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【完結】努力の怪物が指パッチンを極めたら世界最強に〜スキル【収納】の発動を指パッチンに″限定″したら無限の可能性が待っていた〜

ノベルバユーザー542862

第76話 神聖祭パレード


「聖女様方がいらっしゃったぞ!」
「おお、なんとお美しい!」
「女神ソフレトが最高の祝福を与えるのも納得の尊さだ!」

パレード隊の先頭が、大歓声をあげる群衆たちのもとへ到達すると、彼らの歓迎はよりいっそう激しく、大きいものとなった。

「聖女様ぁあああ!」
「可愛い゛ぃい゛! 生まれて来てくれてありがとうございますうう!」
「ヌ゛ッ!」

あちらこちらから聞こえてくる歓声に混じって人の倒れる音と悲鳴も聞こえてくるが、ここ数日で何度も見たいつも光景なので特に気にしない。

マリーと俺の乗るオープン馬車も群衆に飾られるロードに突入していく。

それにあわせて我らが聖女もまた、にかーっと眩しい笑顔をうかべて、群衆たちへ笑顔を振りまきはじめた。

美しいマリー・テイルワットが、俺の恋人ではなく、みんなの聖女になってしまう事にいささかのチクチクした心の痛みを感じる。

これは何か。
疑問は絶えない。
いや、正体はわかってる。

自分の内側でくすぶる傲慢な願望だ。
俺は頭をふって邪念を追い払い、毅然として立派な騎士でありつづけようとする。

パレードが始まり、しばらく。
こちらも群衆の熱量に慣れて来た頃。

先頭車両のほうでトラブルが起きた。

ささいなモノに思われ、すぐに再開するだろうと考えられていた。

しかして、異変が起きた。

否、もっと直接的に言えば、それは、爆発だった。

「マリー、伏せて!」

パレード隊前方で起きた爆音と、衝撃波、鼻先を焼く熱を受けて、俺はとっさに、マリーを抱えて悪意の威力から彼女を守った。

「うああ!?」
「なんだ、なんだよ、なんなんだよ!」
「前方の馬車が爆発したぞ!」

ギュッと閉じたまぶたの外側では、浮遊感が俺たちを包んでおり、俺とマリーは馬車ごと吹き飛ばされてしまった事がすぐにわかった。

俺は空中で何回転もしながら、それでもマリーを無事に地面に下ろすために、なんとか石畳みのうえに着地する。

背後では馬車が建物の外壁を突き破って破壊し、あたりを混沌へ導いていく。

「マリー、大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ、それより、いま凄い音がしたけど……」

俺とマリーはパレード隊の前方へ視線をむけた。

「嘘……」

マリーがつぶやいた。

彼女がまた困惑し、俺が目を見開くのは、通りの向こうで、高く登っていく黒い煙柱が見えたからだ。

群衆はパニックを起こして、通りを逃げまわり、悲鳴をあげては、それぞれが思い思いの行動を取り始める。

聖女によるパニックと似たような現場……否、それを遥かに上回る数万人規模での大混乱に、もはや通りはめちゃくちゃだった。

まずい。
もしかしてテロが?

俺は神殿勢力が危惧していた、最悪の事態に対するマニュアルが脳裏をよぎった。

テロが起きた場合『聖女の騎士』がもっとも優先するべきは、当然、各々の守る聖女の身の安全である。

その場合、市民の犠牲を黙認してでも、聖女を安全圏へ避難させる事が重要な任務となる。

これはテロリスト鎮圧のたまの戦力として『神威の十師団』が動員される予定ゆえだ。

「マリー、上に登ろう」

安全を優先して、マリーに提案する。

「そうね、何があったのか、確かめないとだわ」

俺たちは共に屋根に跳びあがった。

すると、前や、後ろ、遠くの屋根のうえにも同じように数人の聖女とその騎士、巫女たちが避難しているのが見えた。

俺の初期対応は合っていたらしい。

「″あーあー、これ聞こえてるのかしらぁ?″」

「っ」
「この声は?」

突如として内臓を萎ませるほどの大きな音の波動が襲ってきた。

通常では考えられない声量に、俺もマリーも通りの人間たちみながひるむ。

「″うふふ、よかった、聞こえているようじゃない。それじやあ、まずは、ご挨拶から。今の爆発で『超人』アルゴヴェーレ・クサントスと【華の聖女】が死んだわけだけど、今どんな気持ちなのかしら? ぜひとも聞かせて欲しいわぁ″」

幼き少女の声は、その声の調子に合わない驚くほどに悪意をはらんだ笑い声をあげた。

「″あははは、まあいいわ、ひとりずつ感想を聞いて回るわけにもいかないしねぇー……んっんぅー、それじゃ、さっそく始めるわぁ。大事なこと、一回しか言わないから聞きなさい。これは宣戦布告よぉ。ソフレト共和神聖国がわすれた夜の教会……その後継者たる魔女が、本当の神罰をくだすための戦い″」

「マックス……魔女って、まさか」

不安に揺れるマリーの蒼翠の瞳。

「マリー、ここを離れよう、嫌な予感がする」

マリーの手をひいて、屋根のうえから俺は逃げようとした。

この場が戦場になる事を直感的に感じ取ったゆえか、あるいはマリーを危険から一刻もはやく遠ざけたいと思ったからか。

その両方だったかもしれない。

「″はーい、それじゃ、まずは前座から始めようかしらぁー……″」

魔女の声はそう言うと、だんだんとかすれていき、やがて消えうせた。

その直後だ。

「グガァアアアアア!」

拡声された声が消えるや否や、すぐに巨大な咆哮が聞こえて来たのは。

遠くで悲鳴も聞こえ始める。

俺たちは離脱しようとする足を止めて、通りを見下ろした。

「グガァアアアアア!」

「うわああ?! なんだこのバケモノ!?」
「獣だ、不吉の黒獣が、現れたぞ……!」
「ああ、恐ろしい、おぞましい獣だ!」

叫び声、押しあい、逃げ惑う人々は、口々に″獣″という言葉を発して、ソイツらを指差していた。

通りを埋め尽くす人を喰らい、引き裂くのは、遠目からでもわかる3メートル強の黒い獣だった。

見ただけでも、数十体はおり、アクアテリアスや他の都市から集まって来た市民たちが、虐殺されはじめている。

「マックス! みんなを助けて!」
「いや、でも、それじゃ、マリーの事を」
「わたしは大丈夫だから、行ってきて、戦って、カッコいいところ見せなさい!」

マリーの言葉に俺は、一瞬躊躇しつつも、背中を押されて地上に降りたった。

屋根上を見ると、聖女の騎士たちは市民救助に剣を抜く者と、聖女のそばを離れない者に二分されており、どう行動すればいいのかを自分で判断しなければいけない瀬戸際にあるのだとわかった。

本心ではマリーのそばを離れたくない。

だが、マリーが助けろと言うのなら、カッコいいところ見たいなんて、言うのなら、やるしかない。

「ちっ、衝撃波を出せないな」

この現場はあまりにも人が多すぎて、視界が通らなく、何よりもポケット空間をもちいた遠隔への攻撃が行いづらい。

俺は仕方なく、指を鳴らしてポケットから剣を取り出した。

【施しの聖女】の騎士が、得意を封じられてもなお強いという事を証明してやろう。

「グガァア!」
「まずは、お前か。ふん!」

向かってくる黒い獣。
揺らめく獣毛がびっしり生えた太い腕を振り下ろしてくる。

俺は『即撃』でもって、爪を受け流して、後の先を取って、すかさずカウンターを入れた。

「グガッ?!」

俺の斬り返しーー垂直斬りあげにより黒い獣の腕がズシャンっと重い音をたてて落ちる。

「チェックメイト」

俺はルーティンに従い右手をもちあげ、指を鳴らした。

ポケットを開くのは、動きの固まった黒い獣の足元だ。

まずは被害が出ないよう打ち上げる。

そうして、空中でジタバタ暴れるだけの的にしたら、今度はポケット空間内にしまっておいた″撃ち出す用の槍″を三発放って、黒い獣を串刺しにするターンだ。

ーーシャババンッ

宙空を銀色の輝線を残して、3本の槍が飛んでいき、狙いを正確に獣をつらぬいた。

絶命だ。

乱気流による攻撃では、どうしても打撃の属性になりやすいために新しく考案した、この武器たちは想像以上に性能をもっている。

「撃ち終わったら、回収っと」

俺は黒い獣の遺体ごとポケット空間に収納して、次の敵に取りかかった。

さてと、カッコよく人助け始めようか。

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