【完結】努力の怪物が指パッチンを極めたら世界最強に〜スキル【収納】の発動を指パッチンに″限定″したら無限の可能性が待っていた〜
第91話 大怪物・黒鉈
──オーウェン視点
オーウェンが魔女へせまる。
単身の魔女はオーウェンに笑顔を見せてたたずむだけだ。特に迎撃の気配はない。
「舐めてるのか?」
ピリつくオーウェンの剣撃。
魔女はニッコリ笑い「いいえ、全く」と答えた。
我らが剣豪の最初の一太刀は、魔女の足元から伸びる影が生成した槍によって防がれた。
オーウェンは槍を瞬時に観察する。
「なるほど。その黒い影は″枯れた指″か」
「あらぁ、ばれちゃった。にしても、枯れた指たちのことも知ってるのねぇ。ますます不思議だわぁ──≪黒筆≫」
魔女の足元から、無数の槍が突き上がる。
オーウェンは、すかさず身をひいて、刀で槍を器用に弾きながら、足元を覆い尽くすように展開する影の全面攻撃を防いでいく。
魔女は常軌を逸したオーウェンの身のこなしに、手をたたいて称賛をおくる。
「あらぁ〜すごいわぁ〜! ≪黒筆≫を避けちゃうなんてねぇ、ね、ランカちゃん」
「予備動作無しで展開可能な槍……面倒だ」
頬を抑えて困った顔する魔女から、思うように間合いを詰められなくてオーウェンは歯軋りする。
「ふふふ、それじゃ、私のとっておきを見せてあげるわぁ──≪黒鉈≫」
魔女の詠唱により、墨のように黒い足元の影から、勢いよく天空へ何かが飛び出した。
見ればそれは、全長200メートルを優に超えるほどの大きな大蛇であった。
オーウェンはあまりの驚愕に目を見開くなか、大蛇は体に見合わない信じられない速さで彼に喰らいつく。
直上からの攻撃を避けると、オーウェンの先ほどまでいた場所は大爆発を起こして、深さ10メートルほどのクレーターが出来てしまった。
さらに、砂煙の中から黒い大蛇は、オーウェン目掛けて、音よりずっとはやく、影だけ残して飛びかかっていく。
「スゥ──」
オーウェンは短く息を吐き捨てて、黒い大蛇を避けざまに数回斬りつけた。
眼球を狙った斬撃。しかし、オーウェンの刀で持ってしても、まるで大蛇の目は傷つかない。
「錬金術師によって生み出された怪物。ソラールが友達からもらったんですってぇ」
呑気な魔女は、指を鳴らして、影のなかから、さらにもう1匹の大蛇を召喚し、その背中に乗って優雅に戦いを観戦しはじめた。
オーウェンは大蛇の動きを少しずつ見切って、タイミングを伺う。
(タイミングを図れ。所詮はケモノだ)
魔女はオーウェンの真剣な表情と対応をみて面白がるように「2匹目追加よぉ」といって、影のなかから今度は最初の大蛇の倍以上の大きさの超巨大蛇を放った。
これにはオーウェンも唖然とする。
「どう? 最大の駒は自分の手の届くところに置いていく主義なのぉ」
魔女は高らかに笑った。
オーウェンはそれどころじゃない。
数百メートル級のまさに″モンスター″と呼ぶにふさわしい災害生物に襲わているのだ。
ビッグサイズがあまりに素早く動き回るものだから、その衝撃波だけであたりの荒野の地形が進行形で変わってしまっている。
幸いにもジークタリアスは1キロほど先にあるので、そちらへは地震くらいの被害だけだが、現場はそうはいかない。
オーウェンは火力支援を要請するために、マックスを探した。
だが、マックスを見つけることができない。
「どこか飛ばされたか……! ッ、くそ!」
音の壁を破壊して飛びかかってくる大蛇を避けきれず、オーウェンは肩の肉を持っていかれる、
えぐれた傷口からしたたる血に、オーウェンは顔を歪めて、空と大地を覆い尽くす大蛇を、そして、奥に控える魔女を見た。
「どうかしらぁ、絶望した?」
「……いいや、少し楽しくなったきたくらいだ」
「そう。なら、そろそろ、3匹目追加ねぇ」
大蛇に乗る魔女は、さらに壁のなかから今度は先ほどの2匹をさらに上回る大災害級の大蛇を召喚した。
オーウェンは自分が何か悪い夢を見てるのかと思いたくなってきていた。
「前言撤回するから、せめて2匹にしてくれないか……?」
「ふふふ! もう遅いわぁ」
弱音を吐くオーウェンに、3匹のモンスターが襲いかかった。
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