLが抱きついてくる。

最近は拾い人が多い思いながらも、彼女のもつスキルを考えたとき、俺に鈴鹿乃永すずかのえというかつての後輩を放っておく選択肢はなかったのだった。

恐るべし、幸運EXの力だ。
さっそく良質な社員を手に入れてしまったではないか。


⌛︎⌛︎⌛︎


スズに牛丼を奢り、異世界のお話を聞かせる。

「えーと、それじゃ、あなた重課金アキラさんは異世界から帰ってきた超能力者ってことですか? ちょっと創作が幼稚すぎて、これ食べたらお家に帰りたいんですけど」
「俺は正気だ。そんな目で見るんじゃないよ」

なかなか信じてくれないスズから、『牛丼を食べる能力』を一時的に奪取してみせる。

「あれ、牛丼ってどう食べるんでしたっけ?」
「さぁ、普通に食べればいいんじゃないかな」
「……」

沈黙し、難しい顔して必死に食べ方を思いだそうとするスズ。
しかし、なかなかレンゲが動かない。

「これでわかったか。スズは今、牛丼を食べることはできない、絶対に。なぜなら、その能力が失われているからだ」
「ぅぅ……返してくださいよ、私の牛丼スキル! お腹空いてるんですから、こんなの残酷です、非人道的です! 徹底抗議します!」

能力を返還するなり、スズはハッとして、牛丼をレンゲでひと口。食べられる事実と食べられなかった数秒が、彼女のなかで俺という存在の信憑性を肯定する。

「信じられないですよ、まさか本当に異世界帰りする人間がいたなんて、ていうか異世界に行ってる時点で驚きですけど、もぐもぐ」

「まぁ、そういうことだ。とりあえず俺は本物の転生者で帰還者で能力者なところまではオーケーだな。よし、そこまで把握してもらえたら、スズにやってもらう事はもう決まっている」

「そういえば、そのスズって呼び方なんだかいいですね! しっくり来ます! あ、ところでアキラさんってどんなビジネスしてるんですか? まさかその能力を使って、凄いことしようとしてます?」

「ふふ、これだから勘のいいガキは好みだよ。スズ、たしか君は同人サークルで活動しているね?」

「はぐぅあ!? ど、どうしてをそれを知ってるんですか!」

迫真の表情で、頬に米粒をつけたまま膠着する。

「いや、なに簡単なことだよ。君が、うちの隣のブースで売り子をしているのを見たんだ」

「うわ、なんて恥ずかしい現場を……って、あれ、アキラさん、それ自爆してません?」

「んっん……ともかく。スズ、君の同人サークルがやろうとしている、計画に一枚噛ませてほしいと言っているのだ!」

呼吸をはさみ、一拍おいてつづける。

「美少女擬人化した元素娘げんそむすめたちが活躍するキャラクターライトノベル、『めんでれーえふ・つんでれーえふ』のソーシャルゲーム化にね」

「!! まさか、その計画まで知っているとは……ッ! ふふ、どうやら話すしかないようですね」

スズは不敵に笑い、どんぶりを置くと、そっと手を合わせた。

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ドミトリ・メンデレーエフ(1834-1907)
ロシアの化学者であり、元素周期表を作成し、それまでに発見されていた元素を並べ周期的に性質を同じくした元素が現れることを確認し、発見されていなかった数々の元素の存在を予言したことで知られている。Wikipedia参照2020/1/11
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%9F%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%A8%E3%83%95

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