記憶をなくした超転生者:地球を追放された超能力者は、ハードモードな異世界を成りあがる!

ノベルバユーザー542862

第109話 レトレシア杯に向けて



12月17日。

久しぶりに顔を出した太陽によって雪がゆっくりと溶けて出したレトレシア区の通り。
俺は足元不安定な通りを使わず、うちのわがまま娘マリをお姫様抱っこしながら屋根を駆け抜けて大学玄関ホールへ飛び込んだ。

「ご苦労、アーカム」
「図々しさがとどまるところを知らないな」
「いいじゃあないかね〜、この美少女マリ様を抱っこする栄誉を無条件で得られるのだから」

ふてぶてしく腕を組んで不遜な態度をとるマリ。

「かっちーん」

雑に床に落として天罰を下す。

「痛ぁ!」
「そんな栄誉は中庭の猫たち食わせてしまえ。明日からは歩いて登校しろよノーブラ」

さりげなく毒を仕込む。

「いや、確か下も履いてーー」
「きゃぁあ! やめてぇえ!」

足下のマリが泣きそうな顔で口を塞ぐべく飛び上がってくる。
浮いた体をやんわりと受け止めてキャッチ。

「ほら、さっさといくぞ」
「ぅう、私の乙女心がもて遊ばれたぁ!」

小さな荷物を小脇に抱えて俺は一気に5階へ飛び上がった。



午前中の授業が終わったお昼時。

「というわけで俺は≪拡声かくせい≫を無詠唱で使えるようになったのさ」

新しく覚えた声を大きくする魔法を友人たちに自慢する。
入学式や決闘サークル勧誘会で使われていた声を大きくする≪拡声かくせち≫は、
神秘属性一式魔術の魔法であり、難易度の高い魔法と言われている。

四大属性式魔術はからっきしの俺だが、なぜかみんなの苦手とする神秘属性の魔法は得意なので、
たとえ使える魔法の数がカスでもこうして珍しい魔法を覚えた事を自慢して回れる。

100の平凡な魔法より1つ非凡な魔法を覚えた方が凄がられる法則も見つけたしな。

そういうわけでここのところ魔法の鍛錬はほとんど珍しい魔法を取得することに専念している俺である。

「へぇ! やっぱりアークはすごいや!」
「だろ? へへ」

素直に褒めてくれるゲンゼ。

「私は≪拡声かくせい≫なんて入学してひと月で使えるようになったわよ」
「あぁ、そうかよ。ちっ……ッ」

全然褒めてくれないサティ。

「ちなみに私は先週≪飛行ひこう≫を習得したわ。もう杖を一振りするだけでどこへでも飛んでいけるのよ」
「ぇ、す、すごすぎだよサテリィ!」
「ケッ」

ゲンゼのキラキラした瞳をサティに奪われてしまった。

えげつねぇなサティ。
俺が声を大きくして自慢してる所に、自分は空を飛んだ報告をしてくるんだからよ。
もう俺、恥ずかしくて≪拡声かくせい≫の自慢なんか出来ねぇよ。

「アークは神秘属性得意らしいけど、その神秘属性でさえ私の方が遥かに優秀に扱えるみたいね!」

サティは焦げ茶色のポニーテールを犬の尻尾のように振り乱して、ニヤニヤ楽しそうに笑って見てきた。

たしかにサティは大天才だ。
そこはもうとっくに認めている。
俺などは足元にも及ばないレベルの天才。
だけど、そうとわかっていても腹が立たないわけではない。

そのポニーテール引っ張ってペチーンッてやってやりたいな。

「あぁそうだよ。俺なんて『早撃ち』のサテライン様には敵いません。本当、空飛ぶなんてすご過ぎるだろ」
「当然! 私だから!」

サティはぴょんぴょん跳ねながら向かい側の席から隣へ移動してきた。
特に何を言う訳でもなくただただ嬉しそうだ。

彼女は超天才なのに超努力するもんだから一向に追いつける気配が無い。
というか、ぐんぐん離されていってる実感しかない。
ここ最近の月間決闘大会だって酷いもんだ。
3回連続サティと同じブロックで戦うことになり、カティヤさんにかろうじて勝てても。
その後が絶望的に勝てない勝負なのだから嫌になってしまう。

「全属性得意とかズルくね」
「はは、サテリィは凄いからね」
「ふふん」

自身の才能の無さを憂いながらなめこ定食をつつく。

にしても空飛んだかぁ。
いいなぁ。
俺も飛んでみたいなぁ。

「あ、そうだアーク、例のものが昨日出来たらしいわよ」

なめこ定食をつつきながらサティは閃いたように呟く。

「例のもの?」

心当たりがなく首を傾げてしまう。

「忘れたの? 10月にみんなで考えたじゃない」
「ほら、『エルトレット魔術師団』のアレだよ」

ゲンゼはローブは自身の袖を掴んでパタパタと振った。

「あぁユニフォームか」

少し前にサークルメンバーでユニフォーム選びをした時のことを回想する。

どうやら我々の戦闘服が出来上がったらしい。



「おぉ! カッコいいなぁ!」

部室に届いていた箱を開けて感嘆の声が出る。
中の物を取り出して大きく広げて周りのに見せる。

「カッコいイ!」
「アーカムくん、着てみよ!」

周りを囲んでいたたちは嬉しそうに飛び跳ねたり、身をひねったりして各々の感情を表す。

「これみんなサイズ一緒?」
「アークとサラトラ以外はみんな一緒。そこにサイズ書いてあるから」
「なるほど、えぇと」

対面の机で同じく箱を開封しているサティへ確認を取る。
箱の中から特に大きめのユニフォームを見つけ傍にとぐろを巻いて鎮座するサラトラ氏に献上した。

「あいよ」
「ありがとォ♡」

上半身人間、腰から下が巨大なベビのナーガのサラトラは満面の笑みでユニフォームを下ろしていく。

「えぇと、これが俺だから……はいこれ、テテナとキャトル」

もう一着ある大きめのユニフォームを横にはけて、箱から残りのユニフォーム出す。
今度はサラトラとは逆方向へ振り向いてユニフォームを差し出す。
それぞれキツネ亜人のテテナと、ケンタウルスのキャトルへ。

「ありがと、アーカムくん!」

毛玉のような尻尾を振り回して喜ぶテテナとは対照的に、キャトルはクールに本物のポニーテールを振り乱している。

結局2人とも振り乱してた。

「ほぉ、悪くない」

ユニフォームを広げてキャトルはニヤリと涼しげな笑顔を作った。

ずっと見てられるくらい整った顔の彼女の笑顔は見るもの魅了する。
俺もカティヤさん一筋と決めてはいるが、いかんせん美少女に弱い。
ゆえに、例に漏れずしっかりガン見だ。

「お、ちゃんと人狼マーク付いてんじゃん」

ユニフォームコートを広げてみて、右肩部分にしっかりと人狼マークのワッペンが付いていることを確認。

今回俺たち「エルトレット魔術師団」が来たるレトレシア杯に備えて作ったのは、焦げ茶色のロングコートユニフォーム。

この時期になると新設された決闘サークルはレトレシア杯へ参加するにあたって、それぞれのサークルユニフォームを作成するのが伝統だ。

当初は3人だった「エルトレット魔術師団」も今や7人にまでその数を増やしており、
ユニフォーム作成の際に皆の主張をまとめるのが大変だったのは記憶に新しい。

「なぁ、パラダイム。お前が決闘で決めようとか言い出したから結局サティの意見だけ通ったんだったよな」

向かいの席に座るスカした男に恨めしい視線を向ける。
パラダイム・ホットスワン。
このボンバーヘッドも夏頃から参加しだしたメンバーのひとりだ。

「おいおい、いきなりなんだよ。今更あの時のことを掘り返すなんて男が廃るぜ、アーカムさんよ」

新調したユニフォームをキメたパラダイムは窓の外を見て黄昏れながら、尻目にこちらを見てくる。

カッコつけやがって。

「サングラスでもあればクールに決まるんだけどな」
「だから言ったろ!? やっぱサングラス掛けようぜ!」

パラダイムが雰囲気作りをかなぐり捨てて途端に騒がしくなりだした。

「嫌よサングラスなんて。クソダサいわよ」
「と、部長はおっしゃられてる。これもお前の無謀な提案した無謀な決め方のせいだ。諦めろホットスワン」
「あの時はイケると思ったんだ!」

頭を抱えて喚くパラダイム。
自信満々で勝負を仕掛けて、サティに弄ばれた時の事でも思い出しているのだろうか。
そんな愚かな汚い白鳥がトラウマに苦しむ中、ロングコートをキメ込んだキャトルがたてがみをなびかせながら前へ出てきた。

「似合ってるな。キャトルの毛並みの色とバッチリ合ってるよ」
「そうか? それは良かった」

キャトルは浅く笑って腕を組んだ。
主張の激しい双丘を腕の上に乗っけるもんだからつい目が離せなくなってしまう。

うーん、カティヤさんにはそっちのボリュームがちょっと足りないんだよな。
いや、俺は微乳でも全然愛せるからいいんだけどね。

「ドートリヒトにちくるぞ」

キャトルの鋭い指摘に息を呑む。

「な、ば、馬鹿やろう! 誰もお前の巨乳なんて興味ねぇよ、てかカティヤさんの貧乳を馬鹿にするなよ! 年相応だろーが!」
「アーカムくん、自白してるよそれ」

テテナはもじもじしながら核心をついたコメント。

「ッ、そ、そうだ! この馬女! 誰もお前の巨乳なんて見てねぇよ、いい加減にしろ!」

何故か動揺し出すパラダイム。

「あんたは本当に馬鹿野郎よ」

サティは嘆息しながら辛辣コメントを馬鹿へ送る。
静かしてればバレなかったものを、自分から自白するのだから本当に愚かな奴だ。

「これだから男子わ。ゲンゼディーフをみろ。先程からロープを脱ぐサテラインの事しか見ていないではないか」
「えぇ! ちょっと何言ってるのキャトル!?」

とばっちりを食らうゲンゼに合掌。
許してやってくれゲンゼ。
キャトルに悪気はないんだ。
ただちょっとウマ頭なだけなんだ、彼女は。

「よし、こんな感じでどう?」

サティが焦げ茶色のロングコートユニフォームへ着替え終わったらしく、くるりと回りながら意見を求めてくる。

何か感想を言えばいいんだろう。
だが、当然ここで似合ってないとか言ったら魔法が飛んでくるので、実質「よく似合ってるよ」の一択しか言うことはできない。
選択肢なんてあって無いようなものだ。

「おい、ゲンゼ」
「なにアーク?」

ゲンゼの近くに寄り肘でサティに見とれる少年をつつく。

まったくなっていない。
ここは気の利いたコメントをしないとダメじゃないか。

「サティに焦げ茶色の髪の毛とマッチしてとっても似合ってるよ、って言え」
「ぅえ、ちょ、えぇ!」

及び腰のゲンゼ。

ほら、早く言わんか。
誰でも思いつきそうな台詞なんだから、パラダイムでも思いついちゃうだろ。

「はは、全体的に焦げ茶色でーー」

パラダイムの馬鹿が口を開いた。

まずい、まさか本当あの野郎でもサティの髪色に着目できるなんて。
これは誤算だ。

「なんかうんこみたいで面白いな」

ーーブウゥゥゥンッ

「どぅうへぁ!?」

「馬鹿ネ」
「つくづく愚かな男だ」
「パラダイムくん大丈夫かな」

神速の早撃ちを叩き込まれ壁にめり込んだパラダイムへ合掌。

うん、やはり誤算だ。
コイツってこんなに馬鹿だったなんて。

「ほら、今だ、言えゲンゼ」
「うぅサテリィ!」
「ん、どうしたのゲンゼ」

パラダイムへ呆れすぎて、疲れたような顔をするサティ。
そこへ勇気を振り絞ったゲンゼが果敢に話しかけた。

いいぞお前ならいける。
パラダイムのせいでその褒め言葉ちょっと微妙かもしれないけど。

「その、サテリィの綺麗な髪の毛の色とバッチリ合ってて、その、えっと、よく似合ってる!」

たじたじしながらも言い切ったゲンゼを皆温かい視線で見守る。

「そう? ありがと」

ほんのり頬を朱色に染めながら視線をそらすサティ。

いいぞ、これは効いてる。
女子は服が似合ってるって言われたら、自動的に喜んじゃう生き物なんだ。

はは、昔彼女を作る方法をネットで調べ漁って得た知識がここで役にたつとわな。
人生わからないねぇ、まったくよ。

温かい気持ちになりながら、なんとなしにキャトルと視線があった。
お互い薄く微笑み頷きあう。

「あ、アーク」
「ん、どったの?」

ニヤニヤして初々しいゲンゼを鑑賞していると、当のサティからお言葉がかかった。

「どうよ、なんか感想はない?」
「ぇ、ぁ、感想……ですか」

サティはまっすぐにこちらを見つめてきながら感想を所望してくる。

流石、強欲の民サティだ。
ゲンゼひとりの褒め言葉じゃ全然足りないとばかりに強引にも崇めさせようとしてくる。
まだまだ賞賛が欲しいみたいだ。

「えぇ、と、そうだなぁ感想かぁ、うーん」

頭の片隅でくだらない事を考えながらも真面目に感想を考える。
正直なところ先ほどゲンゼに与えた気の利いたコメントが俺の全てなので、もう何も出てこない。

これがコミュ障、女子偏差値30の実力である。
女子に対しての気の利いた言葉なんてまったくわからないのだ。
コンマ1秒ごとに焦りが募っていく。

大丈夫だ。
何か、何かあるはずだ。
よしよし、こう言う時は。
絶対に女子が喜んじゃう言葉リストを開いて、と。

お、一件ヒット。

「可愛い」
「ッ」
「むゥ」
「あわわ!」
「ッ! ぇ、ぁ、しょ、そう?」

ついでに浅くスマイルを作っておく。
無難な切り抜けである。

「か、可愛い、かぁ、ふふ、そっかぁ」

褒め言葉クレクレの民は俺の言葉に満足してくれたのか、ニヤニヤして嬉しそうにしてくれている。
これでうちのサティさんも満たされた事だろう。

「よし、それじゃみんなユニフォーム着た事だし大会の話するか」

気絶したパラダイムを回収しながらみんなに声をかける。

「天然ジゴロめ」
「アーカムくん、あれは効くよぉ」
「私も言って欲しいわネ」
「ぇ」

何やら亜人三人衆から複雑な感情の視線が向けられる。

なんだよ、そんな目で見るなよ。
どういう気持ちなんだ。

異種間コミュニケーションで亜人たちと上手く関係を築くすべを知っている俺だが、それでも未だに彼らの表情はわからないところがある。

ウマ娘は睨んできてるし、キツネ娘はなんでか尻尾抱いてそれに顔を埋めてるし、サラトラに関してはコートを脱ぎ出している。

今どういう感情なのかな君たち。

「こほん! ぁ、アーク、さっさとその馬鹿を起こしてよ。出場選手の紙書かないといけないんだから」
「おう、そうだな」

俯いた姿勢のサティはパラダイムを指差す。

「ふむ」

亜人組を一瞥して、とりあえずパラダイムを起こす事にしよう。
ラビッテの杖を取り出し≪魔撃まげき≫で倒れ伏す愚者の頭を叩く。

「ーーぅわぁあ! トイレ行って手洗わないまま俺のパンに触るなぁぁああ……てアーカムかよ、びっくりした」
「よぉ、いい夢見たか」

肩で息しながら慌ただしく起きるホットスワン 。
よくこの短時間で悪夢見れるな、とズレたところに感心だ。

「それじゃ馬鹿も起きた事だし早速始めるわよ」

サティは手のひらを打ち合わせて部屋中の視線を集めながら言った。
木製の長机を取り囲むようにしてサークル員みんなで席に着く。
そして部長のサティは全員の顔を見渡してひとつ頷くと、懐から紙とペン取り出した。

「みんなも知ってると思うけど、レトレシア杯は子犬と犬生混合、決勝種目にたどり着くまでに5つの種目あるわ」

その参加人数ゆえ種目を通して次々と競技者を脱落させていく……それが魔術大学伝統の連続足切り形式レトレシア杯の正体だ。
ちなみにひとつの決闘サークルがレトレシア杯に出していい人数に上限はない。

これにはうちのような小さいサークルは全員参加することできる利点がある。
だが、当然のようにヴァンパイアやヴェアボルフなどの、大きな決闘サークルにも同様の利点が存在する。

たくさん同サークルの参加者がいれば、それだけで種目を勝ち抜ける可能性が高くなる。大きな利点だ。
決闘制の種目においては同サークルでわざと負けたりして無駄な体力、魔力量の消耗を抑えれば、それだけ後半戦で力を発揮することが出来る。
必然的に優勝杯は吸血鬼か人狼のどちらかのサークルに渡ってしまう……というのがこれまでの伝統的なレトレシア杯だ。

つまり数百人の若き魔術師が頂点を目指すという大層な肩書きのレトレシア杯であるが、実質的には二大決闘サークルの戦いなのだ。

「クリムゾンヴァンパイア」と「シルバヴェアボルフ」の二強とそれ以外では圧倒的に撃てる弾の数に違いがあるのが決定的な戦力差を生んでいると言える。
数も質も超一流の決闘サークル。
普通なら、この2つの決闘サークルの戦いに3番目の決闘サークルが入り込む余地なんて無い。

普通なら、ね。

「だけど、今年は違うわ! 私たち『エルトレット魔術師団』が歴史を変えるの!」

サティは力強く握りこぶしを作って天を衝いた。
その姿には自信が満ち満ちていおり、下克上を狙う少女の獰猛な瞳は真っ直ぐにこちらを見据えて来ている。
俺はサティが何を言いたいのかがわかり、肩をすくめて脱力して笑う。

「このチームには私とアークがいる!」

ポニーテールを振り乱しながら肩を掴まれる。

やっぱそうですよね。

サティは何だかんだ俺のことを認めてくれているのだ。
そんな期待した目で見られると照れ臭いな。

「ってなわけで、とりあえず参加メンバーを申請するために用紙に名前書いていきましょーー」

ーーガチャ

「お?」

サティが気持ちよく演説を終えたところへ、ふいに扉の開閉音。
部室の皆が揃いも揃って視線を入り口へ。
全く気配を感じなかった事に若干の違和感を抱きながら、俺も視線を投げる。

「あたしも参加させて」
「ぁ」
「え……っ」

入り口に立っていた人物を見て皆が一様に動きを止めた。
瞳に映るのは宵闇を射止める深い藍色の艶の美しき髪。
その毛先は金色とも銀色とも言えるただひたすらに煌めきを放つ光彩のごとく。
その存在を色どる健康的な褐色は少女にひとつまみの、いやふたつまみ、いやもういっそのことカップ一杯くらいの色気を与えている。
彼女の黄金に輝く瞳は鋭く、見られるだけでハートを鷲掴みにされてしまう。
野にさく可憐な花ではなく、険しい崖の上で力強く、そして誇り高く生き抜いていきそうな凛々しい佇まいは、まさに戦場の戦乙女と形容すべきか。

もこもこの耳あてはしてるのにマフラーはせず手袋を着ける、という変則的な防寒を施している部室の入室者。
カティヤ・ローレ・ドートリヒト。

レトレシアの子犬三大魔皇がここに集結した。

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