【未完結】魔弾の狙撃手〜怪物ハンターは漏れなく殺そうとした美少女たちに溺愛されていきます!〜

ノベルバユーザー542862

第2話 マラマタへ


月明かりに照らされる夜の森。
主人のいなくなった馬車を、かわりに御者となって走らせる。

馬車内の硬い床には、さきほど温情をあたえて命を救ったオオカミ少女、キナコ二世を横たえている。

御者台から背後の少女をうかがう。

「痛い、痛いよ……なんで、いつもならご飯食べれば治るのに……がぅ」

そう言うキナコ二世は、俺のトランクから数日分の携帯食料をもぐもぐと平らげたご様子。

「がう、ご主人、どうしてあたしの傷は治らないの?」
「魔銃で、この銀弾で撃ったからだ」

オド・スペンサーから、放たれる銀の弾丸による傷は、魔物・怪物にとって大きな脅威となる。

治癒霊薬を使ったからといって、そうそうに塞がるものではない。

本来ならばこの「ぎん」というものは、吸血鬼狩りのさいに使用されるもので、吸血鬼以外の怪物に目立った効果があることは知られていない。

ただ、魔導具たる魔導狙撃銃のチカラによってのみ、放たれる銀の弾丸には不浄を打ちはらう、特別なチカラが宿るのだ。
うむ、もっと言えばから放たれる銀弾か。

「概念の流用と言うんだそうだ。俺もよく知らないが、高度な錬金術師でもあった作製者の、革命的な秘術がこの武器にはいまだに息づいているのさ」

そう言って、オド・スペンサーを馬車のなかで横になってる、キナコ二世によく見えるよう持ちあげる。

「見たことない人間の武器……よくわかんない、けど、とりあえず凄い痛いのはわかった、がうぅ……もう撃たないでほしいがう」
「俺が殺すべき相手にならなければ、撃たれる機会なんて早々にはないさ。……こんな骨董品使ってる銀人ぎんじんも、だいぶ数が減ってきてるだろしな……」

俺の師匠の時代ですら、もう魔銃使いなんてほとんどいなかったという。

これからは壊れたらおしまい、二度と作れない武器などではなく、人間を象徴するチカラ、魔術によって害ある魔法生物たちを駆逐し、土地を開拓する時代だ。

ーー狩りをささえた魔銃の時代はおわった。

もう次の世代はない。
もしかしたら俺は最後の魔銃使いかもしれない。

首にかけたペンダント、そこにくくりつけられた″至宝の魔弾″ーー先人の意志『銀人弾ぎんじんだん』を握りしめる。

これで悪魔を倒す。
この武器はそのための力だ。

「がう? なんだか明かりが見えてきたがう」
「ああ、ついたな。あれがマラマタだろう」

話に聞いていたとおり、それなりに規模の大きな町だ。
ここでならキナコ二世を癒してやる事も出来るだろう。

肝心の本題、この町で噂されるは、そのあとでもいい。

「キナコ二世、さっき渡した俺のフード付きローブを着込んでおくんだぞ。異種族への理解はまだまだ人類普遍ふへんのものじゃない。いらない面倒はさけるに限る」
「この藍色のがう? これ前に襲った人間も似たようなの着てたがう! あんまり美味しくはなかったがう」
「……あぁ、そう」

それ前の街のギルドで買った、魔術師用のローブなんだけどね。

もしやこの子は魔術師を倒せるのか?
学院の外に出てきた魔術の使い手は、もれなく現人類最高峰の討伐力をもった個人なはずなんだが……やっぱり、このオオカミ少女は怪物なんだろうか?

キナコ二世へ人間を襲うのも、食べるのも金輪際禁止するようよく言い聞かせ、口についている血を拭わせる。

一抹の不安を抱えながら、俺たちはマラマタに到着した。

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